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96%の歯科医師が知らない、ビジネススタイル分類から働き方・稼ぎ方を変える方法

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
患者が集まる歯科医院構築、クリニックの経営アドバイザー、
歯科医師の 近  義武 です。

 

世の中のビジネスは『3つ』しかありません!

こんなオープニングで始まる記事やスピーチを
あなたも1度は見たり聞いたりしたことがあると思います。

 

実際のビジネスをどう分類するのかについては、
着目点の違いによって多くの分類が存在しています。

 

歯科医師もその分類のどこかに位置しているわけですが、
もちろん、その分類を全て知る意義など全くありません。

 

しかし、あなたの働き方や稼ぎ方、人生の送り方に
何かしらの不平不満があるなら、
その解決策や進むべき方向性についての
ヒントを与えてくれることが結構あります。

 

大事なのは
「この分類なら自分(歯科医師・歯科医院の院長)は
どんな特徴があってどのカテゴリーに分類されるか」を知って
「別のカテゴリーのエッセンスを取り入れたら…?」
と思いを巡らせてみることです。

 

・悩みや問題に対する打ち手がわかならい
・満足のいくキャッシュポイントが作れない
・毎日忙しいばかりで手元にお金が残らない

 

こういったことに悩んでいるなら
解決策そのものはすぐに見えてこなくても
解決策を見つけるきっかけにはきっとなります。

 

そこで今回は、”ビジネススタイル”について
代表的な3つの分類をざっくり話していきましょう。

ちょっと有名なビジネススタイル分類
分類1:キャッシュフロークワドラント

経済的自由も、時間的自由も欲しいという思いが強い際には
参考になる分類の一つです。
稼ぐ金額だけではなく、稼ぎ方に注目した分類となります。

 

「金持ち父さん貧乏父さん」シリーズの著者、ロバート・キヨサキ氏が
『金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント』の中で述べた分類です。

 

カテゴリーは、以下の4つになります。

・労働者(Employee)
・自営業者(Self Employee)
・ビジネスオーナー(Business Owner)
・投資家(Investor)

労働者(Employee)

自分の時間をお金に変えている方のカテゴリーです。
開業医ではない勤務医は、労働者(E)カテゴリーです。

労働者(E)は、仕事上でやるべきことを上司が決めるため、
基本的には自分自身で仕事を獲得する必要がなく、
就職すればすぐに仕事に取り掛かれます。
成果報酬型の給与体系なら、成果を上げれば収入を上げられます。

 

一方で、働く場所や仕事内容は院長側が決めるため、勤務医自身が選びにくく、
大きな収入を手にするためにすぐにできるのは”長時間労働”であり、
自分の時間と賃金との交換であるので、そこには限界があります。

 

自営業者(Self Employee)

自分自身で事業を行っている方のカテゴリーです。
開業医は、そのほとんどが自営業者(S)カテゴリーです。

 

自営業者(S)は、自分で仕事をしているため、
場所や通勤時間などは労働者(E)に比べて自由に選べます。
仕事量を増やす、仕事の単価を上げるなどで増収も可能です。
好きなこと、やりたいことを仕事に取り入れやすい特徴もあります。

しかし、”自分の時間と賃金との交換”で稼いでいる点は
労働者(E)と変わりません。
自分が働けなくなったら収入が途絶えてしまいます。
計画性、健康管理能力、危機管理能力などが不可欠となっています。

 

ビジネスオーナー(Business Owner)

会社等を経営しお金を稼ぐ仕組みを作り人を働かせている方のカテゴリーです。
法人化しているか否かに関わらず、自分自身が現場に出て働かなくても
お金を作れる歯科医院の持ち主が、このビジネスオーナー(B)カテゴリーです。

労働者(E)や自営業者(S)と異なるのは、
自分自身が現場に出て働かなくてもお金を作れる点です。
稼ぐ仕組みを作り、その中で従業員に働いてもらってお金を稼ぎます。
また、仕組みや歯科医院を大きくして売却することでもお金を手にできます。

