Last Updated on 2020.12.10 by 近 義武
患者数が減少している状況に直面すると
診療時間の延長や休診日を返上する院長がおいでになりますが、
そうする前に知っておいてほしいことがあります。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
歯科医院の「売上アップ」について話しています。
歯科医院の売上は次のような『方程式』で表せます。
保険診療報酬分の『売上』
= レセプト1枚の平均点数 × レセプト枚数
= 診療1回の平均点数 × 平均来院日数 × 実患者数
= 診療1回の平均点数 × のべ患者数
= 診療1回の平均点数 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
自費診療報酬分の『売上』
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × 平均来院日数 × 実患者数
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × のべ患者数
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
方程式の1つ1つのの項目の数値を増加させることができれば、
歯科医院の『売上』が上がることになります。
これらの項目のうち、前回までで「診療1回の平均点数」と
「診療1回の平均自由診療報酬額」について話しました。
どちらも『患者単価』を上昇させる内容ですが、
古典的な保険診療→自由診療の転換だけでなく、
それぞれを最大化する為の施策を紹介しています。
自費診療は「値上げ」ができますから、その特質を有効活用しましょう。
今回は『診療日数』と『1日平均の来院患者数』について話ます。
診療日数
診療日数については年間ベースで考えるべきものです。
例えば、週休2日・祝日休診で、さらにGW・年末年始・お盆に
それぞれ1週間程度休診するとその歯科医院の年間での
診療日数は240日前後、月間だと約20 日の診療日数になります。
上記の週休2日をそこだけ週休1日に変えると
年間での診療日数は290日前後になります。
さらにGW、年末年始、お盆を休まなければ
年間での診療日数は310日前後に。
年中無休で不定休にすると360日前後になります。
これだけ見ると、診療日数は年間最大365日まで
増やすほど良さそうですが、あながちそうとも言えません。
売上方程式に以下の式があります。
見比べてみてください。
売上= 診療1回の平均点数 × のべ患者数
= 診療1回の平均点数 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
すなわち
のべ患者数 = 1日平均の来院患者数 × 診療日数
つまり、のべ患者数がたいして増えないのであれば
諸経費やあなたの拘束時間まで考慮すると
診療日数を増やしてもあまり意味がないのです。
別の言い方をすると、
「1日平均の来院患者数」が安定して十分確保できるなら
「診療日数」が多ければ多いほど『売上』が増える
ということです。
診療日数を増やすという戦略は、従来の診療日数では
患者が捌ききれない時に採用する戦略になります。
予約の間隔があきすぎて治療の質に問題が出る
予約困難→アポなし患者が増えて現場が混乱
ユニットがフル稼働でマンパワーでは対処不能
こういう問題が起こった時には診療日数増も検討に値します。
ただし、診療日増の際の最大の問題は人件費とスタッフ管理です。
人件費は経費の中でも最大のものの1つです。
しかも単に支払いが発生するだけではなく、採用、教育、
勤務評価、シフトなど付随して発生するタスクも増えます。
必要以上に人件費や管理の手間を増やすことなく
十分な人手を確保し続けるのはそれほど容易ではありません。
このことは診療時間を延長する際にも共通する注意点となります。
1日平均の来院患者数
1日平均の来院患者数について考える際に
ポイントとなるのは『ユニットの稼働率』です。
ユニット稼働率は簡単にいうと
『どれだけの時間、患者が(有効に)使っていたか』
を表すもので、それぞれのユニットごとに計算します。
ユニット稼働率=有効使用時間 ÷ 診療時間 × 100 (%)
診療時間はあなたの歯科医院の数値となります。
診療時間が9時から19時で昼休みが2時間なら、
診療時間は8時間ということになります。
有効使用時間は患者が座っていた時間です。
厳密に計算する場合にはウェイティング
(患者がユニットに座っているだけ)の時間も除きます。
計算をしてみると使用頻度の高いユニットが一目瞭然になります。
使用頻度の差が何らかの原因で生じているのなら
その要因を取り除く努力をします。
この要因が単純な「誘導のクセ」ということもあります。
平均的に使うことでユニットの「持ち」も伸びます。
当然ですが、ユニット稼働率は
アポイントの入れ方によって大きく上下します。
ユニット稼働率を上げるには主に2つの方法があります。
稼働率を上げる①
ユニットごとにアポイントを取る場合
文字通り、ユニットごとにアポイントを取ります。
患者にはそれぞれに来院しやすい時間帯や
通院不可能な曜日などが存在します。
そういったことを配慮しながらアポイントを決めます。
『優先順位としては歯科医院の都合を優先』です。
ドクターは対象患者の次回のユニット占有時間と
診療内容を受付(アポインター)に伝えます。
必然的に受付スタッフは診療内容の流れを
かなり詳細に理解している必要誠意が発生します。
例えば「印象」を衛生士が行う医院なら
印象ならびに後処置(仮封やTekなど)には
ドクターが付ききりになる必要がなくなるケースもあります。
その時間、ドクターは他のユニットでなら
別の患者の診療が可能です。
当然、診療の平準化や
コミュニケーションの徹底などが不可欠ですが、
歯科医院全体の稼働率は上がります。
稼働率を上げる ②
医院全体でアポイントを取る場合
よくある「15分に1人」「20分に1人」という
アポイントの入れ方です。
ドクターは次回のユニット占有時間を伝えれば
あとはスタッフに任せることも可能です。
「ユニットごとのアポイント」との併用や
「時間帯予約」など様々なバリエーションがあります。
能力の高い人材が揃うと
①のユニットごとのアポイント方式よりも
②の医院全体でのアポイント方式の方が
ユニット稼働率や1日の来院可能患者数の最大値が上昇します。
とはいえ、システマチックなのは
①のユニットごとのアポイント方式です。
ユニット稼働率や1日の平均来院患者数を
上昇させたいのであれば、基本的には
ユニットごとのアポイント方式を採用することです。
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
毎日ユニット稼働率の結果を計算するようになると
時折、ユニット稼働率100%を超える数値が
計上されることがあります。
このことは何を意味しているのでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。