Last Updated on 2020.11.13 by 近 義武
「ブランド」と「ブランディング」どちらもよく耳にする言葉ですが、
十分理解している方というのは案外少ないものです。
今回は歯科医院の『ブランド』についての話です。
日常でもよく使うこの『ブランド』という言葉…
『ブランド』とはいったい何なのか?
まずはここから、話を進めていってみましょう。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
「ブランドってグ○チとかエ○メスみたいな高級品のこと?」
と思われるかもしれません。狭義では間違いではありませんが、
本来の『ブランド』の意味はもうすこし広いモノなのです。
では高級品以外でなら「ブランド」と聴いてあなたは何を思い浮かべますか?
流行・・・?
憧憬・・・?
いいもの・・・?
欲しい・・・?
考えるほどよくわからなくなってきたりします。
そういえば、以前にこんなことがありました。
知り合い何名かと一緒に食事に言ったときの話です。
ふとした瞬間にある方の左腕に目が止まりました。
ちょっと珍しい腕時計をされていて、ついガン見・・・。
42~45mm、機械式のスポーツタイプのクロノグラフ。
ご本人の雰囲気や服装にもマッチしていて
個性的な割にイヤミがありません。
チラチラ見ているうちにご本人に気づかれました。
腕時計の持ち主 「これですか?最近手に入れたんですよ」
私 「オートマですか?」
腕時計の持ち主 「そうです。○○○のなんですよ」
私 「ほう〜、いいですね。通好みじゃないですか」
腕時計の持ち主 「あれ!?わかるんですか?」
私 「実は腕時計フリークでして・・・」
腕時計の持ち主 「○○○を知っている人に始めて会いましたよ。」
私 「ぶっちゃけ、いか程で手に入れられたんですか?」
腕時計の持ち主 「いや、実は・・・・」
しばらくは時計談義に花が咲きました。
○○○の腕時計は一般的には有名ではありませんが超一流です。
ムーブメント(中身の機械本体のこと)にも
こだわりがあって、真面目で実直なイメージのメーカーです。
私はそのメーカーの時計を「ブランド品」と認識するのですが、
一般的には「ブランド品」と認識されないでしょう。
『時計のことなんて知らないし、興味もない』
『欲しいとも思わないし、ブランドと言われても…
正直な感想はこんな具合でしょうねぇ…
そしてこのように、「ブランド」は人それぞれで
認識の仕方が違っていて当然のものなのです。
ある人にとって目映いばかりのブランド品も
別の人にとっては道端の石ころ同然だったりしますし、
その真逆のことだってあるわけです。
あなたの歯科医院をブランディングする
ではもう一度改めてお聞きしますが『ブランドとは何でしょうか?』
超簡単にまとめると、『ブランド』とは
「患者が感じるあなたの歯科医院や診療のイメージ」
「あなたの歯科医院ならではの、他とは違う個性」
のことです。もっと大胆に断言するなら
「ブランド」とは、患者との「約束」です。
提供する歯科医療の品質も、数量も、技術も、ポリシーも
経営方針も、診療の保証も、診療体制も、全てが患者との約束になります。
そして、患者があなたの約束を信用した時点でブランディングが成立します。
どういう患者と約束をするのか?
どんな約束をするのか?
どうやって顧客に伝えるか?
これらを考えて実行するがブランディング戦略であり、
そしてその成果がブランド化ということなのです。
歯科医師として、あなたと患者がかわす約束、
さらには経営者として歯科医院と患者がかわす約束が
ブランドの中身そのものなのです。
なんとなくわかってきたでしょうか。
歯科医院のブランド化を行う場合、
この「約束する」という概念を受け入れなければ成功はありえません。
そしてこの「約束」が患者に信用され、浸透してくると
あなたやあなたの歯科医院に「イメージ」がつきます。
患者が「あなたやあなたの歯科医院に感じるイメージ」をつけるのです。
このイメージが「他の医院とは違うレッテル・マーク」になります。
イメージやレッテルの方に「約束」よりも注目が集まっている状況が、
「一流ブランド」に接した際に多くの方が思い浮かべる
『ブランドイメージ』が確立したブランドの姿です。
つまり、イメージやレッテルの方を見てしまうからこそ
「高級品、流行、憧れ、いいもの、一流」みたいな
ブランドと聞いて思い浮かべる典型的な姿が目の前に広がるのです。
これらのことから言えるのは、あなたと患者との約束=ブランドは
あなたが一方的に心の中で約束して守っているだけでは
あなたにも、患者にも、得をすることは少しもないということです。
ブランディング戦略を立て、歯科医院ブランド化できれば
あなたにとっても患者にとっても良いことがたくさんあります。
あなたにとって「好ましいイメージ」がつくことは
歯科医院経営上、特に集患面においては絶大な恩恵をもたらすからです。
ブランディングが集患に効く理由
現在は、競合歯科医院を意識しないわけには行かないほど
歯科医院数が増えてしまっています。
しかも情報化が加速して、あなたと競合とは簡単に比較されます。
その割には、患者の歯科医療に対する理解度はあまり高くないままで、
あなた独自の特色などが出しにくい状況でもあります。
こんな中であなたやあなたの歯科医院に
「好ましいイメージ」「競合とは違うイメージ」がつけば
それだけでも患者に選ばれやすくなります。
逆に同じようにしか見えない歯科医院ばかりでは
「自分にぴったりの歯科医院」を探そうとする患者にとっては
歯科医院選びに困ってしまうことになるわけです。
「こんなはずじゃなかった」と思いたくない患者には
ブランディングされた歯科医院は
(最終的に選ぶか選ばないかは別にしても)
選択肢の中に入れたくなるような目立つ存在になります。
つまり歯科医院が、わかりやすい特色を出してくれることは
患者にとっても有益なのです。
歯科医院における「ブランディング」
どういう患者と約束をするのか?
