「成功したい」の中身、言葉にできますか?
成功したい。
満足感の高い人生にしたい。
到達したい境地がある。
こんな歯科医師になりたい。
理想の歯科医院を実現したい。
お金持ちになりたい。
これらを並べるだけなら、
多くの歯科医師が
「まぁそうだよなぁ」と頷くはずです。
しかし、ここで少し立ち止まって考えてみてください。
その「成功」の中身、
具体的に言葉にできますか?
抽象的な言葉で並べただけなら、
目的やゴールは誰でも似たように見えます。
ところが、一つひとつを具体化し、
優先順位を整理して並べたとき、
まったく同じ順序・同じ中身の成功イメージを持つ人物が
二人、三人と存在する確率は、驚くほど低くなります。
先生の「理想の歯科医院」と、
同期の先生の「理想の歯科医院」は、
表面上同じようでも、本当に同じ姿でしょうか?
実は、ここに多くの歯科医院経営が
足踏みする最初の落とし穴があります。
目的地が曖昧なまま走り続けても、
たどり着く場所は偶然に左右されるだけ。
もちろん
「過程そのものを楽しむ」ことが最優先なら、
話はまた別になってしまいます。
ですが、実現したい姿が実際にあるのなら、
まずはその
目的地のイメージを明確にすることが
欠かせません。
私はこれまで200を超える歯科医院の
経営改善に携わってきました。
多くの院長先生と過ごした中で見てきたのは、
増収増益を短期間で実現する院長ほど
「自分が何を目指しているのか」を、
鮮明で具体的な言葉で語れるまで煮詰めていたことです。
今回は、成功のイメージの明確化と、
それを周囲に伝え、動いてもらうための言語化について、
順を追ってお話しします。
それだけでは歯科医院は動かない…
目的地のイメージを明確にできた!
『よし、明日からこれで頑張ろう!』と満足して、
翌日からの診療に戻っていませんか?
ここで重要なのは、
歯科医院経営はあなた一人で完結しない
という当たり前の事実です。
診療ユニットの前に立つのは先生ですが、
医院を動かしているのは、先生だけではありません。
歯科医院を動かす「院長以外の登場人物」
少し整理してみましょう。
歯科医院には、院長であるあなたのほかに、
こんな人たちが関わっています。
- 院内で働く歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフ
- 外部で支える技工所、取引業者、新患を紹介してくれる方々のルート
- 毎日来院する患者(来てほしい患者、来てほしくない患者含め)
彼らの動き方次第で、
先生が描いた目的地にたどり着く速度、
乗り越えなければならない難易度、
そして先生自身にのしかかる負荷が、
まったく違ったものになります。
頭の中にあるだけではゼロと同じ
たとえば、先生が
「予防中心の歯科医院にしたい」と
心に決めたとします。
しかしスタッフがその意図を知らなければ、
相変わらず治療優先の声かけを続けるでしょう。
患者もまた「痛くなったら行く場所」としてしか
先生の歯科医院を認識しません。
結果どうなるか…
リコール率は上がらない…
自由診療の成約も伸びない…
ドタキャンも減らない…
先生だけが
「なぜ伝わらないのか」
と疲弊していく。
この構造こそ、
真面目で技術力のある院長ほど
陥りやすい罠なのです。
臨床技術では近隣に負けない自信がある。
セミナーにも通い、知識も最新。
それなのに患者数は増えず、月商は横ばい。
その原因の多くは、技術でも知識でもなく、
「イメージが院長の頭の中に閉じ込められている」
ことにあります。
先生が目指す歯科医院の姿を、
スタッフは語れますか?
患者は、先生の歯科医院に通う理由を
自分の言葉で説明できますか?