 

大きなお金を生み出しやすく、自分の自由な時間も手に入りやすいですが、
時間をかけて作った仕組みが、必ずお金を作れるという保証はありません。
仕組みづくりが自営業者(S)よりも重要になると同時に
従業員の生活を守るなどの責任も、より大きくなります。

 

投資家(Investor)

株などの金融商品、不動産、事業などに投資をしている方のカテゴリーです。
お金がお金を稼いでくれるようになった、
”引退した歯科医師”の一部がこの投資家(I)カテゴリーです。

 

投資家(I)は資産(お金を生むリソース)を多く持っています。
自分自身で働く必要がないため、時間の自由を手にできます。

 

しかし、その資産形成に時間がかかることも多く、
投資先を見誤ると資産を一気に損なうリスクがあります。
自分自身のビジネス以外に、投資先についても研究し、
調査力や判断力、予測力などを常に更新し続けなくてはなりません。

キャッシュフロークワドラントまとめ

 

『労働者(E)、自営業者(S)』と『ビジネスオーナー(B)、投資家(I)』とでは
大きな違いがあります。
前者は自分で働いて稼ぐ方、後者は仕組みやお金を働かせて稼ぐ方です。
つまり、自分が働いていない時にもお金を生み出す資産(仕組みやお金)があるか、ないかです。

 

本来、働き方は自由なものでそこに優劣や貴賤はありません。
”歯科医師”となって経験を積んでからも、ずっと勤務医生活でも問題ありません。

 

重要なのはどんな人生を送り、どんな歯科医師になるのか、
何を成し遂げたいのか、それぞれの理由は何なのか、です。

 

コレらがあなた自身で満足いく境地にまで
到達可能な働き方、稼ぎ方を選べば良いだけです。

 

自由な時間がたっぷりと欲しいのに、
労働者(E)”勤務医”、自営業者(S)”ミニマムな歯科医院の院長”で頑張るのは
ピントはずれと言わざるをえません。

 

ただし、勤務医をしながら許容範囲内でのリスクを負って
投資家(I)をする、ビジネスオーナー(B)を目指すのもアリでしょう。
働き方・稼ぎ方は1つのカテゴリーに収める必要もありませんし、
2つ、3つの働き方を掛け持ちしたって良いのです。

 

あなた自身であなたのビジネススタイルを
あなたの意志を反映させつつ確立できれば
きっとそれはあなたの目指す境地までの道のりを示してくれます。

 

ぜひこの機会に、あなたの意志を明確化・言語化してみてください。
ご自分でも驚く効果が出ることも珍しくないワークですよ。

直近を見つめるビジネススタイル分類
分類2:収入の高低と定期性のマトリクス

このビジネススタイル分類はビジネスの収入に着目します。
直近3〜5期の歯科医院の収益を見つめて
今期や来期の収益構造の方向性を定める際に
参考となる分類です。

 

収入にのみ着目しますから、必要経費についてはガン無視です。
片手落ちという側面は否めませんが、
わかりやすい分類ではありますので、利用価値は十分あります。

 

具体的には、対象となる期間のビジネスからの収入が
⑴収入が発生するのは「単発的なのか、定期的なのか」の分類と、
⑵その収入が絶対的に「高収入なのか、低収入なのか」の分類とを
掛け合わせた4つのカテゴリーで語られます。

 

ですからカテゴリーは、以下の4つとなります。

・収入は定期的に(継続して)発生し、その収入は高収入
・収入は定期的に(継続して)発生するが、その収入は低収入
・収入は不定期に(単発で)発生し、その収入は高収入
・収入は不定期に(単発で)発生し、しかもその収入は低収入

 

定期的に高収入が発生

ベストなのはこの
”定期的に高収入が入ってくる”ビジネスです。
当然、誰もがそう考えるので競争は激しく、確立も難しいです。

 

歯科医院経営でいうと、企業ごとに従業員全員の定期検診や健康相談、
社内向けの講演や情報発信などをまとめて高額で年次契約をして、
そんな企業を数社、確保することで実現できます。

