先生、毎日の診療、本当にお疲れ様です。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
ニッチな自由診療でも「先生のその治療が受けたい!」患者が集まる歯科医院構築、
クリニックの経営アドバイザーで歯科医師の 近 義武 です。
患者が本当に不満に感じていることの真実
先生はこんなこと、思い当たる節がありますか?
腕も、愛想も、説明の丁寧さも悪く無いはずなのに、
患者の定着率が伸びない…
患者は一体どこの不満を案じているのだろう?
わからないから改善のしようが無いよ…
地道に誠心誠意、頑張るしか無いかぁ…
先生の気持ちは痛いほどわかります。
私もそう感じていた時期がありました。
ですが実際のところ、歯科医院への不満の大部分は
「治療の質」とは全く関係のないところから生じています。
にわかには信じられないかもしれません。
もしこれが真実なら、あなたが苦労して身につけた治療技術や
最新の医療機器への投資は、患者の満足度には
ほとんど影響していないと言われている様なモノだからです。
驚くべきことに、かつ残念なことに、
歯科医院に対する患者の不満の”98%”は
治療の質以外の要素から生まれているという調査結果があるのです。
治療後の痛みや機能回復の不具合、審美的な仕上がりの問題ではなく
全く別の次元のことが不満の種になっているのです。
「では何に不満を感じているのか?」
この問いに答えることが
あなたの歯科医院の経営を大きく変える鍵となります。
患者不満の真相と対応策
不満の真相と根本原因
具体的に、患者はどこに不満を感じているのでしょうか?
多くの歯科医院を訪問して分析してきた結果、
主な不満は以下のようなものに集約されます。
待ち時間の長さ
まず最も多いのが「待ち時間の長さ」です。
予約時間から15分以上待たされると患者の不満度は急激に高まります。
ある調査では、予約時間より30分以上待たされた患者の約70%が
「次回は別の歯科医院を検討する」と回答しています。
これは患者にとって
「自分の時間が尊重されていない」
というメッセージとして受け取られるからです。
患者がアポイント通りに来院していないとあなたがイラつくように
予約通りに診療が始まらないと患者はイラつくということです。
諸事情があるのはあなたも患者も同じです。
歯科医院側も極力アポイントの時刻に診療を開始できるよう
甘えずに努力や調整を常時行う姿勢でいるべきでしょう。
説明不足、コミュニケーション不足
次に「説明不足」や「コミュニケーション不足」です。
患者は治療内容や費用について十分な説明を求めています。
特に費用面では、
後から追加料金が発生すると強い不信感を抱きます。
これは「騙された」という感情に直結しやすい問題です。
また治療計画の選択肢を示さないと、この先生は
「自分のことを考えてくれていない」
と感じるのです。
相手は歯科のど素人ですが、人格が劣っているわけではありません。
説明は繰り返しても悪いことはありませんが、
不足して仕舞えば途端に信頼を揺るがす問題となります。
受付対応やスタッフの態度
先生と同等かそれ以上に患者と相対することもあるので
不満の大きな要因とな理やすいと言えます。
スタッフの何気ない一言や
表情が患者の心証を決定づけることが多いにありえます。
患者は会計時の対応や電話応対など
わずか数十秒の接点から歯科医院全体の印象を決定しています。
院内の清潔感や雰囲気
こちらも意外と重要な要素です。
待合室の古い雑誌や埃を被った歯ブラシ等の商品、
汚れたトイレや変色した患者用スリッパなど多岐に渡ります。
これらを含めて”清潔感”がどこかで欠落していると
「この歯科医院は細部まで気を配っていない」
という印象を与えてしまいます。
また、スタッフの様子や口調、明るさ、
院内全体に漂う空気感に活気がなかったり、
萎縮して縮こまっているような雰囲気も患者を遠ざけます。
驚くべきことに、これらの要素はすべて
「治療の質」とは直接関係のないものです。
つまり技術的にどれだけ優れた処置をしても
これらの要因が満たされなければ
患者は不満を感じてしまうということなのです。
考えてみれば当然のことでもあります。
患者は専門的な治療の質を正確に評価することができません。
歯科の知識が圧倒的に少ないのですから、仕方がありません
たとえばインレーの適合性や根管治療の質など、
素人目には判断が難しい部分がほとんどです。
そのため、患者は目に見える要素や
感情的な要素から総合的かつ類推的に
「この歯科医院は良いのだろう」と判断しているのです。
これは飲食店で例えるなら、
料理の味よりも店員の対応や店の雰囲気、
料理の提供速度で評価されているようなものです。
先生の歯科医院ではいかがでしょうか?
