経営者の心構えとは

セミナーに出ても大して変わらない歯科医院が見落としているのは?

 

靴箱が教えてくれた、行動の本質

先日、妻が玄関の靴箱の中からさっと3足ほどの靴を取り出して、
その日の装いにぴったりの靴を素早く選んで出掛けていきました。

 

しかし以前はそんな手際よく靴を取り出せず、
あちこちの紙箱を開けては
「コレじゃない…」「アレはどこにしまったかしら..」
と困った表情で靴を眺めていることがよくありました。

 

その時チラ見した限りでは、
箱から一度も出していないような新品の靴もあれば、
数回履いただけで放置されている靴もあります。

 

「気に入って買ったはずなのに、なんで履かないんだろう」
と妻は首を傾げていました。

 

ふと、そんなことを思い出した際に
気づいたことがありました。

 

妻は「靴を買う」という行動は継続しています。
今でも頻度は減りましたが、新しい靴を買ってきます。
しかし、現在は靴箱と格闘する姿を見ることはありません。

 

なぜなら「靴を捨てる」「整理する」「処分する」
という行動も継続できているからです。

 

何を言いたいかというと
同じように”行動”と呼んでいるものにも
実は全く異なる2種類の行動がある!
ということです。

 

靴を買う頻度を下げるのは「抑制する行動」です。
今、身についてしまっていいる行動を
”やめる”、”抑制する”、”縮減する”行動です。

 

一方で、「靴を捨てる」「整理する」「処分する」行動は
それまでに行っていなかった行動を、
新たに取り入れる、習慣化する行動と言えます。

 

以前の妻は、「抑制すべき行動」を抑制できずに、
「促進すべき行動」を習慣化できなかったから、
靴箱はいつも満杯で、その日にはきたい靴を
すぐに取り出せない状態になっていたのでした。

 

この変化を思い出して、相談においでになった
歯科医院の院長先生方の顔を思い浮かべました。

 

経営改善を目指す院長先生の多くが、
以前の妻の靴箱と同じ状態になっているのではないか。

歯科医院でも同じことが起きている

あなたの歯科医院でも、
同じようなことが起きていませんか?

 

・セミナーに参加して新しい治療技術を学ぶ
・経営の本を読んで新しい取り組みを始める
・スタッフ教育のための研修制度を導入する
・ホームページをリニューアルする
・SNSでの情報発信を始める。

 

こうした「新しく取り入れる行動」については、
多くの院長先生が驚くほど熱心です。

 

勉強会にも積極的に参加されますし、
新しい機器の導入にも前向きです。

 

新しいことを始めるのは比較的簡単です。
なぜなら「前に進んでいる感覚」が
得られるからです。

 

学んでいる、成長している、変化を起こしている…
最初は希望も夢もアリアリですから
モチベーションも維持しやすいでしょう。

 

ただし、目的・目標の達成までずっと
「継続する」ことについてはどうでしょうか。

 

導入やスタート直後の熱が覚め始めた頃くらいの段階では
成果はまだ先ということがよく起こります。

 

ダイエットを考えればよくわかります。
「運動」を始めてすぐには効果を実感できる方は
それほど多くはありません。

 

朝のジョギング習慣が、ちょっとした天候不良で
挫折につながる方があとを絶たないのはこのためです。

 

あなたの歯科医院でも、せっかく苦労して
新規導入した診療メニューが尻窄みになったり
ホームページの更新がストップしたりしていないでしょうか。

 

一方で、「抑制すべき行動」はどうでしょうか。
こちらは取り組むこと自体が面倒で
始めもしていなかったりしてないでしょうか。

 

・採算の合わない治療メニューを提供する
・話を聞かない患者との関係を放置する
・時間浪費の”成果の出ないミーティング”
・ドタキャンを繰り返す患者を野放し

 

「やめる」という行動は、
一見すると後ろ向きに感じられます。

 

諦めているような、逃げているような、
そんな気持ちになってしまうものです。

 

しかも、やめないでおくと
小さいながらもメリットがある場合がほとんどです。
逆にやめる際の抵抗は大きくなりがちです。
つまり”言い訳”がしやすくて、やめにくいのです。

 

