「塩漬けタスク」との戦い
恥ずかしながら、
私自身にも長い間放置していたタスクがありました。
数ヶ月前、意を決して
自分のタスクリストを見直してみました。
すると驚くほど多くの「やらなきゃ」が、眠っていたのです。
・読みかけの本
・友人への連絡
・部屋の模様替え
どれも「いつかやろう」と思いながら、
気づけば半年以上経過していました。
なぜこれらのタスクは、
こうも見事に先送りされ続けるのか?
私は一度じっくり分析してみることにしました。
すると面白いことに、
先送りされているタスクには、
4つの共通点があることがわかったのです。
共通点1:締め切りが不明
「いつまでに」という期限がないため、
今日やらなくても困りません。
明日でもいい、来週でもいい。
そうやって延々と後回しになっていました。
共通点2:タスクの強度が大きい
漠然と大きなタスクは、 取り組む前から気が重くなります。
一度に全部やろうとすると、大きな壁を感じて途方に暮れます。
「どこから手をつければいいんだ」と考えただけで、
やる気が失せてしまうのです。
結果、いつまでも着手できないままにしていました。
共通点3:最初の一歩が不明確
全体像はぼんやり見えていても、
「まず何をすればいいのか」が定まっていませんでした。
最初のアクションが見えないタスクに対しては、
脳が自動的に拒否の姿勢をとります。
スタート地点がわからないと、
人は動けないのだと思い知らされました。
共通点4:やらなくても当面困らない
誰にも怒られず、誰からも催促されないタスクでした。
だからこそ、優先順位が下がり続けたわけです。
緊急性がないタスクほど、
放置しても痛みを感じにくくなっており、
後回しにされていました。
これらの特徴を複数持つタスクは、
まるで冷凍庫の奥に忘れられた食材のように、
いつまでも「塩漬け」状態になりやすかったのです。
あなたにも、そんなタスクがないでしょうか?
実は、この構造は歯科医院経営でもまったく同様なのです。
先送り/塩漬けタスク発生の正体
「塩漬けタスク」は歯科医院にも存在する
私がコンサルティングで訪れる歯科医院でも、
この「塩漬けタスク」を数多く目にします。
たとえば、ホームページのリニューアル。
「古くてスマホ対応もイマイチだから変えたい」
それなのに、3年以上放置している先生がいます。
あるいは、スタッフ面談の仕組み化。
「定期面談をすれば、スタッフの定着率も上がる」
わかっているのに、実行していない先生もいます。
自由診療メニューの見直し…患者フォローの自動化…
リコール率を上げる施策…予約キャンセル対策…
スタッフ面談の仕組み化…診療マニュアルの整備…
どれも重要だとわかっています。
やれば確実に医院は良くなります。
でも、放置したまま時間だけが過ぎていく…
ついでに言うと、他者から指摘されて
「そんなことは言われなくてもよくわかってる!」
と、逆ギレをかますまでがワンセットです(笑)
なぜでしょうか?
もうお分かりですね!
それは前述の「塩漬けタスク、4つの共通点」が、
歯科医院経営のタスクにも、そっくり当てはまるからです。
経営改善タスクの共通点
歯科医院経営における先送りタスクを、
改めて4つの視点で見てみましょう。
1、締め切りが不明
「保険請求」には月末という明確な期限があります。
だから、どんなに忙しくても必ず処理しますよね。
ところが「自費説明の改善」にはいつまでという期限がない。
「時間ができたらやろう」で半年、1年と過ぎていきます。
「ホームページのリニューアル」にも
「自費診療メニューの見直し」にも同様に
明確な期限はありません。
「いつかやろう」が、「いつまでもやらない」に
あれよあれよという間に変わりやすいのです。
2、タスクの強度が大きい
例えばよく掲げられる「リコール率アップ」というタスク。
でも実際は、患者リストの整理、連絡手段の選定、スタッフ教育、
システムの導入など、やるべきことは山積みです。
全体が大きすぎて、
どこから手をつければいいのか見えません。
「スタッフ教育」という項目1つでさえ
これだけでは、何から手をつければいいかわかりません。
漠然と大きなタスクは、 取り組む前から気が重くなります。
その結果、いつまでも着手できないのです。
3、最初の一歩が不明確
「スタッフ面談の仕組み化」をしたいとして
これをタスクとして掲げたとしましょう。
でも、何から始めるのか…?
