ブランド歯科医院の構築

5年後の歯科医院を決めるのは、今日診ている患者層

あの人が、あの店に通い続ける理由

金曜日の夜7時。
仕事上がりの男性が、いつもの路地裏の
カウンター8席の小料理屋の暖簾をくぐります。

 

「いらっしゃい、今日は良い鰆が入ってますよ」

 

女将のこの一言を聞くために、もう5年通っている。
派手さはない。値段も決して安くはない。

 

けれど、素材の説明を丁寧にしてくれる主人の仕事と、
静かに流れる時間が、たまらなく心地良い…

 

隣の常連客と交わす、ゆるやかな会話。
無理に話しかけてくることもなく、
放っておかれるわけでもない…
その絶妙な距離感。

 

一方で、駅前には行列のできる激安居酒屋があります。
生ビール一杯199円。大声で乾杯する若者たち。

 

店員は威勢の良い掛け声で注文を復唱し、
次から次へと料理が運ばれてくる。
そこには、そこにしかない熱気と楽しさがありそうです。

 

では、この二つの店の客が、
そっくり入れ替わったらどうなるでしょうか?

 

小料理屋に激安店の常連が来れば、
「高い」「量が少ない」「静かすぎて落ち着かない」
と不満を漏らすはず。

 

激安店にカウンター派が来れば、
「うるさい」「雑」「ゆっくり味わえない」
と顔をしかめるでしょう。

 

どちらの店が良い・悪いという話ではありません。
人は、自分の価値観に合う場所を選び、
その場所に集う人と時間を共有することで、
心地よさを感じる生き物
なのです。

 

先生ご自身も、
そうやって店を選んできたのではないでしょうか。
友人も、旅行先も、着る服も、車も…

 

すべては「自分の価値観と響き合うもの」を、
無意識に選び取ってきた結果です。

 

そして、その選択の積み重ねが、
今の先生の毎日をつくっています。

 

さて、ここで少し立ち止まって考えてみてください。

 

先生の歯科医院には、
どんな価値観の患者が集まっていますか?

 

そして、その患者たちと過ごす時間は、
心地良いものになっているでしょうか…?

歯科医院にも、同じ原理が働いている

歯科医院経営でも
まったく同じことが起きています。

 

先生の歯科医院が発信しているメッセージ、
待合室に流れる空気、
スタッフの立ち居振る舞い、
説明にかける時間の長さ…

 

そのすべて、もしくは一部にでも共感する人が、
患者として集まってくる
のです。

 

歯科医院を選ぶ患者は、
大きく分けて次の二つの方向性を持っています。

 

A層:質と価値を重視する患者
(治療の内容、丁寧な対応、長期的な口腔健康を求める)

B層:手軽さと安さを重視する患者
(その場しのぎ、短時間、低コストを求める)

 

もちろん現実には、この二層の間にグラデーションがあり、
状況によって揺れ動く患者もいます。ただ、

 

歯科医院として発信の方向性を定めるうえでは、
この2軸で捉えることが最も有効
です。

 

つまり、先生の歯科医院が
誰に向けて、何を発信しているか?
それが患者層を決めているのです。

 

「そんなつもりはないのに、
なぜかこういう患者ばかり来る?」

 

そう感じているとしたら、
発信しているつもりのメッセージと、
実際に伝わっているメッセージがズレている
可能性が高いのです。

「全員に来てほしい」が招く不協和音

経営を安定させたい院長が
「とにかく患者に来てほしい」
と願う気持ちは、痛いほど分かります。

 

だから、
来院した患者すべてに一生懸命、誠実に治療をする。
それ自体は、歯科医師として尊い姿勢です。

 

ただ、ここで一度、
胸に手を当てて考えてみてください。

 

経営が少し安定してきた今も、

「意識の高い患者にも来てほしい」
「手軽さを望む患者も手放したくない」

 

そう無意識に考えていませんか?

