野球で例えるなら、ポスティングや折込チラシは
クリーンアップと呼ばれる３〜５番打者のような
”高打率”や”長打”を期待する媒体ではありません。
どんなに良くても１、２番打者、
大抵がシングルヒットや四死球での出塁を期待する
７、８番打者くらいの位置付けです。
ただし、使い所によっては、
素晴らしい働きをしてくれますので
”広告上級者向け”な媒体ということもできます。
今回は、ポスティングや折込チラシの”強いクセ”と
その活かし方について話していきましょう。
ポスティングや折込チラシの強いクセ１
〜まとまったコストが発生する〜
ポスティング、折込チラシとも以下の３項目のコストがかかります。
デザイン費
平均は３〜８万円ですが、上を見ればキリがありません。
院長先生やスタッフが作成できるなら費用は低く抑えられます。
”キレイ”なチラシが欲しいならプロに依頼しましょう。
ただし、反応については、それこそ”みずもの”で予測が難しくなっています。
印刷費
印刷費は、チラシのサイズや紙質・色数などで費用が変わります。
A4、両面フルカラー印刷の相場は10,000枚あたり50,000〜100,000円です。
印刷業者指定の形式でデータを入稿することで費用をいくらか抑えられます。
配布費
配布費は、エリアや配布方法・配布枚数によって異なります。
相場は、１枚あたり３〜７円が相場です。
配布をスタッフ総出で行なえば費用は抑えられますが、
揉め事につながる可能性もあるので業者に依頼をお勧めします。
このように、ポスティング・折込チラシには
それなりのまとまった資金が必要です。
できる範囲で院内の人的リソースを動員し、
チラシを用意して配布する費用を１枚あたり10円で行うとすると、
10,000枚のチラシを配るなら100,000円がかかります。
ポスティングや折込チラシの強いクセ２
〜そもそも反応率が微妙〜
ポスティング・折込チラシの反応率は
0.01％〜0.3%と言われています。
この際の”反応”とは予約電話や問い合わせ電話、
来院しての予約や初診受診などを指しています。
つまり、10,000枚のチラシを配ると
反応が１〜30件得られるということになります。
10万円の広告費を使って、問い合わせが４〜５件で
来院まで漕ぎ着けたのは１件もなかった…なんてザラです。
１人の患者が新規初診患者として来院すると、
その患者が生涯に渡って歯科医院にもたらす総売上額の平均は
保険診療主体なら約８万円、一部が自由診療なら約20万円、
自由診療オンリーなら約100万円あたりが平均的です。
ですから、相場の費用でポスティング・折込チラシを行ったとしても、
反応率がちょっと良くないだけで、その広告は
『費用対効果が赤字』『骨折り損のくたびれもうけ』
『資金・時間・労力投入は無駄だった』ことになるわけです。
ポスティングや折込チラシの強いクセ３
〜”ゴミ箱へ直行”の回避が必須〜
想像してみてください。
あなたが仕事を終えて帰宅すると、
ポストにはチラシが数枚、雑然と入っています。
キレイなデザインのチラシが複数枚…
時折二つ折り、三つ折りになったチラシもあります…
大抵はチラ見して、そのままグシャっと丸めてゴミ箱行きですよね。
広告媒体としては、チラ見してもらえればまだマシな部類と言えます。
何が言いたいかというと、一瞬でも興味を引けなくては、
苦労したデザインも、悩んで書いたテキストも
日の目を見ないまま捨てられてしまうということです。
”キャッチーで目を引く何か”を、チラシの最も目に留まりやすい位置に
設置して、ゴミ箱直行を回避しなくては全てが無駄になります。
口で言うのは簡単ですが、実現は相当厳しいと覚悟して臨みましょう。
ポスティングや折込チラシの強いクセ４
〜地域を絞った情報発信が可能〜
あなたの歯科医院の開業時に、ターゲットとなる患者層を解析・分析して、
