Last Updated on 2025.5.17 by 近 義武
先生、毎日の診療、本当にお疲れ様です。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
ニッチな自由診療でも「先生のその治療が受けたい!」患者が集まる歯科医院構築、
クリニックの経営アドバイザーで歯科医師の 近 義武 です。
先日、ある人気レストランのオーナーと話す機会がありました。
開店から3年で予約の取れない店に成長させた秘訣を聞くと、
「口コミを大切にしているからかなぁ…」と教えてくれました。
ここに異論を感じる院長はほとんどいないと思います。
私も、多くの院長先生から「どうすれば口コミが増えるのか」
という質問を受けます。
そう尋ねてくる先生のほとんどがこう考えています。
「良い治療をすれば自然と患者が口コミを広げてくれる」と。
しかし残念なことに、これは大きな勘違いなのです。
口コミの起点に関する勘違い
以前に、ある歯科医院を訪問した際のこと、
受付のスタッフが患者に「院長先生の治療は痛くないんですよ」
と自然に話していたのです。
患者は安心した表情で診療室に向かいました。
そして後日、その患者の紹介で新規患者が来院したそうです。
これこそが口コミの本質です。
多くの院長先生が勘違いしているのはここです。
口コミの起点は「患者」ではなく、実は「スタッフと院長」なのです。
さらに言うなら、8割方はスタッフ起点です。
口コミは患者が自発的に始めるものではなく、
歯科医院内部からの情報発信が種となって広がるものなのです。
別の言い方をするなら、歯科医院の内側から意識的に生み出すものです。
あなたはこの真実、
歯科医院の口コミの実態に気づいていますか?
でも考えてみれば当然のことです。
患者が第三者に口コミを自発的に行うとしても、その前に、
患者自身が医院の良さを知り、感動する必要があります。
そうであるなら、その感動体験を言葉で伝えるのは誰でしょうか?
それは紛れもなく院長先生自身と、患者に接するスタッフです。
つまり、口コミの起点は私たち歯科医院側にあるのです。
真の口コミ戦略とは、患者の行動を待つ受け身の姿勢ではなく、
歯科医院の内側から能動的に始める取り組みなのです。
口コミが生まれる本当のプロセス
口コミが発生するプロセスを正確に理解することは、
歯科医院経営において非常に重要です。
多くの院長先生が
「良い治療をしているのに、なぜ口コミが増えないのか」と
悩んでいますが、口コミの発生を患者任せにして
発生するプロセスの理解を放棄していることが根本の原因です。
効果的な口コミは次のような流れで生まれています。
患者は自分が受けた治療の良し悪しを第三者に伝える以前に、
「伝えるべき情報」を持っていなくては
仮に伝えたい意思があったとしても伝えることができません。
つまり患者は、誰かから情報を受け取る必要があるのです。
口コミの最初の起点となるその情報を伝える・渡す役割を担う、
「誰か」こそ、院長先生でありとスタッフであるのです。
まず院長やスタッフが医院の良さを患者に伝え、
次に確かにそうだと感じた患者が第三者にその情報を伝えるのです。
実際の患者は、使っている最新機器の価値や、治療の難しさ、
先生の技術の高さなどを全く理解できていません。
「この治療法は○○な点で患者さんに良い結果をもたらします」
「先生は○○の治療で患者さんにずいぶん喜ばれているんです」
こうした情報を伝えるのは、院長自身やスタッフでしかありません。
しかし「自画自賛するのはどうも…」と躊躇する院長先生も多いでしょう。
だからこそ、スタッフの役割が重要になるのです。
スタッフが自然な形で医院や院長の良さを患者に伝えることができれば、
それは強力な口コミの起点となります。
例えば、あるインプラントの良い口コミが多いある歯科医院では、
単に「治療が終わりました」と伝えるのではなく、
「この治療法は院長の得意分野で、年間100件以上の実績があります」
とスタッフが患者に伝えていました。
結果としてインプラント治療を受けた患者は、友人や知り合いに
「あの歯科医院のインプラントは院長の専門分野で安心だった」
と具体的な情報を伝えるようになっていたのです。
つまり、口コミの基本構造は
「院長・スタッフ → 患者 → 第三者」という流れです。
患者は鏡のようなもの。彼らが外部・第三者に伝えるのは、
あなたやスタッフが彼らに伝えた情報の反射に過ぎません。
あなたの歯科医院では、患者に何を伝えていますか?
それは患者が第三者に伝えたくなるような情報ですか?
では、口コミを生み出すプロセスを理解したうえで
どうすればスタッフがそうした情報を、患者に自然に
伝えてくれるようになるでしょうか?