 

もしそうなら、
ホームページ、院内掲示、スタッフの受け答え…
そのすべてに、「どちらも欲しい」という
迷いが滲み出ています。

 

そして、そういう歯科医院ほど、
キャンセルと治療中断が増えていくのです。
理由はシンプルです。

 

一律のホスピタリティを提供しても、
A層には「もっと丁寧に扱ってほしい」と物足りなく、
B層には「そこまで求めていない」と過剰に感じられる。

 

どちらの患者にも、院内のどこかに
「居心地の悪い瞬間」が生まれてしまう
からです。

 

丁寧な説明を煩わしく感じる患者。
逆に、もっと詳しく聞きたかったのに流されたと感じる患者。
同じ対応が、正反対の不満を生むのです。

二つの患者層、それぞれの価値観

では、先ほど紹介したA層とB層は、
具体的にどんな価値観を持っているのでしょうか。

 

診療室で日々出会う患者を
思い浮かべながら読み進めてみてください。

 

A層:質と価値を重視する患者の傾向

  • 自身の健康へのへの投資を惜しまない
  • 定期検診やメンテナンスを「当然の習慣」と捉える
  • 再発予防や管理への関心高く、価値を理解しやすい
  • 提案された治療計画や自由診療にも耳を傾ける。
  • 治療の丁寧な説明や選択肢の提示を求め、納得した上で決断する
  • 自由診療なども「価格よりも価値」で判断する
  • 長期的な視点で口腔内を考える(10年後、20年後を想像できる)
  • 担当歯科医師・衛生士との信頼関係を重視する
  • 質の高い治療、清潔感、高いホスピタリティを求める
  • キャンセルや無断遅刻が少なく、約束を守る意識が高い
  • 歯科医院との長期的な関係性を重視する
  • 紹介してくれる知人も、同じ価値観の人が多い

 

B層:手軽さと安さを重視する患者の傾向

  • 痛みや不具合、症状が出てから来院する
  • 予防の発想が乏しいか、ほとんどない
  • 「今、困っていること」だけ解決したい(根本治療は先延ばし)
  • とりあえず間に合わせの処置で十分と考えている
  • 痛みが引けば治療を勝手に中断する
  • 説明より、診療室から早く退出することを望む
  • 丁寧な説明や提案を、売り込みと受け取りやすい
  • 自由診療や予防処置への関心が低く、成約に至りにくい
  • 費用と時間、回数を小さくすることを最優先に判断する
  • 価値より価格で判断する
  • 他院との比較検討(特に費用)が習慣
  • キャンセルや遅刻、飛び込み受診への罪悪感が薄い
  • キャンセル・中断・転院が起きやすく、リコール率が低い
  • 歯科医院は「痛い時だけ行く場所」
  • 「あそこの歯医者は安くて早いよ」と紹介する
  • 紹介してくれる知人も、同じ価値観の人が多い

 

このB層への対応を丁寧に行うほど、
チェアタイムは消費され、 スタッフの負担は増え、 
得られる収益とのバランスが崩れやすくなります。

 

どちらが「良い患者」「悪い患者」という話ではありません。 
価値観が合うかどうか、それだけの話です。

 

ここで最も重要なのは、A層、B層の最後の一行です。
患者は、自分と似た価値観の人を紹介します。

 

つまり、今現在、先生が受け入れている患者層が、
5年後の歯科医院の姿を決めている
のです。

 

先生の人生の中で、大きな時間費やす「診療」を、
どちらの層の患者と過ごしたいか…?

その選択が、経営のすべての起点になります。

誰との時間を過ごしたいか?

人は、自分の価値観に合う場所と
人を選んで生きています。

 

それは店選びも、友人選びも、
そして歯科医院選びも同じです。

 

先生の歯科医院が発しているメッセージが、
患者層を決めています。

 

「全員に来てほしい」という願いは、
結果として誰にとっても中途半端な居心地を
生み出してしまうのです。

 

今日、たった一つだけ実践してみてください。

 

紙とペンを用意し、真ん中に線を引く。
想いがそのまま、自由にペン先が走れるように
できれば大きめの白紙(コピー用紙可、それ以上なお良し)と
滑らかに書ける、書き味の良いペンが理想です。

左に「A層:質と価値を重視する患者」、
右に「B層:手軽さと安さを重視する患者」の特徴を
思いつく限り書き連ねてみましょう。

 

そして最後に、「自分は、どちらの層と診療時間を共にしたいか」を、
正直に一言書き添えてください。

 

その一行が、先生の歯科医院を変える最初の第一歩になります。
診療方針も、発信するメッセージも、スタッフ教育も、
すべてはこの一行から逆算して設計できるようになるのです。

 

迷いのある発信は、迷いのある患者を呼びます。
まず、先生自身が決めることから始めましょう。

 


 

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歯科医師
歯科医院の集患・経営、
ブランド構築コンサルタント

株式会社120パーセント
代表取締役  近  義武

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