経営者の心構えとは

新患は来るのに患者が育たないならこの患者フロー診断!

院長先生が見落としていること

ある院長先生から、
こんな相談をいただきました。

 

「毎月、新しい患者さんが来てくれるんです。
でも、なぜか自由診療の提案がうまくいかない」

「患者さんからのドタキャンも多い。
何が問題なのか、さっぱり分かりません」

 

その先生の歯科医院を訪問してみると、
待合室は明るく清潔でした。
スタッフの応対も丁寧、治療技術も特に問題なし…
にもかかわらず、です。

 

実は、その先生が見落としていたのは
とてもシンプルなことでした。

 

それは『患者の流れを数字で把握していない』
ということだったのです。

 

先生のお話を聞いていると、
「今月は新患がいつも以上に多く来た」
「来月は目標をもっと引き上げたい」
という抽象的なしか出てきません。

 

しかし本当に必要な数字は
もっと細かいレベルの話なのです。

 

その院長先生とともに
医院の患者フローを分析してみると、
意外な事実が浮かび上がりました。

 

新患は月間20人来ているのに、
そのうち2回目の来院に至るのは14人。
通院患者に育つのは8人。

 

そしてリコール対象となる
定期検診の患者は、わずか3人だったのです。

 

つまり、新患の85%は
どこかのステージで脱落していたわけです。

 

この先生のケースは、決して珍しくありません。
むしろ、多くの院長先生が同じ状況に
直面しているのではないでしょうか。

 

新患は来ているのに、患者が育たない…
自由診療が進まない…
定期検診の患者が増えない…

 

こうした悩みの根底には、
『患者の流れが可視化されていない』
という共通の課題があります。

 

私は200を超える歯科医院の
コンサルティングを行ってきましたが、
成功している医院と、そうでない医院の差は
決して診療技術ではありません。

 

むしろ、患者がどのステージで
どれだけ流入・脱落しているかを
把握しているかどうかの差なのです。

 

歯科医院のマーケティングは、
表面的には複雑に見えます。

 

しかし中身は思いの外シンプルです。

 

それは患者を5つのステージに分け、
各ステージをスムーズに
上昇させていくことだけなのです。

 

今回は、その本質的なフレームワークと
あなたの医院で今日から実践できる
患者フローの診断法をお伝えします。

患者が歯科医院のファンになるまで

患者があなたの歯科医院のファンになるまでには、
必ず通る5つのステージがあります。

 

これを理解することが、
すべての改善の出発点となります。

 

第1ステージ:無認知の患者候補

このステージの人(まだあなたの患者でない)たちは、
あなたやあなたの歯科医院の存在をまったく知りません。

 

世の中には無数の歯科医院とドクターがおり、
ほとんどの人は自分の生活圏地域にどんな歯科医院、
どんな先生がいるのか把握していないのです。

 

この段階では、広告、口コミ、SNS、看板など
不特定多数に届く伝達手段を用いて
「あなたとあなたの医院の存在」を
知ってもらう必要があります。

 

いわゆる『認知率を上げる』施策が
それぞれの歯科医院で程度の差こそあれ
行われなくてはなりません。

 

その『認知』も、誰に(どんな属性の人たちに)、
どのような認識をもたれたいのか、
そして実際に持ってくれるのか、
これらの検討と検証が必須となります。

 

第2ステージ:見込み客(見込み患者)

無認知の候補者があなたの医院の情報に接して、
「ここならまぁ、アリにはなるかな…」
という段階です。

 

この段階の人は、あなたやあなたの歯科医院を
受診する候補に入れただけで、
まだ来院も、その決断もしていません。

 

しかし心理的には半歩だけ、
あなたの歯科医院に近づいた状態です。

 

ここで重要なのは、いかにしてその見込み客を
あなたやあなたの歯科医院にさらに近づけるか、
「ここになら予約してみようかな…」と思わせて、
他の歯科医院との「選択の迷い」を払拭するか、です。