ターゲット層の行動圏を把握し、開業地のロケーションを定めたとすれば、
ポスティング・折込チラシを行なう地域はある程度、商圏と重複しています。
そのまま、あなたの歯科医院の商圏（半径500mほど）に
ポスティング・折込チラシを行なうことで
ターゲット層に対し情報を届けやすくなります。
しかし、「交通の要衝である」「人の流れ、動線上の好立地」
「大型商業施設内のテナント」などの理由で開業地を定めた場合、
ターゲットとなる患者の居住地域とあなたの歯科医院の商圏（半径500mほど）が
全く別の地域となっていることがあります。
ポスティング・折込チラシは地域への情報発信力が高いため
ターゲットとなる患者層の設定と、その解析が適切なら
ターゲット層に対してあなたからの情報を届けやすくなりますが、
設定と解析が雑だとほぼ”空振り三振”状態になります。
場合によっては予期せぬ属性の患者が来院して
円滑な歯科医院運営や診療体制を邪魔する可能性も出てきます。
利便性やアクセスの良さだけを理由に来院する患者を望まないなら
十分にターゲットとなる患者層の設定と、その解析をするしかありません。
ポスティングや折込チラシの強いクセ５
〜典型的なアナログ広告媒体〜
ポスティング・折込チラシは、チラシを直接、
ターゲットの自宅やオフィスに配布することができます。
例えばターゲット層が高齢者であった場合、彼らの情報取得は
電話、FAX、郵送物、TV、新聞、ラジオ、刊行物などがメインになりがちです。
ポスティング・折込チラシは、インターネットを利用しない高齢者層にも
リーチすることが可能な広告媒体の1つです。
そのような高齢者の中には、インターネット広告を
目にする機会が少ない方もたくさんおいでですので、
ポスティング・折込チラシの活用は高齢者に対して高い宣伝効果を期待できます。
また、オフィスの中には就業時間内の
インターネットへのアクセスを制限している企業も一定数存在します。
そのような労働環境の中では、
インターネット広告はその閲覧を期待できませんが、
ポスティング・折込チラシがその間隙をぬって
宣伝効果を発揮する可能性は十分にあります。
しかもそのオフィスに在籍している方が多数おいでなら
着目される可能性もそれなりに上がることになります。
ただしここでも、ターゲット層との合致が
どの程度なのかを十分に注視をしなくては
想定外の困った結果が出る可能性が高まります。
広告媒体としての強いクセの活かし方
ここまで5つの”ポスティング・折込チラシの強いクセ”について話してきました。
１：まとまったコストが発生する
２：そもそも反応率が微妙
３：”ゴミ箱へ直行”の回避が必須
４：地域を絞った情報発信が可能
５：典型的なアナログ広告媒体
冒頭では”高打率”や”長打”を期待する媒体ではない
という事も話しました。
こんなポスティング・折込チラシを活かすには
あることが欠かせません。
そのあることとは、あなたの歯科医院のターゲットを
ぎゅうぎゅうに絞って明確化・言語化にしておくことです。
コストが発生して反応率が微妙だからこそ、
無駄打ちしている場合ではないのです。
ゴミ箱直行では資金の無駄でやりきれません。
ターゲットを絞れば、ターゲット層に乏しい地域には
思い切って配布無しにすることができます。
ターゲット層の目を引く仕掛けもアイデアが出やすくなります。
ポスティング・折込チラシなら配布地域を的確に絞れますから、
コレまでターゲッティングが甘かった歯科医院でも
実施結果を基に改善を実現することができますし、
ターゲット層にお馴染みの媒体で情報発信が可能なのです。
ポスティング・折込チラシに限らず、
広告をする際にはどんな媒体でも必ず
”ターゲット患者”を明確にすることはもはや必須です。
『八方美人は誰からも愛されない』ことを忘れずに
”絞り切る”ことが広告成功の鍵です。
