BAWB会員限定特設記事

真面目な院長ほど自院の問題点が見えない

その”ニオイ”、あなただけが気づいていない

あなたは煙草を吸われますか?
私自身は、もう30年以上は吸っていません。

 

「きっぱりやめた」と言い切れると格好がいいのですが、
正直なところ、たまたま上手いことやめられただけです。

 

30歳そこそこまでは、診療の合間ごとに
一服するのが当たり前の習慣でした。

 

ヘビースモーカーではありませんでしたが、
タバコ税はしっかり納めている人種だったわけです。

 

そんな私が禁煙してしばらく経った頃、
ある日ふと、驚くべきことに気がつきました。

それは「ニオイ」です。

 

自分の生活圏のほぼ全てに、
煙草のニオイがびっしりと染み付いていたのです。

 

服はもちろん、髪の毛、指先、壁紙、ドア、
眼鏡、腕時計、鞄…

 

手が届くもの、身につけるもの、何もかもに
煙草のニオイが沁み込んでいました。

 

ところが喫煙していた当時の私は、
これに全く気づいていなかったのです。

 

喫煙者特有の感覚の鈍麻と、
自らそのただ中にいることで
鼻がすっかり麻痺していたのでしょう。

 

ある朝、クローゼットを開けた瞬間でした。
ふわりと立ち上がった、重たく淀んだあの匂い。

 

一瞬、誰かが部屋で吸ったのかと錯覚したほどです。
しかし家族は誰も吸いません。
匂いの正体は、昨シーズンに自分が着ていた上着でした。

 

背筋がすっと冷たくなりました。
これを毎日まとって、
患者の目の前に立っていたのか…

 

やめて初めて、嫌というほど分かりました。
非喫煙者にとって煙草のニオイは、
ほんのわずかでもすぐに察知できる強烈なものだと。

 

嫌煙家が「耐えられない」と顔をしかめる気持ちも、
今ならよく理解できます。

院長だけが気づかない何か

さて、このニオイの話。

 

実は歯科医院経営でも、全く同じことというか、
その拡張版が起きているのをご存知でしょうか?

 

長年同じ診療室に立ち、同じスタッフと働き、
同じ動線で動いていると、院長であるあなた自身が
一番、院内の”空気”に鈍感になっている…

 

これは、能力や意識の問題ではありません。
また、嗅覚に限った話でもありません。

 

人間の感覚は、
同じ刺激に晒され続けると必ず鈍麻します。

 

喫煙者が自分のニオイに気づけないのと、
全く同じ構造です。

 

こんな”ニオイ”はありませんか?

  • 待合室に漂う、消毒薬と空調の混じった独特の空気感
  • 受付スタッフの、慣れが生んだ事務的な第一声
  • 診療室で患者が目にする、整頓されているつもりの器材カート
  • チェアに座った瞬間に視界に入る、天井のシミや照明の汚れ
  • スタッフ間で飛び交う、患者には聞かせたくない業務連絡の声量

 

これらは全て、新患が初回来院時に真っ先に感じ取る情報です。

 

しかし院長であるあなたには、
もはや”見えない・聞こえない・気にならない”
存在になっていないでしょうか。

 

ここで重要なのは、
あなたが気づかないものは、
絶対に改善されない
という事実です。

 

技術力に自信があればあるほど、
臨床セミナーに熱心に通っていればいるほど、
この「院内の空気感」への感度は後回しになりがちです。

 

新患の来院を心待ちにしているのに、
なかなかリピートに繋がらない。
自由診療の成約が思うように進まない。

 

その原因の一端が、
院長本人には絶対に見えない”院内のニオイ”
にあるとしたら、どうでしょうか。

 

なぜ、真面目な院長ほど気づけないのか

ここで、少し残酷な話をします。
真面目で勉強熱心な院長ほど、
実は、この罠に深くはまります。

 

なぜなら、意識が常に
「臨床技術の向上」に向かっているからです。

 

セミナーに通い、論文を読み、新しい術式を試す。
その努力の方向は、全て診療チェアの”中”を向いています。

 

一方で、患者が実際に体験するのは
チェアに座る前と、座った後を含めた
院内に滞在する全ての時間
です。

 

ここに、院長の視線と患者の視線の
決定的なズレが生まれているのです。

“当たり前”を疑うポイント

では、どうすれば
この”見えないニオイ”に気づけるのでしょうか?

この記事の公開は2027年3月31日まで。
2029年4月1日以降は
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