 

第3ステージ:新規患者

実際に来院して、初診を受けた患者です。

 

ここが極めて重要なポイント。
なぜなら、新規患者の第1回目の体験が、
今後の患者関係のすべてに影響するからです。

 

多くの院長先生はここを軽視しています。

 

初診時の対応、説明、環境、スタッフの気配り…

 

これらが患者さんの心に
大きな影響を与えるのです。

第4ステージ:通院患者

初診後、2回目、3回目と一連の治療のために
継続して来院する患者です。

 

この段階では、治療計画の説明、進捗状況の共有、
院長、担当医、スタッフなど院内で関わる人との
信頼関係構築がカギになります。

 

通院患者から脱落する人(治療中断患者)が多いなら、
この段階でのアプローチに問題がある可能性が高いです。

第5ステージ:ファン・リピーター・かかりつけ患者

治療が終わった後も、定期的にリコール来院する患者です。

 

ここまで到達した患者さんは、
言うならば、あなたの医院の「ファン」です。

 

良い口コミや、友人の紹介なども期待できますし、
自由診療の提案も受け入れやすい状態になっています。

 

この5つのステージが患者フローの全体像です。
あなたの歯科医院が患者関連で悩んでいるのなら、
どこかのステージが停滞している可能性が高いのです。

なぜ患者が集まらないのか

集患が上手くいっていない歯科医院には、
共通のパターンがあります。それは大きく2つに分類されます。

 

パターン1:各ステージでの問題
〜対象者へアプローチが不十分〜

無認知の候補者に対して、
医院の存在を知らせる施策が効果的でない。
対象や目指す認識が明確でない。

 

見込み客に対して、
来院理由を作ってあげていない。
他院との「選択の迷い」で選ばれる惹きがない。

 

新規患者に対して、初診時の体験が雑になっている。
診療体制の脆弱性、診療方針の確立・共有不足、
予約時間のルーズさなどは患者に気づかれやすい。

 

こうした「各ステージ固有のアプローチ不足」が
患者流入の阻害要因になっているケースです。

 

多くの院長先生は新規患者数の更なるアップで
習慣の問題を打破しようとします。

 

「もっと広告を出そう」
「ホームページをリニューアルしよう」
「SNSを始めよう」

 

こうした施策自体は間違っていません。
しかし、穴の空いたバケツでいくら水を汲んでも
こぼれ落ちるばかりでは、わずかな水しか残りません。

 

バケツの穴を塞いで、こぼれ落ちにくくしてから
水を汲むべきなのは、自明の理です。

 

「集患」と言うと、患者獲得に目が行きやすいですが、
実際には脱落や流出についても十分な配慮が必要です。

 

パターン2:ステージアップ時の問題
〜遷移が停滞している〜

より一般的で、より深刻なのがこのパターンです。
各ステージには十分な人数が流入しているのに、
次のステージへ進む人が極端に少ないケースです。

 

冒頭でお話しした
相談者の先生の歯科医院がまさにこれでした。

 

新患は月20人来ているのに、2回目来院は14人、
その先は8人、3人へと減少していく…

 

この院長先生も御多分に洩れず
「もっと新患を集めよう」と考えていました。

 

しかし本当の問題は
「新患から通院患者、さらにかかりつけ患者への
ステージアップが上手くいっていない」ことです。

 

いくら新患を集めても、
そこから先へ進まなければ、経営上苦しいままです。

 

むしろ、限られた時間と予算を
新患集患に費やすのは本末転倒なのです。

 

あなたの医院はどちらですか?