面談シートを作るのか…?日程を決めるのか…?
それとも面談の目的を整理するところからか…?
具体的に明日何をすればいいのか?
最初のアクションが見えないタスクは、
脳が自動的に回避してしまいガチです。
その結果、スタート地点が曖昧なまま
放置されて、その成れの果てが「塩漬けタスク」です。
4、やらなくても当面困らない
これが最大の理由です。
ホームページを変えなくても、今日の診療は回ります。
自由診療の成約率が低くても、保険診療で何とかなります。
患者からクレームが来るわけでもない…
スタッフが困るわけでもないし、文句も出ない…
誰も催促しないし、誰も怒ったりしない…
歯科医院の経営を改善するには重要なタスクのはずなのに
緊急性がないせいで、 優先順位は下がり続け、
ずっと手つかずのままになっている…
リコール率を上げる施策…予約キャンセル対策…
スタッフ面談の仕組み化…診療マニュアルの整備…
自費率の向上…メンテナンスへの移行率の向上…
どれも重要だとわかっているのに、
緊急性の高いタスクに押され続けて、着手されない…
あなたの歯科医院にも、時間だけを消化していく
そんな「塩漬けタスク」はありませんか?
先送り/塩漬けタスクの対策4選
先送り/塩漬けタスクが発生する原因について
『4つの共通点』としてお話ししました。
すなわち、先送り/塩漬けタスクが発生する原因が
わかっているのですから、その対策は明確です。
4つの原因それぞれに対応する仕掛けを仕込めば良いのです。
仕掛け1:締め切りを設定する
誰も締め切りを決めてくれないなら、 自分で決めるしかありません。
「今週金曜の診療後に自費説明のロールプレイを行う」
「〇月〇日までに、自由診療の説明資料を完成させる」
具体的な日付を入れることで、
漠然とした「いつか」が「その日まで」に変わり、
期限があるだけで、タスクの緊急度が一気に上がります。
タスク名に期日を入れ込むのもアリです。
いつも目に入るようにして、
締切そのものを忘れないプラットフォーム化が有効です。
仕掛け2:タスクを分割する
大きなタスクは必ず分割してください。
「スタッフ教育の充実」「リコール率を上げる」
などでは、タスクとして大きすぎます。
『スタッフ教育』
- 教育項目のリストアップ
- 優先順位の決定
- 最初の1項目のマニュアル作成
- 実施日の確定
『リコール率を上げる』
- 「リストを整理する」
- 「連絡手段を決める」
- 「テスト運用する」
というように、小さなステップに分けます。
分割すれば、 1つ1つは15分〜30分程度程度で
終わりそうな作業になります。
仕掛け3:分割内容と最初の一歩を明示する
分割したタスクを紙やホワイトボードに書き出します。
特に重要なのは、一番最初にやることを明示すること。
「リコール率向上」というタスクなら、
「まず過去3ヶ月のリコール率を計算する」
などを最初の一歩にする方が多いと思われます。
ただし、パッとみてまだ大きなタスクだと感じるようなら
「先月、アポ通りに来院しなかった患者をリストアップする」
というように、さらに分割していきましょう。
ここが明確になるだけで、驚くほど動きやすくなります。
「できそう」と思えたなら、 あとは手を動かすだけです。
仕掛け4:ペナルティを設定し、公言する
「期限を破ったら家族に焼肉をご馳走する」
自分のポケットマネーから出費して、
なおかつ誰かが喜ぶようなペナルティを設定します。
そして、それを周囲に公言するのです。
これで「やらなくても誰も困らない」状況が変わります。
人は損失を避けようとする生き物です。
「伴侶に良質のバッグをプレゼントする」となれば
あなたの懐もそれなりに痛むことになるかも…
そしてこのこと(タスクの設定とペナルティ)を前もって
相手に公言することで、逃げ道を断つことができます。
これらの4つの仕掛けだけでも、
先送り/塩漬けタスクの消化に大きな効果がありますが、
副次的に、少し趣の異なるもう1つの効果があります。
それは、タスクの「名前」が変わることです。
タスクの名前を変える
タスクの「名前を変える」ということには
一見すると大した効果がないように見えます。
しかし、実際には私が実践して効果を実感し、
クライアントの先生方にも多くの高評価を得ています。
「こんなことで!?」と驚く方が多いノウハウの1つです。
4つの仕掛けを施すと、タスクの姿が変わります。
例えば「自費率向上」という漠然としたタスクが、
「来週水曜までに補綴説明用の比較資料を作成する」
という具体的なタスクに変わるのです。
この「名前の変化」こそが、
実は最も重要なポイントです。
なぜか?
