患者の『興味あり!』サインを見逃していませんか?
患者が「欲しい」と思っていたものを提供しなかった。
これほどもったいないことはありません。
あなたの歯科医院でも、以下のような会話が
交わされたことはないでしょうか?
患者:「PMTCのチラシが貼ってありましたが、
どれくらいの間隔で行うものですか?」院長:「だいたい3ヶ月くらいですね」
以上、終了。
何かが足りないと感じませんか?
この患者は明らかに予防歯科に興味を示しています。
「興味あり!」のサインを出していたのです。
しかし多くの歯科医院では、
この絶好のチャンスを逃しています。
なぜでしょうか?
歯科医院では不特定多数への宣伝広告については
広告ガイドラインにて厳格に規定されています。
しかし、いったん来院した患者には
適切に”セールスする”ことが可能なのです。
むしろ、本当に必要な
治療や予防を提案しないことは、
患者のためにもなりません。
”セールスする”という言葉に抵抗を感じる
先生もいるかもしれません。
「医療を売り物にするなんて…」
しかし、患者の口腔内の健康を守るために
必要なサービスを提案することは
医療者としての責務でもあります。
200以上の歯科医院でコンサルをしてきて、
”セールスする”ことを躊躇する医院と
適切に提案できる医院との間には、
年間数百万円規模での売上差が生じていました。
この差は単なる技術の差ではありません。
患者の「買いたい」サインを見逃さず
適切に応える姿勢の差なのです。
あなたの歯科医院はどうでしょうか?
患者からの小さなサインを見逃していませんか?
これから、なぜ歯科医師は”セールスする”ことに
抵抗を感じるのか、そしてどうすれば
自然に提案できるのかをお伝えします。
歯科医師は”セールス”に抵抗感がある
なぜ歯科医師の多くが”セールスする”ことに
抵抗を感じるのでしょうか。
その理由は主に3つあります。
まず第一に、医学教育の影響です。
6年間の歯科大学教育で学ぶのは
「どう治療するか」であって
「どう提案するか」ではありません。
むしろ、営利目的で
不必要な治療を勧めることは
倫理的に問題だと教わってきたはずです。
第二に、押し売り的な
ネガティブイメージがあるからです。
”セールスする”という言葉から連想するのは
しつこい訪問販売や強引な営業マンでしょう。
そんな姿は医療者としてあるべき姿ではない―
多くの先生がそう考えています。
第三に、患者の自由意志を尊重すべき
という考え方です。
「こちらから勧めるのはおこがましい」
このような考えを持つ先生は少なくありません。
しかし、ここに大きな勘違いがあるのです。
患者は歯科医療の専門家ではありません。
彼らは自分に何が必要なのかを
正確に理解していないことがほとんどです。
PMTCについて聞いてきた患者が
本当に知りたいのは
「自分の歯を守るために何をすべきか」です。
そして患者は、あなたという専門家の
アドバイスを求めているのです。
提案しないことが
「患者のためになる」のでしょうか?
もし自分の家族が別の歯科医院で
必要な予防処置を教えてもらえず、
後々重度の歯周病になったとしたら…
あなたはどう感じますか?
”見境なく患者に勧める”ことと、
”必要なものを提案する”ことは、
本質的に異なります。
必要なものを提案することは
医療者としての責務なのです。
効果的に患者の決断を後押しする
では、どうすれば患者の決断を
自然に後押しできるのでしょうか。
具体的な方法をお伝えします。
まず、先ほどの会話例を
理想的な形に変えてみましょう。
患者:「PMTCのチラシが貼ってありましたが、
どれくらいの間隔で行うものですか?」院長:「基本的には3ヶ月に1回程度ですね。
予防にご興味がおありですか?」患者:「そうですね、最近歯ぐきから
少し血が出ることがあって…」院長:「それは早めの対応が大切でしょう。
今日お時間があれば、衛生士から少し、
詳しい説明を聞いてみませんか?」
この会話の何が違うのでしょうか?
