Last Updated on 2024.5.20 by 近 義武
今回はクイズから!
心理学者のジェニスとフェッシュバッハが行った、
心理実験の結果を予測をしてもらいます。
たまたまですが「歯磨き」が題材になっていますので
難しく考えずに考えてください。
まず準備として、被験者を集めて4つに分け、彼らに
「歯磨きをきちんと行おう」というレクチャーをしました。
・Aグループには「まぁ、歯磨きしてね」(脅しなし)
・Bグループには「虫歯になるからきちんと歯磨きしてね」(弱い脅し)
・Cグループには「虫歯になって歯に穴が開き、治療も大変だからきちんと歯磨きしてね」(中位の脅し)
・Dグループには「虫歯で顎までダメになり、身体にも影響出るから、きちんと歯磨きしてね」(強い脅し)
このように内容を変えてレクチャーを行い、最後に「歯磨きをしよう」と提案して終了しました。
では問題です。
実際に「きちんと歯磨きした」割合を多い順に並べるとどうなったでしょうか?
答えは、アドバイスに従った割合が高い順にBーCーDーA。
しかもA(脅しなし)とD(強い脅し)がほとんど変わらない結果でした。
クイズにするくらいですから、意外と言えば意外な結果ですよね。
患者に嫌われる!
さて、我々歯科医師は、患者に、こちら側の言い分を認めさせつつ、
なおかつ患者に嫌われないようにしないとなりません。
嫌われてしまえば、治療の中断や転院などの可能性が高まってしまいます。
そこで、患者との会話には十分な配慮が必要になるのですが、
実験の結果から、脅し無しでは指示に従ってくれないし、
そうかと言って強く脅しても、やはり指示には従ってくれない…
実験結果を踏まえると、アドバイスに従った割合が高い「弱い脅し」、
そしてその応用となる「弱い禁止」や「弱い指示」などによって患者を
我々が行なってほしい行動へと誘導するのが良さそうだということになります。
そうはいっても、悲観的な話や、厳しい話も時にはしなくてはなりません。
先延ばしにしてもいずれは話すことになります。
あまり遅くなるようだと、今度はそれを理由に嫌われてしまいそうです。
「強い脅し」「強い禁止」「強い制限」は反発される…
仕方なく伝えても患者の心証が悪くなる…
正直、やっていられない感覚ですが仕方がありません。
それでも「強い脅し」「強い禁止」「強い制限」は極力使わないようにし、
「弱い禁止」や「弱い指示」を繰り返すことで
患者の行動を制御することを基本にするしかありません。
これは純粋に”知識”の問題です。
今回せっかく仕入れた知識を
ぜひ、患者との会話や説明に役立ててください。