Last Updated on 2020.12.21 by 近 義武
「レセプト1枚当たりの平均点数」は
高くしたい院長と低くしたい院長がおいでです。
そして、歯科医院経営が比較的順調なのは、
高くしたい院長なのですが、あなたはどうでしょう…
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
歯科医院の「売上アップ」について話しています。
歯科医院の売上は次のような『方程式』で表せます。
保険診療報酬分の『売上』
= レセプト1枚の平均点数 × レセプト枚数
= 診療1回の平均点数 × 平均来院日数 × 実患者数
= 診療1回の平均点数 × のべ患者数
= 診療1回の平均点数 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
自費診療報酬分の『売上』
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × 平均来院日数 × 実患者数
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × のべ患者数
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
方程式の1つ1つの項目の数値を増加させることができれば、
歯科医院の『売上』が上がることになります。
これらの項目のうち、前回までで「診療1回の平均点数」
「診療1回の平均自由診療報酬額」「診療日数」
「1日の平均来院患者数」について話しました。
実患者数を増やす施策は新患の獲得だけではなく、
他にもいろいろあって、むしろそちらの方が
歯科医院経営への重要性が大きいくらい…
前回はそんな話をしましたね。
今回は「レセプト1枚当たりの平均点数」と
シリーズを通しての考え方のポイントを話していきます。
レセプト一枚当たりの平均点数
「レセプト一枚当たりの平均点数」が高い歯科医院は
保険診療の制度においては審査や指導の対象です。
ですから、この項目だけは
ただ単純に数値を大きくするわけにはいきません。
この点が「売上方程式」に登場する
他の数値と異なる点です。
「レセプト一枚当たりの平均点数」に関する方程式を
あらためてみてみましょう。
関連する売上方程式は以下の2つになります。
『売上』
=レセプト1枚当たりの平均点数 × レセプト枚数
=診療1回の平均点数 × 平均来院日数 × 実患者数
保険診療においては
レセプト枚数と実患者数はイコールですから、
レセプト1枚当たりの平均点数はすなわち
診療1回の平均点数 × 平均来院日数
=レセプト1枚当たりの平均点数
診療1回の平均点数 と 平均来院日数を掛け合わせたものと等しくなります。
レセプト一枚当たりの平均点数を上げるには
診療1回当たりの平均点数を上げるか、または
平均来院日数/月を増やせば良いということが
ここまで読み進めてきたあなたならすぐわかるでしょう。
それぞれの増やし方については
今回のシリーズこちらの記事を参考にしてください。
ここで問題となるのは
レセプト1枚当たりの平均点数をさげたい場合です。
レセプト1枚当たりの平均点数を下げる
何が問題かというと、『売上』は上げたいが、
『レセプト1枚当たりの平均点数』は下げたい…
というある意味わがままな思いがあるからです。
では実際にはどうすれば良いのでしょうか。
もう一度方程式をよく見てみましょう。
『売上』
=レセプト1枚当たりの平均点数 × レセプト枚数
ということは
『レセプト1枚当たりの平均点数』
= 売上 ÷ レセプト枚数
= 売上 ÷ 実患者数
レセプト1枚当たりの平均点数を低くするには
実患者数を大きくすればいいということがわかります。
まずこれが第1点目です。
一方で、
『レセプト1枚当たりの平均点数』
= 診療1回の平均点数 × 平均来院日数
となっていますから、
レセプト1枚当たりの平均点数を低くするには
診療1回の平均点数か平均来院日数のどちらか、
あるいは両方を小さくすればよいことになります。
ここで実際に診療を行っている
我々歯科医師の立場で考えてみると
できる治療をセーブするというのは
あまり気持ちの良いことではありませんよね。
この気持ちを尊重すると、
あなたに診療1回の平均点数を
「あえてセーブしてください」とは
私からはなかなか提案し難いものがあります。
そうなるとここでは
「平均来院日数」を小さくすることが必要!