 

企業との契約なので、高単価で継続性も高い傾向にあります。
1社でも実現できれば歯科医院経営はかなり安定しますが、
二桁の会社と契約できれば、簡単には崩れなくなるでしょう。

 

ただし、多くの院長先生にとっては”夢物語”に近い話です。
”定期的に高収入”を患者個人から得るのが難しい以上、
ターゲットを転換せねばならないからです。

 

この後でも話しますが、擬似的な”定期的に高収入”は
患者個人をターゲットにしても実現できます。

 

しかし”定期的に高収入”を患者個人をターゲットに
実現しようとするなら、『超高額メンテナンス』や
『超高額半美容系(口臭、ホワイトニング、ヒアルロン酸注入など)』
くらいしか私には思いつきませんが、なかなか厳しいでしょう。

 

企業相手でも個人相手でもハードルが高いカテゴリーですが、
カテゴリーの特徴を把握しておけば、企業との話が出た際には
的確な心構えと対応ができるはずです。

 

定期的に収入が発生するが低収入

前述の”定期的に高収入が発生するビジネス”を起業当初から構築するのは
歯科医院も含めてどの職種でも相当難しいものです。

 

ですので、一般的には”定期的に収入が発生するが低収入なビジネス”でスタートして
収入発生の回数や人数、機会を膨張させたり、高単価のコンテンツを加えたりして
擬似的に”定期的に高収入が発生するビジネス”にしていくパターンが多くなります。

 

定期的に収入が発生するビジネスとは
「収入が(半)自動で発生する仕組みを構築する」ビジネスを指します。
ストック型、収益継続型、継続課金型、ビジネスと表現されることもあります。

 

ビジネスにおける1回あたりの収入額は大きくありませんが、
長期的、安定的な収益につながる可能性が高い点が特徴です。

 

歯科医院経営では『予防歯科』や『メンテナンス』が代表的ですが、
他業種では他にもサブスクリプションサービスなどがありますので
さらっと紹介しておきます。

 

サービス型

『予防歯科』や『メンテナンス』はここに分類されます。
サービス型は、毎月一定の費用を支払うことで、
決められた範囲内でサービスを受けられる形式です。
顧問税理士や定期契約の清掃会社などもサービス型です。

 

定期購入型

定期購入型は、一定期間ごとに自動購入してもらう形式のビジネスです。
歯磨剤や洗口剤を定期的に購入してもらえるなら定期購入型に該当します。
健康食品や化粧品などの消費材を無料サンプル等で申し込みにつなげ、
定期購入に繋げる戦略が一般的です。
消えモノの通信販売、ネット販売などによく用いられています。

 

消耗品型

消耗品型は、本体を販売後に部品などの消耗品を継続購入してもらう形式のビジネスです。
”電動歯ブラシ”を販売して、替ブラシを継続購入してもらえるなら消耗品型に該当します。
本体を安く販売し、消耗品で利益を得るビジネスも珍しくありません。
消耗品を月額定額制で提供するサブスクリプションサービスも増えつつあります。
プリンターのインク、掃除機の紙パックなども消耗品型です。

 

会員型

会員型は、会員になることでサービスを受ける権利を得る形式のビジネスです。
飲食店やホテルなどで導入されることが多く”高レベルなサービス”を求める客層に訴求します。
”会員になる価値”を感じさせるサービスの提供が必要になリます。
『個室診療』『貸切診療』『受診し放題』『時間外診療』などを会員患者のみに
提供することは可能ですが、混合診療などの制約には注意が必要です。

 

コミュニティ型

コミュニティ型は、料金を支払うことで
クローズドなコミュニティに参加する権利を得る形式のビジネスです。
同じ価値観を持つ参加者全員が対等にコミュニケーションを楽しめます。
オンラインサロンやビジネスサロンなどがコミュニティ型です。
歯科医院が主導することは可能ですが、発足、集客、運営それぞれに
ノウハウを含めてリソースが必要になります。