最近失った患者について思い返してみてください。
技術以外の部分に不満があった可能性が
相当高いのではないでしょうか。
患者満足度を向上させる実践的アプローチ
では、これらの不満要因に対して
どのように対応すれば良いのでしょうか?
クライアント先のある歯科医院では
以下のような取り組みを実践しています。
まず「待ち時間」の問題については
アポイント制度の見直しを行いました。
治療内容ごとに適切な時間枠を設定し
余裕を持ったスケジューリングを励行しています。
例えば、抜髄療なら60分、クラウン装着なら30分というように
治療別の標準時間を設定するのです。
また待ち時間が発生した場合は必ず声をかけて状況を説明しています。
「あと15分ほどお待ちいただけますか」この一言で
患者の不満は大きく軽減します。
次に「コミュニケーション」については治療計画書の活用が有効です。
費用と治療内容をわかりやすく文書化して渡すことで
後々のトラブルを防止できます。
また、説明時にはイラストや模型を使って視覚的に
伝えて理解を促進することを心がけましょう。
説明用動画の活用も有効です。
また「この治療をすると、どんな良いことが
あなたの生活に起きるか」という
ベネフィットを伝えることも重要です。
「受付対応やスタッフの態度」については
定期的なロールプレイング研修が効果的です。
特に電話応対と初診時の対応はマニュアル化して
徹底教育をすることで大きく改善します。
例えば、ある歯科医院では
「来院中に患者の名前を必ず3回以上呼ぶ」というルールを
設けたところ、患者満足度が20%以上向上した事例があります。
「院内環境」については患者目線での
定期的・定時的なチェックを実施することをお勧めします。
特にトイレの清潔さは歯科医院の印象を大きく左右します。
清掃チェックリストを作成し毎日確認する習慣をつけましょう。
また、待合室の雑誌や装飾品も3ヶ月に一度は見直すことで
「いつも同じ」という印象を防げます。
これらの取り組みは大きな投資を必要とするものではありません。
しかし、継続的に実践することで患者の満足度は着実に向上し、
リコール率の改善にも繋がります。
先生は今日から何を実践できそうですか?
小さな変化から始めることが大きな成果への第一歩となります。
今日から始める患者満足度向上への取り組み
ここまで見てきたように、患者の不満の98%は
治療の質以外の要素から生まれています。
これは裏を返せば、臨床技術だけにこだわるのではなく、
総合的な患者体験を向上させることで
大きく差別化できるチャンスでもあります。
高品質な歯科治療の提供は、今や当たり前のこととして認識され
それ以上のものが求められる時代になったのです。
今日から実践できる具体的なステップとして
以下の3つに取り組んでみてください。
1つ目は、あなたの歯科医院の「患者体験」を
自分自身で検証してみることです。
予約から会計までの流れを
患者目線で見直してみましょう。
2つ目は、スタッフとの定期ミーティングで
患者からの小さな反応や意見を共有する場を設けることです。
3つ目は、診療後に簡単な満足度調査を実施することです。
これにより患者の声を直接聞くことができます。
歯科診療の本質は変わりませんが
患者の期待値は常に変化しています。
技術研鑽と同じくらい「患者体験」の向上に力を入れることで
あなたの歯科医院は必ず選ばれる存在になるでしょう。