それは「質問を投げ返している」点と
「次のステップを提案している」点です。
興味を示している患者に必要なのは
単なる情報ではなく、
背中を押すきっかけなのです。
患者の多くは、
こちらから提案がなければ決断できません。
なぜなら、歯科治療について
十分な知識がないからです。
だからこそ、プロであるあなたの
「後押し」が必要なのです。
特に予防歯科に興味を持つ患者は
歯科医院にとって大切な存在です。
なぜか?
第一に、彼らは歯への意識が高く
定期的にリピートしてくれる
可能性が高いからです。
3ヶ月ごとの来院が定着すれば
年間4回の安定した売上につながります。
第二に、予防に熱心な患者ほど
ホワイトニングや審美治療など
他の自由診療にも前向きな傾向がある。
某歯科医院では、
定期的なPMTC患者の約40%が
他の自由診療も受けているそうです。
第三に、彼らは口コミによる
紹介元患者になる可能性も高いのです。
つまり、予防歯科患者は
歯科医院の経営安定化の要と言えるのです。
では、どのような提案が効果的でしょうか?
①質問を投げ返す
「〇〇に興味がありますか?」
「以前から気になっていましたか?」
患者の質問に答えた後に
こちらからも質問を投げ返して
患者との会話のラリーを始めましょう。
②情報提供と選択肢の提示
「△△には2種類のコースがあります」
「多くの方は最初に□□から始められます」
問題の解決方法や、治療の大枠を
いくつか提示してみましょう。
③次のステップの明確化
「10分程度でご説明できますが、いかがですか?」
「次回のご予約の際に説明の時間を取りましょうか?」
どんな提案も、患者にその価値が伝わらなくては
気持ちよく受け入れられることはありません。
説明の機会を確保することが重要です。
④利点(ベネフィット)の具体的な説明
「定期的なPMTCで歯石の沈着が
70%も減った方もいらっしゃいます」
患者の生活や感情にどのような変化があるか、
具体例を交えて”得られる結果”を伝えます。
学術的有効性などは質問されたらで十分です。
⑤スタッフ全員での連携
受付・助手・衛生士・院長・担当医が
一貫したメッセージを伝えること。
患者は誰に対しても質問をします。
紙でも、電子デバイスでも構いませんが、
すぐにチェック・共有が可能にしておきましょう。
重要なのは、これらの提案を
押しつけがましくなく、
自然な会話の中で行うことです。
患者の反応を見ながら、
その人に合った提案をすることが成功の鍵です。
すぐ実践『自然な提案』ステップ
ここまで”セールスする”ことの意義と
具体的な提案方法についてお伝えしてきました。
最後に、明日から実践できる
具体的なステップをご紹介します。
STEP 1:患者のサインを見逃さない
チラシを見る、特定の治療について質問する、
料金を尋ねる、放置しても良いのか尋ねる、
など、これらは全て”興味がある”サインです。
この瞬間を逃さず、
質問を投げ返す習慣をつけましょう。
STEP 2:スタッフ全員で共有する
朝礼やミーティングで
「今日あった興味サイン」を共有し、
どう対応すべきだったかを話し合いましょう。
診療終了後の5分間の振り返りが
月商を30万円上げることも珍しくありません。
STEP 3:提案スクリプトを用意する
よくある患者からの質問に対する
理想的な返答を3パターン用意し、
スタッフ全員と共有しましょう。
スクリプトがあることで、誰でも
自然な提案ができるようになります。
”セールスする”ことに
罪悪感を感じる必要はありません。
患者の健康に必要なことを提案するのは
歯科医師・歯科医院としての責務です。
あなたの歯科医院に来る患者は
すでにあなたを信頼しています。
だからこそ、その信頼に応えるために
必要な予防や治療をしっかり提案しましょう。
明日からの診療で、患者からの
小さなサインを見逃さず、
適切な提案をしてみてください。
きっと患者の健康と、
あなたの歯科医院の経営の両方が
良い方向に変わっていくはずです。









