Last Updated on 2020.11.27 by 近 義武
我々歯科医師は治療技術の向上については
どうしようもなく心引かれるものがあります。
でも、それを学ぶセミナーなどへの参加費用は
「売上」あってこそのものです…
我々が日々行なっている研鑽にも費用がかかっています。
書籍代、研修費、学習教材費、情報費、旅費、宿泊費…
セミナー参加費以外でも様々な形で支出があります。
勤務医ならばこれらは全て自腹、
つまり税引後の利益から捻出することになります。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
開業している院長であれば、これらの支出は全て「経費」。
つまり税引き前の利益から出ていることになります。
研鑽して利益が減った分に応じて、
税金も減額される開業医の方が金銭的には有利ですが、
いずれにせよ、利益の元となる『売上』が必要です。
歯科医院経営をして『売上』をそれなりに計上できていれば、
経費の節約も、経営改善への資金投下も、あるいは投資も
優位となるような工夫はいくらでもあります。
ということでまずは「歯科医院の売上」の構造を
経営に使われる関係式や方程式で理解してみましょう。
歯科医院の「売上」構造
歯科医院の売上を見て行く前に、
ここまでに話したことを関係式にしてみましょう。
売上 – 経費 = 利益(院長の研鑽費用は経費扱い)
利益 – 税金 = あなたが使えるお金
このような関係が成り立つので、
『売上』について理解を深めましましょうということです。
では、これからの話を理解しやすくするために
歯科医院における「1ヶ月分の売上」を
『売上』として本題を進めていきますね。
保険診療報酬の「売上」
まずは保険診療報酬の「売上」です。
① 『売上』=レセプト1枚の平均点数 × レセプト枚数
コレはおなじみの項目なので解説の必要はありませんね。
この①の方程式を書き換えてみます。
レセプト1枚の平均点数は、
診療1回の平均点数と平均来院日数/月の積に分解できます。
② 『売上』= 診療1回の平均点数 × 平均来院日数 × 実患者数
平均点数は500点前後、平均来院日数は2〜2.5が最頻値です。
レセプト枚数 =実患者数というのは大丈夫ですね。
ここで、平均来院日数がどういうものかを考えてみます。
平均来院日数は、のべ患者数を実患者数で割ったものです。
平均来院日数 = のべ患者数 ÷ 実患者数
この関係式を②の方程式に代入するとこうなります。
③ 『売上』= 診療1回の平均点数 × のべ患者数
さらに、のべ患者数は
1日の平均来院患者数と診療日数の積に分解できます。
診療日数は1ヵ月の営業日数に当たります。
④ 『売上』= 診療1回の平均点数 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
まとめると、「売上」の保険診療報酬分は以下のようになります。
保険診療の『売上』
① 売上 = レセプト1枚の平均点数 × レセプト枚数
② 売上 = 診療1回の平均点数 × 平均来院日数 × 実患者数
③ 売上 = 診療1回の平均点数 × のべ患者数
④ 売上 = 診療1回の平均点数 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
保険診療報酬の話なので、「保険点数」ベースで話しています。
次の自由診療報酬と比較などする場合には
実額に換算するために「点数×10」をしてください。
自由診療報酬の「売上」
ここまでの①〜④の方程式が腹落ちしていれば
自費診療の「売上方程式」の理解は簡単です。
方程式②〜④に組み込まれている「診療1回の平均点数」を
『診療1回の平均自由診療報酬額』に置き換えるだけです。
自由診療の『売上』
⑤ 売上 = 診療1回の平均自由診療報酬額 × 平均来院日数 × 実患者数
⑥ 売上 = 診療1回の平均自由診療報酬額 × のべ患者数
⑦ 売上 = 診療1回の平均自由診療報酬額 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
保険診療、自由診療、共に
これら方程式のそれぞれの項目の数値を上げれば
『売上』が上がることになります。
ここまでが歯科医院の「売上」構造に関する基本です。
方程式に登場するそれぞれの項目については
特に目新しいものはありません。
しかし、その意味や関係性については
曖昧のままにしていませんでしたか?
意味や関係性がはっきりとしてところで、
それぞれの項目の数値をいかに上げて行くか、
すなわち「売上」を上げて行くかを話していきましょう。
保険診療1回の平均報酬(平均点数)
ご存知のように保険診療については、
それぞれの処置等に対しての報酬が
「保険点数」という形で固定されています。
したがって、自由診療のように値上げすることで
報酬を上昇させることができません。
ですから、保険診療1回の平均報酬を上昇させるには
診療1回の医療行為等を増やすしかないのです。
つまり、1回の診療で行う内容を濃くすれば、
この「診療1回の平均点数」は上昇します。
患者に納得してもらえるなら、
今日の診療からでも変えることができる項目です。
具体的には以下のような手段が考えられます。
患者にとって必要な診療をもらさず説明、診療する
同種の治療を複数歯同時に行う
ハンドスピードを上げて単位時間あたりの処置量を増やす
これとは別に、高い保険点数が設定されてる診療の
比率を高めることでも平均点数の上昇は見込めます。
ただし、補綴治療は経費(技工料・材料費等)が
他の治療に比べて大きいので、注意が必要です。
最初に触れたように「売上 – 経費 = 利益」です。
薄利な治療の比率を高めると
働いている実感はあるのに利益が少ないことになります。
同様に、訪問診療はまだ高い保険点数となっていますが、
準備の手間や往復の時間などまで含めた点数であることは
考慮する必要があります。
また、診療可能な患者が十分にいるなら
単位時間の点数が低い治療を代診のドクターや衛生士に任せて
あなたはもっと点数の高い診療を行うようにすることも
あなたの診療1回の平均点数を上昇させることに繫がります。
条件は「利益>人件費」となっていることです。
人件費以上に利益が上がらないなら
スタッフを増員する意味はありません。
ここには特に注意が必要です。
次回は、自費診療の診療1回の平均報酬を
いかに上げて行くか、を話していきます。
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考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
保険診療1回の平均報酬を上昇させる施策のうち
「患者を治療する」際に行うものを中心に紹介しましたが、
治療以外で行う施策もあります。
例えば、スタッフや機材などを含めた
診療体制の整備がこれにあたります。
ここでも「経費」と「利益」は要チェックです。
実はこれ以外にも比較的簡単にできて
診療1回の平均報酬を上昇させることができる
ちょっとしたポイントがあります。
それはどんなことでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。