どんな約束をするのか?
どうやって顧客に伝えるか?
これらを的確に定めていくことがブランディングだと
先ほどお話ししました。
歯科医院が『ブランディング』を進めるにあたっては
様々な方法論がありますが、心得ておくべ共通の注意点があります。
『歯科医院のブランディング』 注意点その1
〜全国区まで知名度を上げたくなる〜
『ブランド』という言葉に固定観念があるために
『ブランディング』は間違った方向に進みやすいので
それなりの注意が必要です。
その1つが
「なんとかして日本全国に知れ渡るようにしなければ…」
と思ってしまうことです。
ブランディングをすること=有名になることではありません、
逆に言えば、あなたの歯科医院を
「全国的な超有名歯科医院」にする必要はないということです。
実際問題として、これを現実するのは非常に難しいと言えます。
治療技術的なこと、権威的なこと、PRに使う資金的なことなど、
どれ1つとっても日本有数になるのは大変です。
全国的に名を売るなら上記の全てが揃っていても確実とは言い切れません。
大変な労力が必要ですし、それに見合う見返りも期待できません。
『歯科医院のブランディング』 注意点その2
〜技術や設備でブランディングしたくなる〜
『インプラントの○○歯科』
『入れ歯の○○歯科医院』
ちょっと惹かれますが、ブランドとして成立させるのは超ハードです。
現在、独自の治療方法やテクニックを持っている
歯科医師や歯科医院はたくさん存在しますが、
「患者に理解しやすく、欲してもらいやすい」という条件を加えると
該当する歯科医師や歯科医院はほとんどいなくなります。
例えば、黎明期のインプラントとか、
開面金冠が一般的な頃の審美CR治療とかなら
患者に理解しやすく、欲してもらいやすかったはずです。
しかし、取り扱う歯科医院が増えてしまえば
治療方法そのものではブランディングはできなくなります。
我々歯科医師としては、細かいテクニックの違いなどを
患者に理解してもらい、選んで欲しいところですが
それは無理というものです。
患者には医学の基礎も、歯科の特異性も、何もかもがわかっていません。
我々はもう数十年も勉強をしてきていますから、説明されれば
大抵のことは理解できますが、患者はそうはいきません。
平易な言葉で説明されようが、図解されようがわからないのです。
同じ治療方法を採用している他の競合歯科医院と差をつけようとすれば
細かい差を強調するしかありませんが、患者には理解が追いつきません。
理解ができなくては、そこにあるはずの細かい差はないのと同じです。
患者のみならず、我々歯科医師同士でも、互いの歯科医院の内情を
ホームページなどにより以前よりも容易に察知もできるようになりました。
有望で有利そうな治療には、あっという間に新規参入が増える流れが
生まれやすいということでもあります。
多少の珍しさ、違いなどもすぐに追いつかれて消されてしまいやすいのです。
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
ブランディングの際に患者とする約束は
利便性だったり接遇だったりがこれまでの主流でした。
「…夜⚪︎時まで受け付けます」
「親身になってお話を伺います」
「相談して治療方針を決めましょう」
誰でもどんな患者でも診ることが前提となっていたため
誰を相手にしても守れる約束にせざるを得なかったからです。
しかし、歯科界にもようやくマーケティングが導入され始めて
「ターゲットを決める」ことが推奨されるようになりました。
では「ターゲットを決めた」なら
患者との約束はどういうようになるのでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。