 

ファンクラブ型

ファンクラブ型は、料金を支払ったファンに特典を提供する形式のビジネスです。
影響力や専門的な知識を持つインフルエンサーなどが、有料noteや会員限定の動画を配信し、
ファンは料金を支払ってコンテンツを購読・視聴します。
芸能人やスポーツチームなどの有料特典提供がファンクラブ型です。
ブランディングができれば既存コンテンツだけで収益を得続けることも可能です。

 

点検型

点検型は、定期的な保守・管理を通じて利益を得る形式のビジネスです。
歯科の『メンテナンス』などは、自由診療・高額診療にセットで行なったりします。
点検型サービスを提供することで、他部位の診療も依頼されやすくもなります。
長く安心して商品・サービスを利用し続けて欲しい場合によく用いられます。
建物や機械など、高額耐久消費材の販売する際によく登場します。

 

その他

インターネット経由でソフトウェアやその稼働環境を提供するASP型(MS Office365)、
継続的に授業や指導を行う教室型(ジム)、不動産を貸し出す賃貸型(貸倉庫)、
生命保険や損害保険などの保険商品を提供する保険型、(休業保険、年金)
生活や社会の基盤となるサービスを提供するインフラ型(電気料金、通信キャリア)、
著作権やノウハウを提供して使用料を得る権利使用料型(著者、作曲家)

 

これらは歯科医院経営には取り入れにくい”定期的に収入が発生するビジネス”ですが、
教室型、権利使用料型などは組み込むことができる可能性もあります。
特に教室型は、その後の来院のきっかけとして無償で提供するのは、
ビジネスの一部と考えるなら成立させやすいでしょう。

 

不定期に高収入が発生

前述したように”定期的に高収入”を患者個人から得るのが難しい以上、
コストパフォーマンスの良い”不定期だが高収入”なビジネスを
主体にして歯科医院経営をしたくなる気持ちはよくわかります。

 

「自由診療の割合を上げたい」「自由診療の患者が欲しい」
という相談を院長先生からよく受けますから、
その切実な想いや背景も理解しています。

 

でも考えてみてください。
自由診療の代表格であるインプラント治療や矯正治療には
他業種のほぼ全てで重要視されている”リピーター”がほぼ存在しません。

 

従って、常に新規患者を獲得し続けなくては宿命にあるわけです。
見ず知らずだった患者に来院してもらうには広告宣伝費が必要ですし、
来院してからは保険診療ではなく自由診療を受諾してもらわねばなりません。

 

また、かかりつけになってくれた患者が自由診療を依頼してくれるのは
ありがたい反面、それまでに”時間”という経営資源を費やしたのですから
トータルのコストパフォーマンスとしてはそれほど高くはなくなっています。

 

詰まるところ、”自由診療を受けてくれる新規患者の獲得”が
ある水準以上で継続的に集患できるかどうか、ここに集約されます。

 

どんなに多額の広告宣伝費を投下しても成果は約束されません。
また、検索はGoogle、SNSはXやInstagram、Facebookなどを利用している以上
それらの企業の方針転換やアップデートが不利に働くリスクもあります。

 

あなたの歯科医院の命綱を他の民間企業が握っている…
常に不確実であり、ボラタリティも大きいのですから
”安定”を諦めて、ウォッチし続けるしかありません。

 

不定期に低収入しか発生しない

このビジネスは、はっきり言って全く儲かりません。
改善が見込めるならまだしも、見込めないならなるべく早く
このビジネスから撤退した方が良いです。

収入の高低と定期性のマトリクス まとめ

結果的に世の中のビジネスのほとんどは
”不定期に高収入が発生する”か、”定期的だが低収入が発生する”モノです。

 

低額でも定期的な収入があれば、ビジネスは安定します。
不定期にでも高額な収入が時折あれば、コスパが良くなります。

 

結局、歯科医院経営も、この両者をバランス取ることで
安定性と効率性を高められるということになるのです。

 

