街から消えゆく老舗の共通点
先日、30年以上営業していた
近所の定食屋が突然閉店しました。
味は確かで、価格も良心的。
常連客も少なくありませんでした。
しかし店主は70代後半。
メニューは開業当時とほぼ同じ。
SNSもウェブサイトもなく、現金払いのみ。
「老兵は死なず、消え去るのみ」
閉店の張り紙にはそう記されていました。
このような老舗の突然の閉店。
実は街のあちこちで起きています。
共通点は一つ。
時代の変化への対応が遅れたことです。
飲食店だけの話ではありません。
書店、クリーニング店、電気店……
かつて地域になくてはならない存在だった店が
次々と姿を消しています。
あなたの歯科医院は大丈夫ですか?
実は今、歯科医院業界も
同じような転換期を迎えています。
「歯が痛くなったから来る」という来院動機が
急速に減少しているのです。
歯科医院数はここ数年、微増で推移しています。
しかし、う蝕治療は確実に減少している…
この事実が意味することは何か。
あなたの医院にどんな影響を及ぼすのか。
そして何より、どう対応すべきなのか。
私は開業8年目頃に経営難を経験し、
そこからの立て直しに苦労しました。
当時の経験と歯科医院経営の研究をベースに
現在までに200医院以上のコンサルティングを行い、
事前の目標達成をサポートしてきました。
(成果は実行状況や環境により異なります。)
本記事では、
う蝕治療減少という構造変化が
あなたの医院経営にもたらすリスクと、
具体的な対応策をお伝えします。
なぜ今、岐路に立たされているのか
う蝕治療の減少という構造的変化
う蝕治療の減少は一時的な現象ではありません。
構造的な変化です。
フッ素塗布の普及、予防意識の向上、
口腔ケア製品の進化、出生率低下、少子化…
これらによって、
「歯が痛くて我慢できない」という
従来型の来院動機が減り続けているのです。
ここで考えてみてください。
あなたの医院は、う蝕治療を中心に
運営モデルを組み立てていませんか?
「痛みを訴える患者を治す」
この発想のまま対策を講じなければ、
収入は確実に減っていきます。
患者数が減る…
1日の来院が20名を下回る日が増える…
月商300万円をも維持できなくなる…
こうした事態は、
決して他人事ではないのです。
規模別に異なる二つの経営リスク
さらに問題を複雑化しているのは、
この構造変化が医院の規模によって
異なるリスクをもたらすことです。
中規模医院のリスク:収益の不安定化
自由診療の割合を高めた医院。
広告費、最新設備、スタッフ数も充実。
一見、順調に見えます。
しかし自由診療による収益は
ボラティリティ(変動性)が大きいのです。
好調な月は月商800万円。
しかし翌月は400万円。
固定費負担が大きい中で、
この変動に耐えられますか?
コロナ禍のような予期せぬ事態が起きれば、
資金ショートのリスクが一気に高まります。
利益を安定的に確保する方策がなければ、
規模の大きさが逆に
経営を圧迫する要因になるのです。
小規模医院のリスク:患者流出の加速
一方、小規模医院には別のリスクがあります。
競合する中規模医院だけでなく、
他業種(美容サロン、エステ等)によって
患者が奪われるリスクです。
(治療費用を他で消費されてしまう)
医院に「患者に選ばれる特徴」がなければ、
患者はロイヤルティを持ってくれません。
他医院との差別化が弱いとどうなるか…
「都合のいい時に行く医院」
「わがままの聞く都合の良い医院」
こう認識されてしまうのです。
予約のドタキャンが増える…
メンテナンスのリコール率が上がらない…
自由診療の成約に苦戦する…
これらはすべて、
選ばれる理由の不在から生じています。
つまり、中規模医院も小規模医院も、
それぞれ深刻な経営リスクに
直面しているのです。
ではどうすればいいのか?
