精神論ではムリ！努力を習慣化する脳の使い方

目標未到達は”精神力の弱さ”ではない

「今年こそは早起きする」と決めた1月3日の朝、
あなたは目覚ましを5時にセットしました。

 

しかし翌朝、無意識にスヌーズボタンを押している自分がいる…
３日後にはもう決意前と何も変わらない毎日です。

 

「やっぱり自分は意志が弱い」
そう自分を責めたことはないでしょうか。

 

歯科医院経営でも同じ構造を持っています。
「今月から自由診療の提案を増やす」と決めても、
気づけば保険診療ばかり。

 

「毎朝ミーティングをする」と決めても、
いつの間にかなし崩しになってしまう…
そして院長は自分を責めるのです。

 

しかし、これは精神力の問題ではありません。
努力を継続するのは、本来とても難しいことなのです。
意志の力だけで乗り切ろうとすれば、
ほぼ全ての人が挫折します。

 

ではどうするか。答えはシンプルです。
の仕組みと深層心理を味方につければ良いのです。

 

人間の意志は弱いものですが、習慣と環境は強いのです。
その力を経営に応用すれば、あなたは「続けられる院長」に変われます。

 

私はこれまで数百人の院長先生、経営者を見てきましたが、
成果を上げ続けている人に共通するのは
「根性」ではなく「仕組み」なのです。

なぜ院長は”やるべきこと”を続けられない？

努力が続かない理由は、
あなたの性格や根性の問題ではありません。
深層心理と環境が、努力を阻害しているのです。

 

まず最大の要因は「他人の目」です。

 

たとえば、あなたが
自由診療比率を上げようと決意したとします。

 

勉強会に通い始め、カウンセリングの練習も始めた。
ところがスタッフにそれを話した途端、
おかしなことが起こります。

 

 

悪気はないのです。
しかし、アドバイスという名の抵抗が始まります。
するとあなたは迷い、惑わされ、やる気を失います。
努力は、他人に知られた瞬間に妨害される宿命なのです。

 

次に、「完璧主義」が努力を妨害します。
歯科医師はみなさん、真面目で技術レベルが高い方ばかりです。
だからこそ、中途半端を嫌います。
「やるなら完璧に」と考えてしまうのです。

 

その結果、少しでもうまくいかないと
「やっぱり無理だった…」と諦めてしまう。
あるいは「もっと準備してから」と先延ばしにする…

 

しかし経営に完璧などありません。
走りながら修正するしかないのです。

 

さらに、「目標の分散」が成果を妨げます。
新患を増やしたい…、自由診療率を上げたい…、
スタッフ教育もしたい…、院内の改装もしたい…
目標が多すぎて、どれも中途半端になりがちです。

 

一度に複数のことを追えば、どれも達成できません。
目移りは、努力を無効化する最大の敵です。

 

そして最後に、「言い訳の発見」があります。
うまくいかない原因を自分以外に求めると、
とても楽になります。

 

「立地が悪い」「スタッフが動かない」
「患者の理解が低い」etc…

 

こう考えれば、努力しなくても自分を守れます。
しかし、原因を外部に求めた瞬間、成長は止まるのです。

脳と環境を味方にする7つの仕掛け

努力を継続するには、精神力に頼るのは無謀です。
脳の仕組みと深層心理を利用しましょう。
以下の7つの仕掛けを、あなたの経営に取り入れてください。

 

① ジンクスを作ってしまえ

人間の脳は、こじつけが大好きです。

 

根拠などなくて良いのです。
自分の都合のいいように結びつけて、
ジンクスにしてしまうのです。

 

そしてそのジンクスの通りに行動をするのです。
すると不思議とモチベーションが高まります。

 

ある院長は
「青いシャツを着た日は自由診療の説明をする」
というルールを自分に作りました。
たったそれだけで、自費率が3ヶ月で1.3倍になったのです。

 

② 努力は必ず一人で始める

何かを始めるとき、仲間を作ってはいけません。
チームやグループで始めると、必ず他人に頼ってしまうからです。

 

 

こうして、行動が止まります。
努力は、最初は必ず一人でやるべきです。
成果が出てから、人を巻き込めばいいのです。

 

③ 集中できているときは、休むな

「1時間ごとに休憩を取りましょう」
という常識がありますが、これは間違いです。

 

集中力が高まって絶好調なら、
休憩など取らなくて構いません。
むしろ、わざわざ休憩を取って
集中力を削ぐ方が、効率は下がります。

 

カルテ整理が乗っているなら、そのまま続ける。
自由診療のカウンセリングの準備がはかどっているなら、
休憩してもいい時間になっても止めない。

 

波に乗っているときは、その波に乗り続けることです。

 

④ あえて背伸びして、脳を揺さぶれ

マンネリに対するショック療法として、お勧めするのは
「小さなことに、いつもより多くのお金を使う」ことです。

 

 

たいしたことではありません。
しかし、いろいろな気づきがあるものです。
視点が変わり、思考が動き出します。

 

⑤ 努力は隠れてやる

これは絶対に守ってください。
あなたが何かに取り組んでいることを、
周囲に知られてはいけません。

 

やる気を削がれるのがオチです。
言いたい気持ちはわかりますが、堪えましょう。

 

いくら隠していても、いずれは気づかれます。
それまで努力が続けられれば、
成果も出ていて、正当な評価もついてきます。

 

⑥ 自分のタイプを知っておく

タスクの処理方法には、2つのタイプがあります。
ひとつは、いくつものタスクを同時並行で片付けていくタイプ。
そして、ひとつのことに集中して一段落させてから次に移るタイプです。

 

あなたはどちらに集中力を発揮できるのか。
これは、できれば早めに見つけておきたいところです。

 

自分のタイプに合わないタスク処理をしていると、
それだけで努力が続きにくくなります。

 

⑦ 言い訳を、徹底的に排除する

言い訳は、とても便利に責任逃れができます。
うまくいかない原因が自分にあると認めるのは、
大きな勇気がいります。

 

しかし、そうやって考えなければ、
努力を継続することなどできません。

 

 

この視点の転換が、すべてのスタートです。

明日から、ひとつだけ隠れて始めよう

努力を継続するのは、精神力の問題ではありません。
脳と環境を味方につける技術です。

 

おさらいしましょう。
ジンクスを作り、一人で始め、集中しているときは休まない。
身の丈以上のサービスを受けて脳を揺さぶり、努力は隠れてやる。
自分のタイプを知り、言い訳を排除する。

 

これだけです。
あなたが今日から実践すべきことは、たったひとつ。
「誰にも言わずに、ひとつだけ始める」

 

自由診療の勉強でもいい。
カウンセリングの練習でもいい。
毎朝10分の掃除でもいい。

 

何でもいいから、
ひとつだけ、誰にも言わずに始めてください。

 

3ヶ月続けられたら、あなたの歯科医院は必ず変わります。
努力は技術である。誰にでも継続可能なのです。