 

新患は十分に来ているのに、患者が育たない…
それなら答えは明白です。
パターン2の停滞が起きているということです。

 

あるいは、新患自体が少ないなら
見ず知らずの人物をいかにして『未知の歯科医院』まで
足を運んでもらって、さらに居着いてもらうのかを
これまで以上に検証する必要がありそうです。

 

パターン1の改善も必要な可能性が高くなります。
しかし、ここで重要な視点があります。

 

実は、ほとんどの院長先生は
『何が自分の医院の問題かすら把握していない』のです。
感覚や推測で施策を打っているのです。
これが、改善を阻む最大の要因と言えます。

「患者フロー」を数値で診断する

では、どうやって
自分の医院の問題を特定するのか。
その答えは『分解と分析』です。

 

数値で把握すること。
これ以外に方法はありません。

 

分解と分析1:各ステージの流入数を把握

まず過去3ヶ月間の数字を集めてください。

 

・新患は何人来たか
・そのうち何人が2回目に来たか
・2回目来院者のうち何人が
 治療計画を承認したか
・治療中の通院患者は何人か
・定期メンテナンス対象患者は何人か

 

これらの数字を紙に書き出してください。
スプレッドシートでもいいです。
とにかく可視化することが重要です。

 

分解と分析2:各ステージ間の脱落率を計算

ここからが診断の本質です。
新患20人が来たなら、そのステージの完了までに
何人が脱落したのか、その脱落率を計算します。
例えば、

 

新規患者:20人
2回目来院:14人
脱落率:30%

2回目来院者:14人
イニシャルトリートメント完了:8人
脱落率:約43%

イニシャルトリートメント完了:8人
定期検診へ移行:3人
脱落率:約63%

 

このように各ステージで
脱落率を算出していくのです。

 

分解と分析3:達成率が低いステージを特定

ここまで分解と分析を進めると、
脱落率が高い(=達成率が低い)
ステージやステージアップポイントが見つかるはずです。

 

それが、あなたの歯科医院の
最大の改善ポイントである可能性が高くなります。

 

たとえば、
新患から2回目来院への脱落率が50%と高いなら、
そこに改善の手を打つべきです。

 

初診時の対応、治療説明、院内の雰囲気、
第一印象、清潔感、患者さんの不安解消…
この辺りが弱いということです。

 

一方、実際の通院、初期治療の開始から
初期治療の完了までの間の脱落率が高いなら、
ここでの患者対応を中心に検証・改善を試みましょう。

 

患者の信頼獲得のためのコミュニケーション、
スタッフの励まし、治療の進捗状況の説明、
委員側の予約時間、終了予定時間の厳守、
治療期間や負担金への不安軽減などに
改善の余地が大きくあるのかもしれません。

 

分解と分析4:最高脱落率のポイントから改善

ここが院長先生の仕事です。

 

複数のステージで脱落が起きていても、
すべてを同時に改善することはできません。

 

基本的には達成率が最も低いポイントから
順番に改善していくのです。

 

例えば、50%の脱落率を40%に改善できれば、
そのステージに流入した患者が20人なら
これまでよりも2人多く次のステージへ進みます。

 

これは年間で考えるとかなりの患者数増加です。
しかも、院内の業務改善で脱落率も改善できたなら
大きな費用負担が不要でできるかもしれません。

 

既に来ている患者さんを
次のステージへ進めるだけだからです。

 

数値が語ることに耳を傾けてください。

 

多くの院長先生は、感覚で経営判断をしています。

 

「なんとなく患者が減った気がする」
「スタッフの対応が悪いのかな」
「もっと宣伝が必要かな」

 

こうした推測で施策を打っています。
数値を見れば、明確になるのです。

 

あなたの医院の真の問題は
データの中に隠れています。

今日からすべきたった1つ

ここまでお読みになって、あなたは何を感じたでしょうか。

 

「なるほど、数値管理が大切なんだ」
おそらく、そう思っていただけたのではないでしょうか。

 

しかし、ここで重要な警告があります。
多くの院長先生は、この理論を理解しても実行しません。

 

なぜなら、
日々の診療に追われているから。
スタッフ対応に悩んでいるから。
患者さんの急患対応で手いっぱいだから。

 

気持ちは分かります。
しかし、です。
今、動かなければ、来年も同じ状況が続きます。

 