スタッフの自尊心が鍵
「私たちの医院で働けて本当に誇りに思います」
これはある歯科医院のスタッフが患者に対して発していた言葉です。
なぜスタッフがこのような言葉を口にできるのでしょうか?
その答えは「自尊心」にあります。
スタッフが医院や院長に対して誇りを持ち、
自分の仕事に自信を持っているとき、
彼女たちは自然と医院の良さを患者に伝えたくなるのです。
では、そのスタッフの自尊心を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
実は、意外なほど簡単にスタッフの自尊心は高められます。
使用するのは患者からの「喜びの声」です。
「喜びの声」が、スタッフの自尊心を高める鍵を握っています。
患者から「痛くなかった」「丁寧に説明してくれた」などの
感謝の声を受け取ると、 スタッフは自分の仕事の価値を実感します。
人は自分の仕事が誰かの役に立っていると実感したとき、
最も大きなやりがいを感じるのです。
そして「私たちの医院は患者に喜ばれている」という確信が生まれます。
この確信こそがスタッフの自尊心を高め、
院長先生や歯科医院の良さを自然と口にする原動力となるのです。
スタッフが自分の仕事に誇りを持ち、所属する医院に愛着を感じることで、
患者への肯定的な情報発信が自然と生まれるのです。
実はこの現象、心理学的にも裏付けられています。
人は自分が関わる組織の評価が高まると、
自分自身の価値も高まると感じる傾向があるのです。
このようにして、「患者の喜び → スタッフの自尊心向上 →
より良い患者対応 → さらなる患者の喜び」という 好循環が生まれるのです。
つまり、患者の喜びの声を集めることは、
単なる自己満足ではなく、口コミを生み出す仕組みの核心なのです。
患者の喜びを可視化する
では、具体的にどうすれば患者の喜びを可視化し、
スタッフと共有できるのでしょうか?
最も効果的で簡単な方法は、「患者アンケート」の実施です。
ただし、一般的な満足度調査ではなく、
患者の具体的な喜びや感謝を引き出す質問設計が重要です。
例えば、以下のような質問が効果的です。
・当院のスタッフの対応で良かった点はありますか?
・治療を受けて改善した具体的な変化はありますか?
・友人に当院を紹介するとしたら、どのような点を伝えますか?
このようなアンケートを治療終了時や定期検診時に実施すると、
驚くほど多くの肯定的なフィードバックが集まります。
重要なのは、集まった声をすぐにスタッフと共有することです。
朝礼や週一回のミーティングで紹介したり、
スタッフルームに掲示したりするとよいでしょう。
ある歯科医院では、毎週金曜日に「患者の声ミーティング」を設け、
その週に集まった患者からの感謝の声を全員で共有していました。
するとスタッフが「○○さんがこんな素敵なことを書いてくれた」
と自然に話し始め、患者の良いところを話す文化が生まれたのです。
喜びの声を目にしたスタッフは、 次第に自信と誇りを持って
患者と接するようになります。
このような取り組みを続けることで、
スタッフが自発的にあなたの歯科医院の良さを患者に伝えるようになり、
さらに第三者に伝わって、結果として口コミからの新患が増加するのです。
実はこの方法は、どの歯科医院でも実践可能です。
ほぼ全ての歯科医院で、喜びの声がクレームよりも圧倒的に多い
という結果になります。
今日から実践する口コミ戦略
いかがでしたか? 口コミの本質は、患者からではなく、
あなたの歯科医院の内側から生まれるとおわかりいただけたことでしょう。
最後に効果的な口コミ戦略の流れと
今日から実践できるアクションプランをまとめます。
口コミ戦略の流れ
・患者の喜びの声を集める(アンケート実施)
・スタッフと共有する(ミーティングや掲示)
・スタッフの自尊心が高まる
・スタッフが自発的に医院の良さを患者に伝える
・患者が第三者に口コミを広げる
この好循環を作るために、
今日から実践できるアクションプランをです。
アクションプラン
①治療終了時の簡単なアンケートを作成する(5問程度で十分です)
②週1回、集まった患者の声をスタッフと共有する時間を設ける
③医院の強み(先生の専門性、設備の特徴など)をスタッフ全員が説明できるよう情報共有する
このシンプルな取り組みから、
あなたの歯科医院の新しい口コミの循環が始まります。
患者の喜びの声をきっかけに、スタッフの自尊心が高まり、
自然とあなたと歯科医院の良さを患者に伝えるようになります。
そして満足した患者が、その情報を第三者へと伝え、
新たな患者の来院を促し、受診に至る好循環が生まれるのです。
最初の一歩を踏み出すのは、 他でもない院長であるあなた自身です。
まずは小さな一歩から始めてみませんか?
明日といわず今日からぜひ実践してみてください。