新しい年を迎えて、これまであなたが取り組んでこなかった
新しい治療を始めようという院長もおいででしょう。
意欲は素晴らしいですし、
その治療を望んでいた患者にとっては福音そのものですから、
ぜひうまく滑り出してほしいと願っています。
ただ、治療の結果のみならず、経営上でも良い結果を残せなければ
いずれは規模を縮小、さらには撤退していかざるを得なくなります。
そこで、今回は
『そもそもどんな治療を導入したらいいか』
についてお話ししていきます。
新治療を導入するなら
実際に「どんな治療を導入したらいいか」については
考えるべきポイントがはっきりしています。
もったいぶっても仕方ないので、結論から言いましょう。
ポイントとはズバリ、これです。
【導入を検討している治療はどんな市場背景なのか】
現在の歯科医院経営を取り巻く環境において、
新治療を導入するとなれば、何らかの広報活動、すなわち広告や宣伝が
間違いなく必要になります。
既存の患者で待合室が溢れかえっていて、
先生やスタッフが軽く水を向けさえすれば
いくらでも患者がその治療を受けてくれるのが確実なら
広報活動は必要ないかも知れません。
しかし、現状がそうでも将来、先生が引退を決意するまで
その状況がキープできるかは不明です。
時勢が変わって…は、いつでも起こりうることです。
つまり、広報活動をしないということは、
現状の患者が途切れない仕組みの歯車が
少なくとも数十年は無事に回り続けることに
ベットすることと同意義なのです。
そこまでの賭けに出られない方や、時制の変化を捉える自信がない方は
新治療を受診してくれる患者を獲得する仕組みを
「広告宣伝費」というコストをかけて構築する必要があります。
そしてその「広告宣伝費」のコストの大きさは
新治療の市場背景によって大きく変わってくるのです。
市場の成熟度と認知度
市場(マーケット)については、その規模や大きさを気にする方が多いのですが
実際に気にすべきなのは「市場の成熟度と認知度」になります。
それぞれがどういう状況の市場に参入すれば
効率的で効果的に利益を得られるとあなたは思いますか?
完全に成熟しきってしまった市場と
まだまだ伸びシロがある市場とでは後者の方が有利ですし、
認知度が低い市場より、ある程度認知されている市場の方が
有利だろうということは直感的におわかりいただけると思います。
言い方を変えると、
画期的な治療法が開発されたとして、今後広く普及するとしても
その市場が超未熟で、認知もされていなければ、
説明や周知のためのコストと時間が必要ということです。
また、認知されており、かつ成熟しきっている市場への参入は
競合する他の歯科医院との集患競争に打ち勝たねばならず、
結果的にはそれなりに大きなコストがかかってきます。
いずれにしてもコストの発生は避けられません。
ですから、新治療の導入の際には『広告宣伝の戦略』も
同時に練る必要があるのです。
そしてその戦略を練るために
新治療の『市場の成熟度と認知度』を
把握しなくてはならないわけです。
新治療導入の条件
そこで私がオススメするのは
【ある条件に会った新治療を導入する】ことです。
その条件とは以下の通りです。
これまであなたが力を入れて行ってきた治療の
延長線上にある治療
より上位・高度・深堀した治療
フォローやカスタマイズをより手厚くした治療
少なくとも上記の3つのうちの1つは当てはまる治療なら
導入を考えて良いでしょう。
つまり、その新治療を導入することによって、
あなたの特定の分野へのこだわりや、適応範囲の広さや深さを
患者に示せるような治療を導入するのです。
このような条件の下に新治療を導入すれば、
これまでのあなたの診療実績を土台として
『広告宣伝の戦略』を練ることができます。
すなわち、伸びシロは十分あるが
成熟度や認知度が低い市場の治療であっても
思い切って導入する際のリスクが小さいと言えます。
リスクが小さい理由としては、
1、成熟市場ではないので競争コストが小さい
2、認知度の低さをこれまでの実績である程度埋められる
3、うまく軌道に乗れば先行者利益が大きい
4、他の歯科医院にとっては参入障壁が大きく見える
5、患者からはその新治療のエキスパートであると認定される
導入の条件を満たしているなら、問題となるのは
これまでの実績が認知度の低さをどの程度カバーするかの見極めと
軌道に乗るまでの時間の想定くらいです。
また、導入の条件は、どれも
”これまで行ってきた治療”がベースになっています。
ですから、新治療の導入はある意味、
”どの分野でエキスパートになるか”の選択でもあるのです。
今後のあなたの歯科医院の経営・成長戦略も視野に入れて
十分に考えてどの新治療を導入するかを決めてください。