こんにちは、株式会社120パーセント代表、
ニッチな自由診療でも「先生のその治療が受けたい!」患者が集まる歯科医院構築、
クリニックの経営アドバイザーで歯科医師の 近 義武 です。
情報発信の迷宮
なぜ多くの歯科医院サイトは患者を惹きつけないのか?
インターネットで「歯科医院」と検索すると、
数え切れないほどの歯科医院サイトが表示されます。
しかし、そのほとんどが同じような情報で溢れ、
差別化ができていません。
あなたはご自身の歯科医院サイトを
最近じっくりとご覧になったことがありますか?
多くの歯科医院サイトが抱える問題は、
「伝えたいこと」と「伝えるべきこと」の混同にあります。
たとえば、導入した最新設備や高度な技術力を
熱心に紹介しているページを見かけます。
しかし、それらは本当に患者が知りたい情報でしょうか?
私は200以上の歯科医院のコンサルを請け負いましたが、
成功している医院にはある共通点がありました。
それは「患者が求める情報」を的確に
提供していることです。
先日も、ある院長先生から相談を受けましたが、
「自医院のサイトのアクセス数は多いのに、
なぜ新患が増えないのか」という内容でした。
サイトを確認すると、先生が情熱を込めて書いたであろう
治療哲学、留学経験、設備の詳細などが並んでいました。
しかし、肝心の「患者が抱える不安や疑問」に
応える情報が乏しかったのです。
このように「伝えたいこと」に終始し、
「伝えるべきこと」を見失っているケースが
非常に多いのが現状です。
さぁ、あなたの歯科医院のサイトでは
どんな情報を発信しているでしょうか?
『伝えたいこと』を発信する落とし穴
院長の熱意が招くミスマッチ
歯科医院サイトが効果的に機能していない主な理由は、
”院長視点と患者視点のズレ”にあります。
この現象を私は
「情報発信のパラドックス」と呼んでいます。
院長先生方が力を入れて発信している
「歯科用CT完備」「マイクロスコープ使用」「〇〇学会認定医」
などの情報は、実は患者にとって優先度が低いのです。
ある院長先生は高額な設備を買い揃えて、
ご自身の歯科医院の公式サイトで詳細に紹介しました。
しかし、その情報が新患の増加に寄与したかというと、
そうではありませんでした。
なぜでしょうか?
患者は、歯科の専門用語や
治療機器の性能などを理解できないため、
それらの情報から「自分の問題が解決するか」を
判断できないのです。
また、医院の実績や院長の経歴は、
患者が抱える具体的な悩みと
直接結びつけることもできません。
例えば「歯が痛い」という悩みを持つ患者にとっては
「インプラント症例数1000件」という情報は、
「自分に関係があるかも…」と思いつきもしないわけです。
この「伝えたい症候群」から脱却できない限り、
サイトを訪れる人が増えても予約という行動には繋がりません。
患者が本当に知りたい情報とは?
伝えるべき情報の選定法
では、患者が本当に知りたい
「伝えるべき情報」とは何でしょうか?
患者への聞き取り調査やアンケートによると、
患者が医院選びで重視するのは次の3つです。
1. 痛みや不安への対応
「痛くない治療なのだろうか?」
「治療中には一体何をされるかが不安で…」
などの感情的な懸念が最優先事項です。
2. 費用と時間の明確さ
「いくらかかるのだろうか?」
「何回くらい通えば終わるのだろう…?」
という現実的な疑問が常にあります。
3. 自分と似た症例の成功体験
「私と同じような悩みを持つ人はいるのか?」
「どうやって改善したのだろう…」
こんなことを知りたいのです。
こうした”伝えるべき情報”をうまくチョイスするには、
患者視点への転換が欠かせません。
具体的な方法は、
既存の患者から実際に「何を知りたかったか」を
ヒアリングしてみることです。
クライアント先だった、ある医院では
受付で受けた、患者の質問を1週間分、全て記録しました。
すると「料金」「痛み」「所要時間」
に関する質問が全体の8割を占めたそうです。
また、自医院のサイトの問い合わせフォームや
電話、さらには受付で患者に尋ねられた質問も
重要な手がかりになります。
これらの声に応える情報こそが、
新患を呼び込む力を持っているのです。
『伝えるべきこと』を伝える情報発信戦略
ここまで見てきたように、
歯科医院サイトがどれだけ集患できるのかは
「伝えたいこと」ではなく「伝えるべきこと」を
いかに発信できるかにかかっています。
ではそれを実現するには具体的には
どのように実践すればよいのでしょうか?
まず、サイトの構成を変えてしまいましょう。
「患者の悩み別」に再編成してください。
「歯が痛む方へ」「見た目が気になる方へ」
といった入口を別々に作るのです。
次に、患者が最も知りたい情報を
「上位から順に」配置します。
治療期間の目安、痛みへの対策、料金表…
といった情報を優先的に見せるのです。
実際にある医院では、トップページに
「痛みゼロ宣言」と「料金早見表」を設置した結果、
問い合わせ件数がおよそ1.5倍に増加した事例もあります。
また、実際の患者の声を症例ごとに
詳しく紹介することも効果的です。
「私と同じ悩みを持つ人の問題が解決した」
という物語は、強力な安心材料になります。
(広告ガイドラインは遵守)
もちろん
先生の技術力や設備も伝える必要がありますが、
「患者の悩みの解決にどう役立つか」
という文脈で語るべきです。
「マイクロスコープがある」ではなく、
「マイクロスコープを用いることで、肉眼の20倍の精度で
治療可能となるので、歯痛の原因を見逃しません」と伝えるのです。
伝えたいことを伝えても患者は増えません。
伝えるべきことを伝えてこそ、患者は増えるのです。
今日からあなたの歯科医院サイトを
患者視点で見直してみましょう。
それが新患獲得を増やす、第一歩になります。