”どちらか片方”だけではなく、両者のバランスが
キャッシュショートの回避という観点からも非常に大事になります。

 

例えば、以前の高級料亭は、夜の会席しか受けていませんでした。
宴会シーズン以外は収入が大幅に落ち込む”不定期で高収入なビジネス”でしたが、
最近は高級料亭がランチ営業をするケースよく見うけられます。

 

ランチには繁忙期・閑散期がないですし、景気にも左右されにくいので
安定収入になり、食品ロスも減少したそうです。

 

”不定期だが高収入”と、”定期的だが低収入” の心地よいバランスを
あなたの歯科医院でも調整してみてください。

 

ちなみに『SPT等以外の保険診療』は50年ほど以前は虫歯の洪水で
”定期的で高収入”に近かったですが、現在では、
”不定期で低収入”に近づいてきています。
ビジネスとして再考するのは、もはや必須ではないでしょうか?

人に依存しない経営は可能か?
ビジネススタイル分類3:集約型モデル

この分類はビジネスのリソースに注目します。
1企業、1店舗というよりも”産業”で捉えた分類となります。

 

歯科医院経営を”歯科医療産業”の一翼と考えて
その行く末を考察し、そこからご自身の歯科医院の
経営改善や成長の方向性の舵取りに参考にしたい分類です。

 

狩猟社会、農耕社会から工業社会、そして情報社会へと
進化してきた歴史の中心となった産業を分析することで
次の変化への対応や、現況での改善点を発見したり、
進化の先取りを模索するにはもってこいの分類でもあります。

 

この集約型モデルは以下のように分類されます。

・労働集約型
・資本集約型
・知識集約型

 

労働集約型

「労働集約型」のビジネスは、事業活動の大部分を
人間の労働力に頼る割合が大きくなっていま
す。
労働力(=人材)に対する依存度が高いとも言えます。

 

機械化が進む以前の農業や製造業、介護産業、接客業やサービス業、
さらに、弁護士、会計士、コンサルタント、そして医師や歯科医師などの
専門的な業務も労働集約型に分類されます。

 

ざっくり言うと、労働時間とお金を交換するスタイルです。
労働集約型はその特徴として、サービスの生産と消費がほぼ同時に行われ
ストックしておくことができません。

 

我々歯科医師が提供する歯科医療は、患者が目の前にいてこそ治療が行えます。
事前に行った治療を患者が来た際に適用する、ということがほぼできません。
(技工物の製作を”治療”と見做せば、”一部”は可能ですね)

 

また、”歯科医院経営”の観点でみても、歯科医師の診療業務に加えて
院内の他の業務の大部分が接客応対のスタッフを多数雇用するため
売上高に対する人件費の割合が大きい、典型的な労働集約型ビジネスになっています。
その結果、売上は労働量(診療量)や働き手の質に依存しています。

 

さらに、院内業務は機械化できる範囲が制限されているため
労働者一人あたりの生産性も上げづらいのが実情です。

 

歯科医師は、その国家資格自体が、長年に亘って収入をもたらしてくれるため、
一個人の人生で見れば資本集約型の側面もありますが、
働き方としては間違いなく労働集約型です。

 

実際に歯科医師当人が手を動かして診療を提供しないと
”診療報酬”は一円も収入は入って来ません。
自分は何もしていないが、気づいたら勝手に収入が
ザクザク入ってくるということにはならないのです。

 

労働集約型のメリットは働けばお金が手に入るので、
身ひとつで始められて資本は必要ありません。
(歯科医師は資格取得に資本が必要ですが)
集客・集患さえできればビジネスとして安定しやすいのです。

しかし、生産同時消費の性質上、労働可能な時間は有限で、生産性も上げづらいので、
時間単価を上げられないままだと人数と時間に縛られてしまい、
収益を大きくできないのがデメリットです。

 

院長先生自身の診療技術に、非常に高い価値があったとしても
1日に診療可能な人数には限界があり、
同等の技術をもつドクターの育成も簡単ではありません。

 

