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患者には理解できない前提のキャンセル対策【書き下ろし】

Last Updated on 2022.12.2 by 近 義武

歯科医院のキャンセルが生じるそもそもの原因は何でしょう?
悪天候や交通機関の麻痺、身内の不幸など
本当に仕方のないことを除いて考えてみてください。

 

こういった「そもそも論」は
深堀していく方向によって答えが違うとよくいわれます。
しかし、歯科医院のキャンセルについての答えは1つです。

 

次回の診療に対する
あなた(歯科医師と歯科医院)の価値観と
患者の価値観に隔たりがあるから

 

診療の価値を患者に伝える努力は
我々が常に行い続けなければならないことです。

 

しかし、患者があなたと同じ価値観を持つことはありません。
このことについては『
絶対に』と断言します。

 

我々歯科医師の数十年に渡る精進の上に成り立つ価値観は
例え歯科医師
同士だとしても完全な一致は難しい話です。
患者と歯科医師とでは、基礎知識量も質も違いすぎて
難しいを通り越して、同じ価値観は持てないのです。

 

「次回の診療の価値」を患者には伝えきれませんが
伝える努力は放棄してはいけません。
当然、あなたと患者との会話は最重要になります。

 

症状の原因や背景、治療法の選択肢や未来像の描写など、
疾病の過去、現在、未来と
学術的な解説を話します。

 

しかしこれはいくらあなたが時間をとっても語り尽くせません。
信頼関係を構築するための会話も必要ですから
『時間のゆるす限り…』でやるしかありません。

 

限られた時間で患者に次の診療の価値を伝えるには
アプローチの3つの方向性を使い分ける必要があります。

 

1番使用頻度が高い方向性は論理によるものです。
前述した「あなたによる医学的な話」がそれです。

 

患者の頭でもなんとか納得できるように話して
患者が自発的に「大切な治療のようだから
次回も通院しよう」と感じさせる方向性です。

 

2つ目の方向性はステイタス・権威によるものです。
ある意味、頭ごなしに「指示に従え!」と強制します。

 

キツい言葉を使うのではなく、あなた自身の
医療従事者としての「格」や「威厳」を高めることで
治療の価値を高めて「次回も通院しなくては!」と
無意識の領域に刻み込む方向性です。

 

そして3つ目の方向性は患者の感情・心情によるものです。
有り体にいえば「ファンにさせる」ことで通院させます。

 

これは院長の「あなた」のファンにさせる以外にも
「スタッフ」「医院の雰囲気」「診療体制」
「設備や内装」「理念」…対象は何でも構いません。

 

「受付の子の話し方がかわいい」でも結構です。
理由はどうあれ、それで患者が通院が続いている間には
歯科医学的な納得に変わっていく機会も増えるというものです。

 

通院回数が増えれば患者の治療も進んで
口腔内の健康は良い結果に近づけます。

 

2、3番目の方向性は頭を柔らかくしないと
具体的に打つ手がみつかりません。

 

最も大切なのは、歯科医療をツールにして
『患者の抱えている問題を解決すること』です。
そのためには患者の協力(来院)が必要なのです。

 

それさえ見失わなければ、歯科臨床の現場に
どんな入口から入ろうとも1歩も入らないよりはマシです。
頭は柔らかく…ですよ。

 

それでもキャンセルを完全に駆逐することはできません。
そこで、キャンセルがあっても歯科医院の経営上では
ダメージが及びにくくすることも考えましょう。

ユニット稼働率を下げないための対策

 

患者とは価値観が違っていることを前提として、
歯科医院側ができる最も単純なキャンセル対策は…

この記事の公開は2023年5月31日まで

Last Updated on 2022.12.2 by 近 義武

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