だから多くの院長先生は、
新しいことをどんどん追加していくのに、
しばらくすると元の木阿弥…

 

古い非効率な習慣や、足を引っ張る要素は
手放せないまま、惰性で放置…

 

結果として歯科医院の経営が
妻の靴箱のようになってしまうのです。

どちらが欠けても目標は達成できない

何かを成し遂げたいなら、
的確な行動を継続する必要があります。

 

そしてその的確な行動には、
大きく2種類あるということを理解しておくべきです。

 

1つ目:促進したい行動

身につけたい、取り入れたい、習慣化したい行動のことです。
歯科医院経営で言えば、こんな行動が該当します。

 

・初診患者へのカウンセリング時間を30分確保する
・毎週月曜日の朝、15分間のスタッフミーティングを行う
・自費診療の説明時には必ず資料を使って視覚的に伝える
・治療計画書を必ず文書で渡す
・患者の予約時間の10分前には必ずカルテを確認する

 

これらは「始める」「プラスする」行動です。
今までやっていなかったことを
新たに取り入れていく行動ですね。

 

2つ目:抑制・排除したい行動

やめたい、減らしたい、なくしたい行動のことです。
こちらも具体例を挙げてみましょう。

 

・患者の無理な要望をすべて受け入れてしまう対応
・スタッフの遅刻や欠勤を曖昧に許してしまう姿勢
・採算度外視で安易に値引きしてしまう癖
・ドタキャンを繰り返す患者をいつまでも受け入れる
・診療受付時間を大幅に超過後の飛び込みの患者

 

これらは「やめる」「マイナスする」行動です。
今までやってきたことを手放していく行動です。

 

そして重要なのは、この2種類の行動は
継続させる技術が全く異なるということ。

 

そして最も継続が難しいのは、
どちらか一方につまずくと、もう片方にも
影響が出てしまいやすい組み合わせの行動を
同時進行するというパターンです。

 

結果的に両方とも挫折、目標未達成となりやすく
”目標達成の難易度が高い的確行動”といえます。

 

歯科医院内における
「互いに影響を受けやすい促進行動と抑制行動」の
組み合わせの例を挙げておきます。

 

「新しいカウンセリングの仕組み」は
「断るべき患者を断る」が滞ると、
時間的余裕がなくなって結局、
カウンセリングも雑になってしまう。

「新しいカウンセリングの仕組み」で
自由診療の成約や患者単価の上昇が滞ると
患者数で売上をカバーしようとして
「断るべき患者を断る」ことを躊躇してしまう。

 

2種類の行動、どちらも継続できて初めて、
先生の歯科医院は目標に到達できるのです。

まず分類することから始めよう

あなたが今、
「歯科医院の経営を改善したい」と考えているなら、
まずやるべきことがあります。

 

それは、自分が取り組もうとしている行動が
どちらのタイプなのかを明確にすることです。

 

「促進したい行動」なのか、
「抑制・排除したい行動」なのか…

 

この分類をするだけで、
継続するための戦略がまったく変わってきます。

 

闇雲に「頑張ろう」と思うのではなく、
まず立ち止まって考えてみてください。

 

今日から始めたい新しい取り組みは何ですか?
それは「促進したい行動」ですね。

 

では、それを継続するための
環境や仕組みは整っていますか?

 

そして、今日からやめたい習慣は何ですか?
それは「抑制・排除したい行動」です。

 

では、それをスッパリやめ続けるための
環境や仕組みを設定できていますか?

 

分類すると、継続するための技術が見えてきます。
新しいことを始めるなら、相応の環境整備を。
やめるべきことを手放すならその仕組みを。

 

両方の行動を継続できて初めて、
あなたが目指す歯科医院の姿に到達できるのです。

 

まずは紙に書き出してみましょう。
左側に「促進したい行動」、
右側に「抑制・排除したい行動」。

 

そして、それぞれに合った
継続の技術を考えてみてください。

 

その一歩が、あなたの歯科医院を変える
大きな転換点になるはずです。

 

それぞれの行動の継続の技術の模範解答を
次回の記事で執筆予定です。

 


 

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歯科医師
歯科医院の集患・経営、
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株式会社120パーセント
代表取締役  近  義武

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