近 義武の歯科医院経営大学

あなたの歯科医院が持つ「埋もれた宝」

先日、あるカフェのオーナーと話す機会がありました。
彼は顧客のメールアドレスを集めるために、
無料ドリンクチケットを配布していました。

「一つのメールアドレスを獲得するのに
平均2000円のコストがかかっています」

彼の言葉を聞いて、あなたはきっと
「へぇ〜、そうなんだぁ…」
と感じただけだろうと思います。

しかし、よく考えてみてください。
あなたの歯科医院には、他業種が血眼になって集めている
「お宝」が、すでにカルテの中に眠っているのです。

患者の氏名、住所、電話番号、生年月日、
家族構成、職業、そして口腔内の状態まで。
これらの情報は、マーケティングの観点からすれば
途方もない価値を持っています。

しかし、多くの院長先生は
この情報を単なる「診療記録」としか
見ていないのではないでしょうか？

私はこれまで行ってきたのコンサルティングを通じて、
多くの歯科医院が、この「埋もれた宝」を活用して
劇的に業績を伸ばす姿を見てきました。

今回は、あなたの手元にある患者情報という「お宝」を
どう活用すれば新規患者獲得につながるのか、
その秘訣をお伝えします。

他業種が血眼になる情報があなたの手元に

一般企業のマーケティング会議では、
「顧客情報をどう集めるか」が常に議題の中心です。

ECサイトはクーポン配布で会員登録を促し、
不動産会社は無料査定で連絡先を獲得し、
コンサルティング会社は有益な無料レポートと
引き換えに名刺情報を集めています。

これらの施策には、広告費、システム開発費、人件費など
企業の年間予算の大きな部分が費やされています。

先日話した大手小売チェーンのマーケティング部長は
「顧客データベース構築に年間2000万円投じているが、
回収率は20％程度」と嘆いていました。

一方、歯科医療の世界では状況が全く異なります。

患者は治療という目的のために、自ら進んで
詳細な個人情報を提供してくれるのです。

さらに歯科医院の情報には、健康保険証の確認義務という
”錦の御旗”があるため「定期的なメンテナンスが可能かつ簡単」
という大きな特性があります。

これは継続的な関係構築の基盤となる
貴重な前提条件なのです。

他業種が羨むこの状況を、
あなたはどのように活かしていますか？

手元の情報、活かせてる？

なぜ多くの歯科医院は、この貴重な情報資産を
有効活用できていないのでしょうか？

その最大の理由は、
「医療従事者視点と経営者視点の分離」にあります。

多くの先生方は
「カルテは医療記録であり、マーケティングツールではない」
という思い込みを持っています。

ある歯科医院の院長はこう話していました。

患者の情報は診療のためだけに使うべきで、
それを歯科医院経営のために使うことに罪悪感があった。

この発言は多くの先生方の心理を的確に表しています。

しかし、考えてみてください。

患者に「次回のメンテナンスの案内を送っても良いですか？」
と聞けば、ほとんどの患者は喜んで承諾しますよね。

予防歯科の重要性を伝え、定期的な来院を促すことは
患者の口腔健康を守るという医療従事者としての使命にも合致します。

そして、この情報活用への意識の欠如が
新規患者獲得に苦労する要因にもなっているのです。

多くの医院では、
既存患者の家族や友人という最も獲得しやすい新規患者層に
アプローチする機会を自ら放棄しているも同然です。

個人情報を活用した患者誘引の実践

では具体的に、患者情報をどう活用すれば
あなたの歯科医院の成長につながるのでしょうか？

この記事の公開は2025年9月30日まで