患者はあなたの技術ではなく、あなた自身を選んでいることをあなたは知っていますか?
今回は、診療技術だけのアピールでは伝わらない
あなた自身の価値の伝え方について話していきます。
あなたという歯科医師の価値
ある歯科医院での患者アンケート結果が考えさせられるモノだったので
まずはその共有からしていきましょう。
その歯科医院は院長先生の治療技術が非常に高く、
設備もしっかり整っていましたが、新患の数は伸び悩み、
自由診療の成約率も低迷していたのです。
そこで、患者アンケートを実施してみました。
特に私の目を引いたのは次の2項目の結果です。
「先生の技術を信頼していますか?」という質問に90%以上が「はい」と回答。
しかし「この医院を知人に紹介したいですか?」という質問には
半数以上が「わからない」と答えたのです。
この結果、何を意味しているのかおわかりでしょうか?
多くの患者さんにとって、
「どんな治療をするか」「先生の治療技術が高いか」は
重要ではあるが、他の全てを無視できるほど最優先ではないという意味です。
つまり、あなたの診療技術そのものだけでなく、
「あなたという歯科医師」「あなたの歯科医院」も
通院先を選ぶ際の選択基準になっている事実に目を向ける必要があります。
私が何らかの形で接した、たくさんの歯科医師が持つ共通課題は、
「技術向上には熱心だが、患者視点での自己価値の向上に関心が低い」ことでした。
臨床系のセミナーに積極的に参加するドクターほど、皮肉にもこの傾向が強いのです。
なぜ優れた治療技術を持ちながら患者に選ばれないのか?
そして、どうすれば「あなたという歯科医師」の価値を高められるのか?
今回はその本質に迫ってみたいと思います。
なぜ優れた技術があるのに患者が増えないのか?
多くの歯科医院が陥る罠、それは
「技術力さえあれば患者は増える」という思い込みです。
歯科医院経営上の大きな問題を抱えている歯科医師の
6割強が、この思い込みに囚われていました。
大学病院で10年以上の勤務・臨床経験を持ち、
難症例にも対応できる技術を持った、ある院長先生は
数百万円の自由診療用機器に資金投下して、診療体制を整えたり
毎月のように臨床系のセミナーに参加もしていました。
しかし、月の自由診療売上は30万円前後でずっと伸び悩んでいたのです。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
その理由は主に次の3つに集約されます。
理由1:患者は治療技術を正しく評価できない
確かに患者は、その先生の「技術」をまずは評価しようとします。
患者に選ばれようと、技術の高さをアピールしても
その内容を過不足なく理解されることはほぼありません。
当然ながらその価値まではわかってもらえはしません。
痛いか、痛くないか程度の評価の物差ししか持っていませんから
実際の治療後でも治療技術の良し悪しを正確に判断できません。
つまり、あなたが提供しているハイレベルな医療技術が、
患者さんには「他の先生にも可能な当たり前のこと」として認識されて
「選ばれる理由になっていない」のです。
理由2:情緒的価値の欠如
診療は単なる「修理」や「メンテナンス」ではありません。
患者は「痛みのツラさからの解放」「美しさ=自信の獲得」
「食事の楽しみの回復」といった情緒的な価値を求めています。
歯科医師自身が診療の技術的側面だけに着目していると、
この情緒的価値の伝達が不足してしまうのです。
理由3:信頼関係構築の時間不足
実際のところ、自由診療の成約率が高い歯科医院ほど、
カウンセリングや説明の時間が長い傾向にあります。
単に「最良の治療法だから」と説明するだけでは、患者さんの心は動きません。
患者の価値観や生活背景を理解し、なぜその治療が
「この患者にとって」最適なのかを伝える時間が必要なのです。
これらの問題は、診療技術を磨くことだけでは解決できません。
「技術の高さをアピールして選んでもらう」から
「あなた自身を選んでもらう」へと、発想の転換が求められています。
患者に選ばれる歯科医師になるための5つのポイント
具体的に、「あなたという歯科医師」が選ばれるためには、
どうすれば良いのでしょうか?
再現性の高い5つのポイントをお伝えしましょう。
ポイント1:あなた自身の価値観を伝える
「なぜ歯科医師になったのか?」「どんな理念を持って診療しているのか?」
あなた自身の想いを患者に伝えることは、強力な差別化要因になりえます。
例えば、自分が子供の頃の大けがの経験から
「痛みを最小限にした治療」にこだわりを持つ院長先生が
院内POPやウェブサイトでそのこだわり積極的に伝えた結果、
痛みに敏感な患者が多く来院するようになったと聞き及んでいます。
ポイント2:時間の使い方を見直す
初診時のカウンセリングに十分な時間を確保していますか?
データによれば、初診時に15分以上の対話時間を設けている医院は、
そうでない医院に比べて自由診療の成約率が有意に高くなっています。
ユニットの回転率を上げることも大切ですが、
「この先生に任せたい」と思ってもらうための時間投資はさらに重要です。
また、話だけならユニットで行う必要性も低くなります。
オペレーションを院内スタッフと話し合って工夫するのもオススメです。
ポイント3:五感に訴える医院づくり
患者は自らが診療台に座る前から、あなたを評価しています。
医院の香り、受付スタッフの応対、待合室の快適さ、診療室の清潔感…
これらすべてが「あなたという歯科医師」の一部なのです。
実際、私がコンサルティングした医院で、
待合室にアロマディフューザーを設置し、BGMを見直しただけで
患者満足度が10%以上も上昇した例があります。
ポイント4:説明の「言語切替スイッチ」
歯科専門用語と患者向けの言葉を適切に使い分けていますか?
インフォームド・コンセントの広まりにより、
専門用語ばかりを使う歯科医師はいなくなりましたが、
単純に難解単語を平易な語彙に置き換えただけになりがちです。
前段でもお話ししたように、患者は歯科医学的知識の不足はもちろん、
「炎症」「リスク」「確立」などの高めの一般教養の語彙も
乏しいのがデフォルトです。
小学校高学年の生徒でも理解できそうな文章構成で
説明を行うことが、理解と信頼につながります。
ポイント5:フォローアップの徹底
治療後のフォローこそ、あなたへの信頼を決定づけます。
治療完了後に電話でのフォロー、定期検診のリマインドハガキ、
メールでの口腔ケアのアドバイスなど、患者との接点を意識的に増やすことで、
「この先生は私のことを気にかけてくれている」という安心感を生み出せます。
これは新しい患者獲得よりもはるかに低コストで、リコール率の向上にも直結します。
これらのポイントに共通するのは、どれも
「技術向上のためのセミナー参加」より低コストで、すぐに実践できます。
あなたの真の価値は、治療技術だけでなく、こういった「患者に選ばれる要素」の総合力なのです。
診療技術と合わせて”選ばれる歯科医師”を目指す
「診療技術」と「選ばれる歯科医師」の要素の
両方が重要であることをご理解いただけたと思います。
もちろん、優れた診療技術の習得は歯科医師として不可欠です。
しかし、それだけでは真の医院の発展には繋がらないのです。
成功している医院の共通点は
「高い診療技術」と「選ばれる人間性」を両立させていることです。
これを「ブランドの確立」と言い切ることだって可能です。
高度な技術を持っていながら患者数や収益に悩む歯科医師は少なくありません。
しかし、本日お伝えした「患者に選ばれる5つのポイント」を実践すれば、
必ず状況は変わります。
あなたの診療技術と人間性が調和したとき、
患者はあなたを「単なる歯科医師」ではなく、
「自分と家族の健康を任せたい信頼できるパートナー」として選ぶことでしょう。