個人のスキルや知識がサービスの品質に影響するため、
品質にバラつきがあり、移転と拡張が非常に難しいこともデメリットです。

 

資本集約型

「資本集約型」のビジネスは、
機械や設備などの固定資本や生産設備への依存度が高くなっています。
歴史的に、労働集約型だった狩猟・農耕社会から産業革命を経て
工業社会となったのは、資本集約型がビジネスの中核にシフトしたからです。

 

ビジネス初期段階での大規模な設備投資が必要ですが、
不安定な時期を乗り越えて、投資と減価償却が終わってしまえば、
後はメンテナンスコストを負担するだけで、資本集約型ビジネスは成立します。

 

金融や通信、半導体、運輸、鉱業、建設業、大規模製造業、エネルギー産業、
保険業、不動産業などの大きなビジネスは大体が資本集約型です。

 

ITや機械化の発展に伴って、資本集約型ビジネスの割合は現在も増加傾向にあります。
かつては組立加工や土木建設、金融業なども労働集約型でしたが、
機械化・システム化・IT化などで人手に頼る部分が減少し、資本集約型産業へと変貌しました。

 

さてここで、思い返してみてください。
前段の”労働集約型”の説明の中で、歯科医師も歯科医院経営も
典型的な労働集約型だという話をしました。

 

労働集約型はその特徴として、サービスの生産と消費がほぼ同時に行われます。
治療も、予約受付も、会計も、技工も、材料の仕入れも、全部歯科医師ができますが、
歯科医院経営では、スタッフを雇って労働力を集めているわけです。

 

技工物の製作もまだ大部分は、
人間の労働力に頼る割合が大きく労働集約型ですが、
CAD/CAMについてはその製作業務が資本集約型に
シフトしていく様を目撃することになりました。

 

製作の受注、データ入稿、解析、設計、削り出しまで
機械化・自動化がもう目の前まで迫って来ています。
初期の設備投資が必要ですが、人材への依存はごくわずかです。

 

このように、資本集約型のビジネスでは
サービスの生産(技工物の製作)と消費(診療)が別々に行われます。
先に材料を仕入れて、ミリングマシンなどを用意し、
解析、設計、加工しないといけないので、資本がないとできません。

 

メーカーや電気・ガス・水道などのインフラ事業も同様で、
ITやマニュアルにより自動化が整備されている為、
個々の従業員に依存せず、属人的なオペレーションにならないのです。
半面、設備費など含めた大きな投資が必要になります。

 

知識集約型

知識集約型のビジネスは、頭脳労働や知識労働が事業の中心となります。
人間の知的労働力に頼る割合が大きいという理由から、
知識集約型を労働集約型の形態の1つと考えることもできます。

 

また、これまで評価できなかった”知識を資本”とする、
新しい資本集約型と考える事が可能でもあります。

 

生産と消費は切り離されている(資本集約型の特徴)けれど、
人間のスキル、知識、経験などに依存する割合が大きく(労働集約型の特徴)
様々なテクノロジーの発達によって、状況が一変したため
あえて、知的集約型と呼ばれるようになっています。

 

知識や情報を活用し、高度な技術やサービスを提供するため
専門知識を要求される頭脳労働が中心になるビジネススタイルです。

 

情報通信業、インターネット関連サービス業、教育関連業、
ファッション関連業、弁護士、コンサルタント、医療などが
専門知識を必要とする知識集約型ビジネスといえます。

 

知識集約型産業の特徴として、
専門知識を持つ少人数の従業員に頼る傾向が強くなりがちです。
また従業員が少なくても売上高が高く、彼らへの報酬が比較的高額でもあります。

 

既得権益や特許、難関資格などを保有し、それを売上につなげている事も多々あります。
当然、専門知識を有する優秀な人材が必要不可欠です。
そのため優秀な人材の確保と、その後の流出防止が重要になります。
人材が定着するために、福利厚生の充実や従業員視点の労働環境構築などが求められます。

 

