技術を磨くために数々の臨床セミナーに参加し、
最新設備への投資も惜しまない…
誰もやめろと言いません。
私も。それで歯科医院経営がうまく行っているなら
特に何も言う気にはなりません。
ただし、あなたが歯科医院経営の現状に満足していないなら
「そのまま突き進むのは遠回りですよ」と言うでしょう。
歯科医師であるなら、研鑽は欠かせませんが、
敬意さんを重ねても経営に直接寄与することは
ほとんど無きに等しいからです。
もちろん「研鑽を重ねたから経営が上手く行った」という方が
おいでになることはわかっています。
その方は他の有利な条件が揃ったに過ぎません。
つまり再現性の低い”大当たり”の宝くじを引き当てただけなのです。
40年ほど前までなら、当たりの確率がそこそこ高かったで
数年続ければ、どこかで当たりを引く方が多かったのですが、
現在は当時とは状況が激変しています。
真面目に研鑽を積むことは重要で、奨励したいことですが
それだけで歯科医院経営がうまく行くなくなってしまっているのです。
開業まで漕ぎ着けるまでに投下した費用を考えると
研鑽だけに突き進むだけで成功を目指すのは
リスクが高すぎると認識しています。
こうした状況の根本原因は何でしょうか?
歯科医院経営において、最も重要かつ
最も難しい課題はどこにあるのでしょうか?
その答えは「新規患者の獲得」です。
なぜなら、どれほど優れた治療技術を持っていても、
それを受ける患者がいなければ意味がないからです。
売上に悩む歯科医院の多くは、
「新規患者獲得」という経営の要に対する
理解と取り組みが不足しているのです。
そう思っていませんか?
残念ながら、外部業者に丸投げするだけでは
本当の意味での成果は得られません。
なぜなら、あなたの歯科医院の真の価値を
最もよく知っているのは、他でもないあなた自身だからです。
治療へのこだわり、患者への接し方、スタッフの教育方針…
これらを最も熟知しているのは院長であるあなたです。
新規患者獲得は単なる広告戦略ではなく、
あなたの歯科医院の価値を正しく伝える作業なのです。
本日は、なぜ新規患者獲得が最重要課題なのか、
そして院長先生自身がどのように
この課題に取り組むべきかをお伝えします。
この記事を読み終えた時、あなたは新規患者獲得に対する
考え方が変わり、明日から実践できる具体的な
アクションプランを手にしているでしょう。
新患獲得が最重要課題である10の理由
なぜ新規患者獲得がこれほど重要なのか。
多くの院長先生は「なんとなく大切」と理解していても、
その本質的な理由を明確に言語化できていません。
ここでは、私が200以上の歯科医院を
コンサルティングする中で見えてきた、
新患獲得が最重要課題である10の理由をお伝えします。
理由1. すべての診療売上の源泉となる
新規患者は、歯科医院のすべての売上の出発点です。
初診料はもちろん、その後の検査、治療、
メンテナンス、予防、健診に至るまで、
すべての診療行為は新規患者の来院から始まります。
理由2. 長期リピーターも最初は新規患者
「うちはリピート率が高いから」と安心していませんか?
どれほど優れたリコールシステムを持っていても、
最初の来院がなければリピーターは生まれません。
理由3. 自然減は避けられない
転居、死亡、ライフスタイルの変化…
どんなに良好な関係を築いた患者でも、
やがて来院しなくなる日が訪れます。
年間約10~15%の患者が自然減していくと言われています。
この減少を補うには、継続的な新患獲得が不可欠です。
理由4. 見知らぬ人の心を動かす難しさ
新規患者獲得の難しさは、あなたのことを
まったく知らない人の心を動かす必要がある点です。
「なぜ、たくさんある歯科医院の中から
あなたの医院を選ぶべきなのか?」
この問いに明確に答えられますか?
その答えで、他者の心を動かせると確信できますか?