ここに答えられないなら、
次に取り組むべきは明確です。
相手ごとに「言葉を変える」
イメージを明確にした次に取り組むべきは、
そのイメージを
「相手に届く言葉」に翻訳する作業です。
ここで多くの院長がつまずきます。
よくある誤解は、「自分の理想を全て、
全員に伝えなければならない」というもの。
実は、その必要はありません。
全てを全員に渡そうとすると、
かえって何も伝わらなくなります。
どこが最も伝えたいことなのかが
曖昧で薄っぺらく感じて、
見えにくくなってしまうからです。
相手によって伝えるべき言葉は違う
スタッフと患者では、知りたいことも、
心が動くポイントも違います。
スタッフ間でも患者間でも違うことだってあります。
だからこそ、相手ごとに切り分けた言語化が必要です。
スタッフに向けた言葉の例
- この歯科医院が目指す診療の方向性と、そこで働く意味
- 自分の仕事がどの目標につながっているかという役割の明確化
- 日々の判断に迷ったときの価値観の基準
患者に向けた言葉の例
- この歯科医院に通うことで得られる変化やベネフィット
- 他院ではなく、ここを選ぶべき理由
- 治療後の生活がどう変わるかという感情的価値
同じ「予防中心の歯科医院」という理想でも、
スタッフには「あなたの衛生指導が患者の人生を変える」
勤務医には「先生が患者の予防の価値観を変えてあげて」
と語りかけるのです。
そして患者には、より生活に近いところのこととして
「何事もなく過ごせる安心感」として届けます。
言葉を変えることは、
ごまかしではなく誠実さなのです。
「伝え方」まで最適化して初めて届く
的確に言語化できたとしても、
知ってもらいたい相手に
その言葉が届かなければ、
努力はゼロと大差ないことになります。
ここで必要になるのが「伝え方の最適化」です。
スタッフには、
朝礼・個別面談・院内資料など、
繰り返し触れる仕組みで浸透させる。
患者には、ホームページ・
院内掲示・カウンセリング・問診票など、
接点ごとに一貫したメッセージを配置する。
特に新規患者には、初診時の説明で
自医院の価値観を最初に共有する。
一度言ったから伝わる、
張り紙を出したから見られている、
という思い込みは禁物です。
人は、自分に関係があると
認識した言葉しか受け取りません。
うれしい副産物
ここで面白いことが起きます。
「どう伝えるか」を考え始めると、
「誰に伝えたいのか」が
より鮮明になっていくのです。
来てほしい患者はどんな人か。
長く働いてほしいスタッフは
どんな価値観の人か。
伝え方を設計する過程で、
こうした問いが自然と立ち上がってきます。
当然、来てほしくない患者や
価値観な合わない考え方を持つスタッフも
より具体的でハッキリとしてきます。
そして気づくはずです。
やるべきことが、
思っていたよりずっと多いことに。
しかし、それこそが、あなたの歯科医院を
「院長の医院」から「チームの医院」へと
進化させる作業なのです。
※発信内容は医療広告ガイドラインに則った
表現であることが前提です。
今日から始めてみましょう
ここまでをおさらいします。
1、「成功したい」という抽象的な願望は、
具体化しなければ目的地にならない
2、院長の頭の中にイメージがあるだけでは、
スタッフも患者も動かない
3、だからこそ、相手ごとに
言葉を変えて言語化し、
伝え方まで最適化することが必要
この一連の流れは、特別な才能も、
高額な投資も必要としません。
必要なのは、院長自身が
最初の一歩を踏み出す決断だけです。
今日できる、最初の小さな一歩
まずは今夜、診療が終わったあと、
ノートを1ページ開いてみてください。
そこに、こう書き出すのです。
「5年後、私の歯科医院はどんな姿になっているか」
患者の数、自由診療の割合、スタッフの人数、
院長である自分の働き方、月商、休みの日数…
思いつくままに、思考に制限をかけずに
具体的な数字と情景で書いてみてください。
書けなかった項目があれば、
そこが先生のぼんやりしている部分です。
書けた項目は、明日から言葉にして
周囲に伝えられる候補になります。
このたった1ページが、
先生の歯科医院を「院長一人のもの」から
「チーム全員で向かう場所」へと変える
出発点になります。
迷わず、まずは今夜から。
ペンを握るところから始めてみませんか?









