先生の周りに、こんな同業の先生はいませんか?
休日のたびに高額な臨床セミナーや研修会に足を運び、
最新の治療技術を熱心に学んでいる。
近隣のどの歯科医師にも負けない素晴らしい腕を持ち、
複雑な症例にも対応できる絶対の自信がある。
しかし、なぜか1日の来院患者数は20名ほどで伸び悩み、
いつも新規患者の来院を待ちわびている。
決して経営的に潤っているとは言えない…
「良い治療さえしていれば、必ず患者は分かってくれるはずだ」
そう信じて技術の研鑽に励む姿は、
医療者として非常に尊いものです。
私も、かつてはそう信じて疑わない
臨床医の一人でした。
しかし、自身のクリニックで
経営難というどん底を味わい、
そこから医院を立て直す中で、
痛いほど思い知らされた残酷な事実があります。
それは、
「技術を磨くだけでは、患者は来ない」
ということです。
医療者としての矜持を持ち、「診療」に全力を注ぐこと。
それはもちろん、歯科医師として最も大切なことです。
しかし、医院を存続させ、スタッフの生活を守り、
持続可能な成長を実現するためには、
それだけでは不十分なのです。
今回は、真面目で勉強熱心な先生ほど陥りがちな
「診療と経営の罠」についてお話しします。
どうすれば、先生の素晴らしい技術を最大限に活かしながら、
医院の経営を好転させることができるのでしょうか?
医院の「活力」を奪う無意識の偏向
真面目な歯科医師ほどマーケティングを避ける?
歯科医院経営において、最も大事なことの一つ。
それは言うまでもありません。
「患者にあなたの歯科医院に来院してもらい、
あなたやスタッフが提供する
『歯科医療サービス』を受けてもらうこと」です。
患者が来なければ、どんなに素晴らしい治療技術も、
最新の医療機器も、全く意味を成しません。
患者の存在こそが、医院を動かし、スタッフを養い、
次のより良い医療へ投資するための
「活力」そのものなのです。
この活力を、効果的かつ絶えず生み出し続けるために行う、
あらゆる行動、施策、そして思考。
それを総称して「マーケティング」と呼びます。
これは紛れもない事実です。
しかし、院長である先生には、
このマーケティングと同等、あるいは
それ以上に最も大事な役割があります。
それが「診療」です。
「診療」に対しては、先生には
すでに十分な経験と実績があります。
興味があり、良い感情を持っているからこそ、
誰に何を言われずとも、
日々の精進を重ねることができるのです。
一方で、「マーケティング」はどうでしょうか。
経験も実績もない、興味もないし、
正直言って良い感情も持っていない。
「そんな商売人みたいなことはしたくない」
そう感じてはいませんか?
そこには、「医は仁術、算術にあらず」という言葉を
拡大解釈して自己正当化してしまう心理や、
「集客に必死だと同業者に後ろ指を指される」といった
歯科業界特有の偏向思考が根強く存在しています。
このために、マーケティングを意図的に遠ざけ、
避けようとする院長が、まだまだ数多くおいでです。
黙っていても患者が来る時代は終わった
しかし、冷静に考えてみてください。
歯科医院を開業さえすれば、看板を出すだけで
近隣から患者が次々と押し寄せてきた。
そんな時代は、もうはるか昔に終わってしまいました。
激戦区の中で「見つけてもらう」「選んでもらう」
「通い続けてもらう」ためには、
戦略的なアプローチが不可欠です。
先生の提供する歯科医療が
患者にどんなベネフィットをもたらすのか。
それを正しく伝えなければ、
誰にも気づいてもらえません。
(※医療広告ガイドライン遵守が前提です)
「治療さえ良ければ」という職人気質を固持することは、
一見美しいかもしれませんが、経営者としては危険です。
マーケティングから目を背け、何の対策も打たなければ、
院内の「活力」は確実に衰退していきます。
活力が失われれば、スタッフは定着せず、設備投資も滞り、
結果的に、先生が最も大切にしている「診療の質」すらも
妥協せざるを得ない状況に追い込まれてしまうのです。
経営が苦しくなってから慌てて小手先の集客に手を出しても、
状況はさらに悪化するだけになりかねません。
では、診療に専念したい先生は、
一体どうすればこのジレンマを
解決できるのでしょうか?
「診療」に集中するための戦略
苦手なことは「仕組み」に任せる
「マーケティングが重要なのはわかったが、時間がない」
毎日診療に追われる先生がそう思うのは当然です。
これ以上先生の時間を削って、
1から専門知識を詰め込み理解するのは
現実的ではありません。
では、どうすればいいのか?答えは、
「資金を投じて、専門家や仕組みの力を借りる」
だけのことです。
先生がこれまで通り
「診療」に多くの時間を費やしたいなら、
マーケッターを雇用して権限を委譲する。
もしくはコンサルタントを入れて
集患のシステムを構築する。
こうして、先生自身が
マーケティングに費やす時間を
限界まで「圧縮」するしかありません。
自分が苦手なことはプロに任せて仕組み化する…
これこそが、経営者脳への転換です。
これは浪費ではなく、
リターンを見込む「投資」なのです。
時間を”診療”に回して利益を最大化
仕組み化によって「圧縮」された時間は、
先生が最も高い価値を生み出せる
「診療」へと回します。
専門家に任せることで生まれた時間で、
自由診療の丁寧なカウンセリングを行ったり、
スタッフの教育に充てたりすることができます。
そうして「診療」に投下した時間が、
専門家への投資資金以上の利益を生み出すようにする。
このサイクルさえ回せれば、
先生ご自身が慣れないマーケティングを
必死に修める必要は最低限で済みます。
先生は強みである「臨床」に一点集中し、
集患は外部の「てこ」を使う…
増収増益を実現している医院は、
例外なくこの選択をしています。
時間をどこに投資するか?
「医は仁術」という美しい言葉は、
経営から目を背けるための免罪符ではありません。
患者という医院の「活力」を生み出し続けるには、
マーケティングから逃げることはできないのです。
しかし、それは、先生ご自身がすべてを背負う
という意味ではありません。
苦手な分野は仕組み化・外部化して
時間を「圧縮」し、生み出された時間で、
先生にしかできない「診療」に全力を注ぐ。
その決断を下すことこそが、
経営者として最も重要な役割です。
もし先生がこの考え方に共感していただけるなら、
まずは明日、ご自身の時間の使い方を
客観視することから始めてみませんか?
明日の診療が終わった後、1日の業務を振り返り、
「診療」と「それ以外の業務」に、
それぞれどれだけの時間を費やしたかを
手元のメモにざっくりと書き出してみてください。
その「それ以外の業務」の時間は、
本当に先生自身がやるべきことだったでしょうか?
外部の力を使って時間を圧縮できる部分はないでしょうか?
その小さな気づきが、医院の持続可能な成長に向けた、
ドミノ倒しの1枚目になります。
さあ、迷わず前に進みましょう。