次のセクションで、具体的な対応策をお伝えします。
時代に適応するための具体的対応策
新たな来院動機の設計
う蝕治療が減少する時代。
何をフックにして来院してもらうか…
この対策が不可欠です。
「痛みがなければ来ない」
まずは、この前提を捨ててください。
患者が歯科医院に求めるものは
多様化しています。
たとえば、こんな動機です。
予防・メンテナンス
「カリエスで歯を失いたくない」
健康意識の高い患者層は確実に増えています。
審美的改善
「人前で自信を持って笑いたい」
ホワイトニングや矯正への関心は
若年層だけでなく中高年にも広がっています。
機能改善
「よく噛めるようになりたい」
「ハキハキと話したい」
QOL向上を目的とした来院動機です。
口臭・歯周病の悩み
「家族に口臭を指摘された」
「営業職で口元が気になる」
切実な悩みを抱えています。
重要なのは、自医院が解決できる
”メインとなる悩み”を明確にすることです。
あなたの医院は、どんな患者のどんな悩みの解決を
最も得意としていますか?
そして、それを言語化できていますか?
言語化できなければ、患者には伝わりません。
「う蝕治療以外のフック」を
今日から設計してください。
規模に応じた収益安定化戦略
次に、医院の規模に応じた
具体的な収益安定化戦略です。
中規模医院:固定費の下支え
自由診療の比率が高い医院ほど、
実は保険診療の基盤が重要です。
なぜか?
自由診療は波がある。
好調な月もあれば低調な月もある。
その変動を吸収するのが、
安定的な保険診療収入なのです。
広告費をかけて新規患者を集めるだけでなく、
既存患者のリコール率を上げる。
メンテナンス患者を増やす。
こうした地道な取り組みが、
固定費を支える土台になります。
利益を安定的に確保する方策とは、
派手な施策ではありません。
予測可能な収入源を持つことなのです。
小規模医院:明確な特徴の言語化
小規模医院の強みは何か?
それは、院長の人柄と専門性を直接届けられることです。
しかしその強みを、患者に伝えられていますか?
「患者に選ばれる特徴」がなければ、
患者はロイヤルティを持ってくれません。
たとえば、
「予防管理を徹底している」
「痛みの少ない治療を追求している」
こうした特徴を明確にし、一貫して発信する。
すると患者は、「この悩みならこの医院」と
認識してくれるようになります。
他医院との差別化が弱いまま放置すれば、
「わがままの聞く都合の良い医院」として
扱われ続けます。
リコール率が上がらない…
自由診療が成約しない…
これらはすべて、
選ばれる理由の不在が原因です。
中規模も小規模も、共通して必要なのは
「選ばれる理由」の言語化です。
あなたの医院は、
なぜ患者に選ばれるべきなのか、
それを明確に答えられますか?
今日から始める小さな一歩
時代は確実に変化しています。
う蝕治療の減少…
来院動機の多様化…
規模別の経営リスク…
これらは、すべての歯科医院が
直面している現実です。
しかし対応策は存在します。
まず、自医院の現状を
正確に認識することから始めてください。
今日できる具体的なアクションは3つ。
1. 直近3ヶ月の来院動機を分析する
患者はなぜ来院しているのか。
う蝕治療以外の動機は何か。
データを書き出してみてください。
2. 自医院の特徴を3つ言語化する
あなたの医院が最も得意とすることは何か。
患者にどんな価値を提供できるのか。
こちらも紙に書き出してください。
3. 収益の変動幅を確認する
月ごとの売上の波はどれくらいあるか。
固定費を安定的に支えられているか。
数字を見直してください。
変化への対応は、
大がかりな改革である必要はありません。
小さな認識から始まります。
現状を把握し、課題を明確にし、
一つずつ手を打つ。
それだけで、
あなたの医院は確実に変わり始めます。
時代の変化を見誤った老舗のように
ならないために、今日から、
小さな一歩を踏み出してください。