ということになります。
これが第2点目です。
第1点目の「実患者数を大きくする」ことと
第2点目の「平均来院日数を小さくする」ことを
同時に満たすような施策があります。
結論を言えば、それは、
メインテナンスや検診、予防歯科の患者を増やすことです。
彼らのレセプトのことをイメージしてみてください。
来院日数としては1ヶ月間では「1日」となることがほとんどです。
そしてその「1日」での診療の平均点数は
それほどの大きくはならないはずです。
それでいて実患者数としては
他の一般的な通院患者と同等にカウントされます。
すなわち、実患者数を大きくすることには
十分に貢献してくれることになります。
実患者数を大きくすることを
「新規患者を増やす」ことで達成しようとすると
レセプト1枚当たりの平均点数は
かえって高くなってしまうことがあります。
これに対して、メインテナンス等の患者には
そのような心配はほとんどありません。
初診料を算定するか、しないかも
歯科医院側でコントロールもできます。
さらには、獲得コストも新患獲得のコストの
1/5〜1/10程度ですからこの点も有利です。
毎月数人ずつでも、積み上げていけば
レセプト1枚当たりの平均点数を下げる効果が
徐々に現れてくることは確実です。
売上アップの方程式 取組と考え方まとめ
これまで話してきたことは
「歯科医院の売上を分析・分解する」
「分解したそれぞれの項目ごとに考察する」
「弱い項目・問題ある項目を改善するための行動をする」
という道筋で話を展開してきました。
「売上」のように経営に直結する大きな事柄に関して
「売上を上げよう」というように
ざっくりと捉えて対策を考えようとすると
非常に複雑で難しいことになります。
そこで、問題解決を図る際の考え方として
重要になる3つのポイントを抑えてください。
1、分析と分解
問題を単純化するために、今回の「売上方程式」のように
細分化して考えて下さい。
そして、細分化したそれぞれの項目について
十分に検討するのです。
例えば、「実患者数」1つ取り上げてみても
増やそうと思えば保険診療の実患者数と
自費診療の実患者数のどちらを増やそうとするのかで
考え方は変わってきます。
自費診療の実患者数であれば、
最初から自費診療を希望する患者を増やすことでも
保険診療の患者から転換することでも
増やすことが可能なわけです。
このように、分析して細分化・分解…
それぞれをさらに分析して分解…
細かくしてから考察・検討…
この手法は問題をシンプルにして
解決策を導き出しやすくする効果があります。
これは「売上」のことに限りません。
あらゆることに広く応用が利く手法となります。
2、ノウハウ
問題を細分化・分解・分析をして抽出された項目を
あなたの望むように変化させるには
それぞれの項目に対して個別に
知識やノウハウを必要とします。
世の中には、「売上」をあげるノウハウというのは
それこそ星の数ほど存在しています。
もし、あなたがそういったノウハウの1つを
あなたの歯科医院経営に導入しようとするなら、
そのノウハウが細分化したどの項目に対するものなのかを
十分に把握する必要があります。
現状であなたが改善したいと思っている項目と
導入しようとしているノウハウが効く項目とが
きちんと一致して初めて成果が得られます。
例えば、あなたが
自費診療の実患者数の増加を望んだとします。
それを最初から自費診療希望の患者を増やすことで
達成したいと思っているなら、
保険診療から自費診療に転換するノウハウは
無意味なものとなります。
セミナーで得たノウハウも、専門書から得た知識も、
どんな位置づけのものなのかを整理しておかなければ
いざというときに活用・応用ができません。
それぞれの項目にそれぞれのノウハウという考え方は
適応症とそれに対する治療法の関係と似ています。
ある意味、我々には納得しやすいことかもしません。
3、マインドセット
我々が通常「ノウハウ」と呼んでいるものは
実際には2つに分けることができます。
それが『マインドセット』と狭義での『ノウハウ』です。
どちらも問題解決に向けて役立つものになりますが
明確な違いがあります。
ノウハウは問題解決に役立つ
やり方、方法、具体的な行動指針等です。
これに対してマインドセットは
問題解決するにあたっての心構えや考え方などになります。
どちらも大切なものではありますが、
強いてどちらが大切かといえばマインドセットです。
マインドセットはある程度優秀な方が身につけると
それだけでノウハウを生み出すことが可能だからです。
マインドセットは非常に高いレベルで抽象化された
ノウハウと考えることができるのです。
マインドセットを具現化+カスタマイズすることで
ノウハウを生み出し問題を解決することが可能です。
マインドセット=心得や気構えを聞くだけで
どんどん成果を出せる方もいますが、
その方はマインドセットを自分用にカスタマイズして
具体化する能力が高いといえます。
ですから、何らかのノウハウを導入する場合には
マインドセットも含めて身に付けていただくのが正解です。
そうすることによってそのノウハウは
応用範囲の広くて長い期間にわたって使える
費用対効果の高い優秀なノウハウとなるでしょう。
分解・分析をしてそれぞれの小項目について
ノウハウとマインドセットを駆使して改善していく…
「いっぺんに…」などと欲張らずに
項目一つ一つを着実に向上させていくことが
結局は最も早く効果を実感するコツです。
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
今回の「売上」のように多数の因子が絡み合って
最終的な結果が導かれることに関する「問題というのは
どこから改善の手をつけるか、迷ってしまいがちです。
しかし、実際にはある1つのセオリーさえ守っていれば
どれから初めていくかは簡単に分かってしまいます。
ではその守るべき1つのセオリーとは
どんなことでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。