小さな失態が大きな信頼崩壊を招く患者心理の真相

技術だけでは患者は来ない時代

現在、臨床歴15年のベテラン、
インプラントの高度な技術を持っているのに、
月の新患数はわずか10人程度…

これは決して珍しいケースではありません。

歯科医院経営において、
「技術だけしっかりしていれば患者が来る」
という時代は既に終わっているのです。

あなたは「そんなはずはない」と
思われるかもしれません。

しかし、患者が
あなたの技術力を正確・正当に評価できると、
本気で考えているでしょうか？

当然ですがほとんどの患者は、
治療の質を専門的・客観的に判断することができません。

彼らが評価するのは、治療結果だけでなく
受付での対応、待合室の清潔さ、スタッフの笑顔、
あなた自身のコミュニケーション能力なのです。

治療の質については、
これらのことの評価の高低からの
独善的な思い込みがほとんどと言えます。

実際、患者満足度と術者の技術力の間には、
意外なほど相関関係が低いという事実がそれを裏付けています。

むしろ、「この先生は信頼できる」と
患者に思わせる総合的な印象が
リコール率・通院継続率などを左右しているのです。

では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか？

それは現代の患者が、
ネットで簡単に情報を得られる時代に生きており、
「開業しているのだから技術があるのは当たり前」
という前提で歯科医院を選んでいるからです。

つまり、技術は「必要条件」ではあっても
「十分条件」ではなくなっているのです。

あなたの歯科医院が
今日も空いたチェアを抱えているとしたら、
それは技術力の問題ではなく、別の課題がある可能性が高いのです。

患者が当たり前と感じる”技術力”
〜差別化の難しさと真の価値〜

患者は、歯科医院を構えている以上、
技術が平均以上であることは当たり前だと考えています。

あなたが「精密な治療が得意です」と
アピールしているのであれば、
平均以上をさらに凌駕していて当然だと感じているのです。

さらに、自由診療で高い料金を設定しているなら、
その技術めちゃくちゃ高いのは普通のことだと捉えられています。

つまり、技術力は「エントリーチケット」にすぎないのです。
これは厳しい現実かもしれませんが、患者の本音なのです。

そう感じる先生も多いでしょう。

しかし患者の目には、それは
「歯科医師として当然の努力」と映っているのです。

成功している歯科医院では、技術をアピールする代わりに
「痛みへの配慮」「丁寧な説明」「治療後のフォロー」
といった付加価値を前面に出してい流ことが多々あります。

これらは患者が実際に体感できる価値だからです。

技術力という「見えない価値」より、
患者体験という「感じられる価値」が
選ばれる理由になっているのです。

院長の二つの顔
〜臨床家と経営責任者の両立〜

あなたは自分の役割をどのように捉えていますか？

「私はまず歯科医師だ」

そう答える院長先生が多いのですが、
実はあなたには二つの顔があります。

一つは言うまでもなく「臨床家」としての顔。
もう一つは「歯科医院の経営責任者」としての顔です。

この二つの役割のバランスが、
歯科医院の成否を分けるのです。

優れた臨床技術を持っていても…

この記事の公開は2026年1月31日まで