まず、名前が変わると自分の注意を引きます。
「自費率向上」では脳がスルーしていたものが、
「比較資料の作成」なら手を動かすイメージが湧きます。
これは単なる言い換えではないのです。
タスクの構造そのものを、
着手可能な状態に再定義するということです。
イメージしにくいと思うので、さらなる例を示しましょう。
「ホームページをリニューアルする」というタスク。
漠然としすぎているので名前を変えてみます。
当院の強みを3つ書き出す」
これなら今すぐに着手できそうでは?
「自由診療の成約率を上げる」
というタスクも同様に、名前を変えます。
断られた理由をスタッフに聞く」
これなら明日のミーティングでできそうでは?
このようにタスクの名前を変えることで、
タスクの正体が見えてくるのです。
自分が何に躊躇しているのか、
何が不明確で動けないのか、
それらが明確化・言語化されるのです。
そして実は、名前を変えただけでも、
タスクに取り組んだことになります。
なぜなら、
問題の明確化が解決の第一歩だからです。
さらに、名前を変えただけで達成感も生まれます。
タスクを分割し、書き出し、期限を決める。
この作業自体が、すでに前進なのです。
名前を変えても放置されてしまうようなら、
それは名付けが適正ではなかっただけのこと!
変更後も一定期間、放置してしまったなら
再度名前を変えれば良いだけです。
(その際、名前の変遷は記録する)
何度も名前を変えていくうちに、
先送りしている本当の理由がわかります。
「面倒だから」ではなく、
「患者に断られるのが怖いから」だったり、
「スタッフに反発されそうで不安だから」だったりします。
根本原因に気づければ、適切な対策が打てます。
そして無理なく、無駄な努力や苦労をしなくても
タスクを消化できるようになるというわけです。
「重要だが緊急でない」タスク
塩漬けになっているタスクには、
実はあえて伏せておいた
もう1つの共通の特徴があります。
それは、
緊急ではないが重要であることです。
今日やらなくても診療は回ります。
でも、やればやるほど医院の未来が変わります。
緊急ではないけれども重要なタスクを
1つずつ、着実に消化していくことが、
あなたの歯科医院を地道ながら確実に成長させる鍵になります。
なぜなら、緊急タスクは誰でもやる。
差がつくのは、
緊急ではない重要タスクへの取り組み方だからです。
・スタッフ面談を仕組み化すれば、定着率が上がります。
・自由診療の説明を磨けば、成約率が変わります。
緊急ではないけれども重要なタスクは、
あなたの成功を呼び寄せる核心的なピースなのです。
アクションプラン
ここまでの内容を整理します。
タスクが放置される原因は4つ。
締め切りがない
漠然としていて大きすぎる
最初の一歩が不明確
やらなくても困らない
先送り/塩漬けタスクの消化対策も4つ。
締め切りを設定する
具体的のなるまで小さく分割する
最初のアクションを明文化する
ペナルティを設定して公言する
そして最も重要なのは、これらの対策によって
タスクの「名前」が変わること。
名前が変われば、行動が変わります。
行動が変われば、結果が変わります。
冷蔵庫の奥で眠っていた食材のように、
歯科医院経営にも
「塩漬け」になっているタスクがあるはずです。
・スタッフとの定期面談制度
・リコール率の改善施策
・診療効率の見直し .ect.
どれも「いつかやろう」と思いながら、
手つかずのまま時間だけが過ぎていませんか?
今日できる最初の一歩はシンプルです。
まずは今日、先送りしているタスクを
1つだけで良いので書き出してください。
そして、そのタスクの「名前を変えて」みてください。
例えば「自由診療率向上」だったタスク名を
「金曜日までにインプラントの説明用写真を3枚用意」に。
たったこれだけで、 そのタスクは動き出す準備が整います。
緊急ではないけれど重要なタスク。
これをコツコツと消化できる院長が、
長期的に安定して成長を続けて
その結果として大きな成功を手にする院長です。
「最初の一歩は何か」を明確にするだけで、
あなたの医院は確実に前に進み始めますよ。