新患は相変わらず来るけど、患者は育たない…
ドタキャンも減らない…
自由診療の提案も上手くいかない…

 

では、何をすればいいのか。
答えはシンプルです。

 

先月の患者フローの数字を紙に書き出す。
それだけで構いません。

 

新患は何人か。
2回目来院は何人か。
定期患者は何人か。

 

正確な数字は不要です。大まかな数字で十分です。
その数字を見たとき、あなたは気づくはずです。

 

「あ、ここで脱落しているな」
「この段階が弱いんだ」

 

その気づきが、すべての改善の第一歩なのです。
数値を見ることで、初めて正しい診断ができます。
正しい診断がなければ、改善も成功もありません。

 

その後は簡単です。
脱落率が最も高いステージに対して、小さな改善を積み重ねる。

 

初診時の説明を工夫する…
先生自身も含めて、スタッフの患者対応を改善する…
患者さんの不安を軽減を心がける…

 

こうした小さな改善が大きな患者フローを生むのです。

 

先月の患者フロー数を改めて整理してください。
先月来院したマッサラの新患は、先月と今月で
どうなっているでしょうか。

 

2回目来院しなかった患者も、
2回目の来院以降も今月も通院している患者も、
治療がひと段落して定期検診となった患者もいるでしょう。
それぞれの患者の数をチェックしてみましょう。

 

それらを見ることからすべてが始まります。
複雑に見えた経営課題は、実はこんなにシンプルなのです。

 

あなたの歯科医院を変えるのは
新しい広告ではなく、
新しい治療法でもなく、
患者の流れを数値で見る習慣なのです。

 

今日から、その習慣を始めてみませんか。

 


 

先生の歯科医院、まだまだ伸び代があります!
その疑問や悩み、気軽に話してみませんか?

 

★誰にも知られず、どんなことでもお話しください!
『トライアルセッション(お試しコンサルティング)』

※品質は通常のコンサルティングと変わりません。
※2回目以降の継続を強制することはありません。
※その他のサービスを売り込むこともありません。

詳細はこちら
https://120percent-inc.com/contents/trial-session/


 

★根本的な原理原則に基づく自費率アップへのセミナー
 『高額でも患者から 治療をお願いされる3つの秘訣』

猛烈にプッシュしなくても高額な診療が次々決まる!
口下手でも、プレゼンにシステムがなくても大丈夫

詳細はこちら
https://wp.me/P6asQv-ps


 

★王道的なのに盲点な「コレ」を少人数セミナーで!
 『良質な患者でアポイントを埋め尽くす3つの急所』

良質な患者に数多く愛され通院してもらう
魔法のような集患の手立ては存在しません!

詳細はこちら
https://wp.me/P6asQv-rE

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あなたの歯科医院の繁盛と
あなたの成功を真剣に願っています!!

もしあなたに質問・疑問等がありましたら、
遠慮なく“近”まで質問フォームからお問い合わせください。

   ↓↓↓↓↓↓↓↓
質問フォームへ

※ 3営業日以内に返信いたします。

=========================

歯科医師
歯科医院の集患・経営、
ブランド構築コンサルタント

株式会社120パーセント
代表取締役  近  義武

関連記事

  1. tax saving

    年度末が迫っています。節税策は大丈夫?

  2. 残業廃止・時短

    歯科医院の「診療時間短縮・残業禁止日」メリット・デメリット(前編)

  3. 「街の法律家」から学んだ相談相手の落とし穴

  4. 経営不振の真犯人は誰? 成長歯科医院と停滞歯科医院の思考の差

  5. “行動あるのみ”という罠 – 成功…

  6. 「患者の区別」は差別ではない !経営安定化に必須の患者対応

  7. 経営の難易度は需給で決まる

    「歯科医師過剰問題」は単純な需要と供給のバランス

  8. 歯科医院経営の本質的ジレンマ〜プロフェッショナルとビジネスオーナーの二…

Category