理由5. 激しい競争環境での差別化
一般的な市街地では、半径2km以内に
5~10軒の歯科医院が存在します。
この競争環境の中で選ばれるには、
単に「良い治療をする」だけでは不十分です。
理由6. 新患獲得には投資が必要
ホームページの運営、広告出稿、無料相談等のコスト…
新患獲得には必ず費用が発生します。
この投資対効果を最大化する戦略が求められます。
理由7. 質の高い患者層の獲得
単に患者数を増やせばよいわけではありません。
あなたの医院のコンセプトや診療方針に
合った患者を獲得することが重要です。
「誰に、何を、どのように提供したいのか」
この問いに答えられない医院は、
結局どこからも選ばれなくなります。
理由8. 外部依存の落とし穴
「広告会社に任せているから大丈夫」
こう考えている院長先生は要注意です。
外部業者はあなたの医院の本質的な価値を
完全に理解しているわけではありません。
理由9. 成功体験の依存リスク
一時的に効果のあった方法に依存していると、
環境変化に対応できなくなります。
SNSでの集客に成功した医院が、
アルゴリズム変更で突然患者が来なくなった…
そんな事例も少なくありません。
理由10. 院長自身の関与が不可欠
最も重要なポイントは、新規患者獲得には
院長自身の関与が必須だということです。
多忙な診療の合間に経営について考えるのは大変です。
しかし、「どんな患者に、どんな価値を提供したいか」
という医院の根幹に関わる部分は、
院長であるあなたにしか決められないのです。
これら10の理由を理解した上で、具体的にどのように
院長主導で新規患者獲得に取り組むべきかを
続けてお伝えしていきます。
効果的な院長主導の新患獲得戦略
「新規患者獲得は大切だとわかった。
でも具体的に何から始めればいいのだろう?」
この疑問を持たれた院長先生のために、
すぐに実践できる院長主導の
新規患者獲得戦略をお伝えします。
まず最初に行うべきは「理想の患者像」の明確化です。
あなたはどんな患者に、どんな歯科医療を提供したいですか?
「すべての患者に対応したい」という考えは、
実は「誰にも選ばれない」結果につながります。
例えば、「予防に関心が高く、定期的なメンテナンスを
大切にする40〜50代の女性」と具体化するだけで、
マーケティングの方向性が明確になります。
次に、あなたの歯科医院ならではの
「独自の価値」を言語化しましょう。
「丁寧な診療」「痛みの少ない治療」
こういった表現は、ほとんどの歯科医院が使っています。
差別化にはなりません。
代わりに、あなたにしかない経験や
特別なアプローチを具体的に伝えましょう。
独自のメンテナンスプログラム」
このような具体的な表現は患者の心に響きます。
第三に、あなた自身の「人間性」を前面に出しましょう。
患者が歯科医院を選ぶ際、最も重視するのは
意外にも「院長の人柄」だということをご存知でしょうか?
診療方針や価格よりも、「この先生に任せたい」
という信頼感が決め手になるのです。
医院のウェブサイトやSNSで、あなたの診療への思いや
こだわりが滲み出るような日常の一コマを
積極的に発信してみてください。
最後に、「初診患者の体験設計」を見直しましょう。
新規患者の約70%は、初回の体験で
その歯科医院との長期的な関係を決めると言われています。
初診時の問診表の内容、待合室での過ごし方、
説明の仕方、会計の流れ…
すべての接点が「また来たい」と思える
体験になっていますか?
「でも、新患獲得の施策を考える時間はない」と
思われるかもしれません。
しかし、週に1時間でも新患獲得のために時間を確保できれば、
長期的には何十倍、何百倍の余裕の時間を
あなたにもたらすほどの効果をもたらします。
つまり、「時間がないから取り組めない」ではなく
「時間を作るために取り組む」という
発想の転換が必要なのです。
明日から始める新規患者獲得への道筋
新規患者獲得の重要性と院長主導のアプローチについて
理解を深めていただけたと思います。
では最後に、明日から実践できる
具体的なステップをご紹介します。
Step 1: 週に1時間の「経営タイム」を確保
診療スケジュールに「経営のための時間」を
固定で組み込みましょう。
この時間は治療や雑務ではなく、
医院の方向性や新規患者獲得のための
戦略を考える「聖域」として確保してください。
Step 2: 理想の患者像を紙に書き出す
なるべく具体的に、あなたが診療したい
患者像を書き出しましょう。
年齢、性別、生活習慣、歯科に対する考え方…
詳細であればあるほど、次のステップが明確になります。
Step 3: 患者の視点で初診体験を見直す
実際に患者として自分の医院に電話をかけ、
来院し、診療を受けるイメージをしてみましょう。
どこに不便さや不安を感じるでしょうか?
その気づきが、改善の第一歩となります。
覚えておいていただきたいこと
新規患者獲得は一朝一夕にできることではありません。
しかし、継続的な小さな改善の積み重ねが、
やがて大きな変化をもたらします。
今日お伝えした内容は、私が多くの歯科医院と
共に歩んできた中で、確実に成果を出してきた方法論です。
あなたの歯科医院でも、必ず
あなたの理想とする患者とたくさん出会うことができます。
その第一歩を、明日から踏み出してみませんか?