集約型モデルまとめ

労働集約型ビジネスで事業規模を拡大するのは
どのような職種であってもハードルは高めになります。

 

労働集約型は人員さえ確保できれば参入できる事業も多く、
長期にわたってブルーオーシャンな市場での事業展開も望めません。
競合が増えるにつれて競争が激化し、売上の頭打ちにおちいりやすくもあります。

 

さらに、競合の増加は価格競争を招き、低価格化が進みます。
売上を維持するに、薄利多売を強いられることになります。

 

また、労働集約型は人材とそのスキルに依存しているため、
すぐに商品やサービスの提供量を増やせないことも多々あります。

 

それどころか、従業員の離職や休業などにより
事業そのものががストップしてしまうリスクもあります。
同等のスキルを持つ人材の登用は事業の死活問題です。

 

離職が相次いでしまえば、新たな採用コストや育成コストが発生し、
既存の従業員に新人教育の仕事が増えて、負担と不満が増大します。

 

良質なサービス提供には良い人材が不可欠なので
人材を確保し続けるためには、人件費の上昇圧力が常にあります。
ビジネスとして好循環となっても、利益が残りにくいのが”労働集約型”なのです。

 

これらの特徴から。売上は下降傾向、経費(人件費)は上昇傾向となり、
利益が減ってしまうことになりやすいからです。

 

歯科医院においては、提供している歯科診療サービスの全てを
”来院した患者”に提供している限り、サービスの生産と消費がほぼ同時に行われて
”労働集約型”から逃れることができなくなります。

 

スタッフから突然「来月いっぱいで退職させてください!」と言われて
何の不安も感じない院長先生は、ほんの一握りでしょう。
休職・退職するスタッフにしかできない仕事があれば、
院内業務の混乱はもはや避けられません。

 

労働集約型ビジネスで事業規模を拡大するのは難しいと言いましたが、
1種類のスキルや仕事に対して、品質の差は多少あっても
複数のスタッフが提供可能となっていれば、その混乱は避けられます。

 

また、施術以外の説明についてなら、
基礎的な知識や罹患者に共通する病状解説の動画を撮影・編集してしまえば、
院内で用意したタブレットを用いてユニット上で視聴してもらったり、
インターネット上で公開して、そのURLを渡し、帰宅後視聴してもらったりできます。

 

こうすることで説明が属人的でなくなり、生産と消費が分離され
資本集約型に寄せていくことが可能になります。

 

これをさらに推し進めていけば、
院長を含めた歯科医師やスタッフの持つ知識やスキルを、
同業者や患者個人にオンラインで販売、マネタイズも実現可能です。

 

それが可能なプラットフォームも、動画製作をアシストするツールやAIも
便利で手間要らずなものが次々と発表され続けています。

 

コンテンツが増えて充実し、評価が高まれば、
書籍の著者のように、執筆・製作以降は何もせずとも
印税収益を得ることが可能となって、知識集約型スタイルが成立します。

 

つまり、労働集約型オンリーだった歯科医院経営に
資本集約型や知識集約型を通り入れ、労働集約型の比率を下げることで
スタッフへの依存度を下げ、標準化/効率化を進められるというわけです。

 

現代社会では、1つの事業を単純に
労働集約型・資本集約型・知識集約型に分類できない傾向にあります。
1つの事業の中に、複数の型の側面が混在しているからです。

 

”患者を目の前にしての診療”が完全になくならない限り、
歯科医院経営が完全な非労働集約型にはなれません。

 

労働集約型のままであっても、
優秀な人材を採用・育成・定着・活躍できる仕組みさえ
安定的に稼働させられる経営手腕さえあれば、ほぼ確実に成功できますが、
労働集約型だけというのは、様々なリスクに直面することになります。

 

 

3種類のビジネススタイル分類はいかがだったでしょうか?
参考となる部分はあったでしょうか…
最終的にはあなたの経営方針や目標設定によって
選択する道は異なってきます。

 

ここでもう1度、じっくりと考えてみてください。

 

 


 

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株式会社120パーセント
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