こんにちは、株式会社120パーセント代表、
ニッチな自由診療でも「先生のその治療が受けたい!」患者が集まる歯科医院構築、
クリニックの経営アドバイザーで歯科医師の 近 義武 です。
先日、あるショッピングモールで印象的な光景を目にしました。
フードコートの一角のカフェで、若いスタッフたちが
実に活き活きと働いている姿を目の当たりにしたのです。
お客さんが途絶えない忙しい時間帯でしたが、
彼らは笑顔を絶やさず、テキパキと動き、
時には自発的に周囲を清掃していました。
これは単なる偶然ではありません。
たまたま、そのカフェの店長と話して分かったことですが、
彼らは「このカフェ店内でどう振る舞うべきか」
を明確に理解しているのだそうです。
歯科医院の経営でも同じことが言えます。
先生は診療技術の研鑽には熱心でも、
スタッフ管理では苦戦していませんか?
ビジョン実現の鍵はスタッフとの関係性にあり
「せっかく教育したスタッフがすぐに辞めてしまう」
「言ったはずなのに同じミスを繰り返す」
「患者対応に温度差がある」
こうした問題の本質は実は単純です。
あなたのビジョンがスタッフに共有されていないのです。
スタッフは「何を」すべきかは
分かっているかもしれません。
しかし「なぜ」そうすべきなのか、
あなたの歯科医院の理念と結びついた理解には
至っていないのです。
今日は、あなたの歯科医院の理念と結びついた理解には
どうすれば良いのか、スタッフマネジメントの基礎となる
3つの要素を言語化する方法をお伝えします。
この3つさえ明確にすれば、
スタッフの定着率は大きく向上し、
あなたの描く理想の医院づくりが一気に加速します。
理想のスタッフ像を明確化する
「どんなスタッフと一緒に働きたいですか?」
この問いにすぐ答えられる先生は
意外と少ないものです。
多くの場合、「明るい人」「真面目な人」など
表面的な特徴が挙げられますが、これでは曖昧すぎます。
本当に必要なのは、年齢や外見ではなく、
あなたの理念に共鳴する「価値観」を持った人材なのです。
例えば、「患者第一」を掲げるなら、
「どんな場合も患者の利益を最優先に考えられる」
価値観や資質を持つ人材が必要です。
「最新の治療提供」がモットーなら、
「常に学ぶ姿勢を持ち、新しい知識に好奇心を示す」
素地や考えを持っている人材が理想でしょう。
あなたの歯科医院が大切にしている核心的な価値—
「誠実さ」「向上心」「協調性」「責任感」etc…
などのどれに重きを置いているのかを明確にしましょう。
こうした価値観や思考法を明文化することで、
採用基準が明確になり、ミスマッチも減少します。
私が支援した医院では、
「患者の不安に共感できる想像力」を
重視する院長の方針を明文化したところ、
スタッフの応対が目に見えてに改善しました。
院長先生が考える「理想のスタッフ像」の言語化は、
既存スタッフにとっても成長の指針となります。
目指すゴール、努力の方向性が明確になるので当然です。
今夜にでも、あなたの歯科医院がスタッフに求める
「価値観」「考え方」「大切にするべきこと」などを
3つだけ紙に書き出してみてください。
これがスタッフマネジメント改革の第一歩です。
期待する具体的な行動を定義する
価値観を共有できたら、次は
「具体的にどう行動してほしいか」を
明確にしましょう。
多くの院長が「当たり前のこと」と思って
言葉にしないことが、実はトラブルの原因になっています。
例えば「朝は始業何分前に来て、何をするのか」
「患者を待合室から診療室へ案内する際の声かけの内容」など、
細部まできっちり定義すべきです。
ある医院では、
「患者が来院したら3秒以内に顔を上げて目を合わせる」
というルールを設けました。
これだけでも患者満足度が向上したそうです。
特に重要なのは以下の場面です。
1. 診療前:カルテ確認、器具準備の手順
2. 患者対応:挨拶の言葉、説明の仕方
3. 診療中:院長のアシスト方法、患者への声かけ
4. 診療後:次回予約の取り方、会計時の対応
5. 閉院時:翌日の準備、振り返り
こうした行動指針を「なぜそうすべきか」の
理由とともに示すことが重要です。
「患者の名前を呼ぶ際は苗字に敬称をつける」という規則も、
「患者に尊重されていると感じてもらうため」というような
”理由の有る無し”でスタッフの納得感が大きく違います。
行動指針は単なる命令ではなく、
あなたとあなたの歯科医院の価値観を
具現化するためのものだと伝えましょう。
院長からスタッフへの約束と支援
スタッフに期待を伝えるだけでは片手落ちです。
「スタッフの成長やキャリアアップために
院長であるあなたから、何を提供・支援をするか」
という歯科医院側のコミットメントも明確にしましょう。
これは単なる給与や休暇日数だけでなく、
成長機会や働きがいに関わる約束事です。
例えば、
「キャリア相談のための個別面談に四半期ごとに応じる」
「外部セミナー参加費を年間10万円まで医院が負担する」
など具体的に提示しましょう。
ある院長先生は
「スタッフが提案した業務改善案は必ず検討し、
1週間以内にフィードバックする」と約束しました。
この結果、スタッフからの創造的なアイデアが増え、
医院全体の雰囲も活性化したのです。
重要なのは、スタッフを単なる「雇用者」ではなく
「共に医院を創る仲間」と位置づける姿勢と
それを示す約束事な明確化です。
「この歯科医院で働くことで、あなたはどう成長できるか」
「どんな未来が描けるか」を明確に示しましょう。
そして何より、院長先生自身が約束を必ず守る姿勢を
しっかり示すことが信頼関係構築の基盤となります。
ビジョン共有から始まるスタッフマネジメント
スタッフの定着と成長を実現する鍵は、
以上の3要素を明確に言語化し、共有することにあります。
1. どんな価値観のスタッフと働きたいか
2. どんな具体的行動を期待するか
3. 院長として何を提供するか
これらを文書化し、採用時から繰り返し伝えることで、
あなたの歯科医院独自の文化が形成されていきます。
ある院長は
「言語化するまで自分自身の考えも整理できていなかった」
と振り返っておいででした。
言葉にする作業は、院長自身の医院経営哲学を
明確にする貴重な機会でもあるのです。
あなたの理想とする歯科医院の構築を
実現するための第一歩として、
この3つの要素の言語化にぜひ取り組んでみてください。