こんにちは、株式会社120パーセント代表、
ニッチな自由診療でも「先生のその治療が受けたい!」患者が集まる歯科医院構築、
クリニックの経営アドバイザーで歯科医師の 近 義武 です。
歯科医院経営において
「他と違うことをやれば患者が集まる」という発想は、実は危ういものです。
たとえば、ある院長は
「ウチは他院がやっていない珍しい治療メニューを取り入れて差別化を図った」
と語ります。
しかし、しばらくしても思うように患者数は増えず、
結局そのメニューは自然消滅してしまいました。
この事例が示すように、「誰もやっていない」という要素だけに注目しても、
それが患者のニーズと一致していなければ選ばれる理由にはなりません。
ニッチとは、単なる“変わった取り組み”ではなく、
「特定の患者層が強く求めているもの」であることが前提なのです。
つまり、ニッチ戦略とは、
他院との差別化を図るための手段ではありますが、その根底には
「誰のために、何を提供するか」を明確にする姿勢が求められるわけです。
ニッチ戦略は、ただ目新しさを追うのではなく、
患者の“本音”と真摯に向き合うことから始まります。
患者が求めている「価値」とは?
ニッチ成功の鍵は“共感”にあリます。
ニッチ戦略の成功には、「共感」が欠かせません。
つまり、患者が「そうそう、私のことだ」と感じる体験を
提供できているかどうかが鍵なのです。
患者は、自分の悩みに対して
”寄り添ってくれる存在”を探しています。
そのため、歯科医院側が提供する診療やメッセージが、
患者自身の問題意識や価値観と一致している必要があるのです。
たとえば、「子育て世代向けの矯正治療」に特化した医院が、
忙しい親の生活リズムを考慮した診療時間や、
短時間で終わる説明動画を導入した結果、
「まさにこういうのを探していました!」
という声が増えたという事例があります。
ここには“技術的な差別化”以上に、
“気持ちに寄り添う設計”があったのです。
また、ニッチを見極めるためには、
地域の年齢層・ライフスタイル・通院動機などを
具体的に把握することも重要です。
つまり「何をやるか」ではなく
「誰に向けて、なぜそれをやるのか」を
突き詰めて考えることが、ニッチ戦略の成功を左右します。
その治療、本当に患者に届いていますか?
あなたは「専門性の押し売り」になっていないでしょうか?
歯科医院が専門性を強調するのは当然のことですが、
それが「患者にとっての価値」に結びついていなければ、
ただの“押し売り”になりかねません。
たとえば、高度な設備や優れた技術力を訴えることは、
院長の自己満足で終わってしまう可能性があります。
患者が本当に求めているのは、
「自分の悩みが解決されるかどうか」という一点です。
専門知識や実績を伝える際にも、
それが“患者目線”で語られているかを常に意識する必要があります。
「この治療は、あなたの◯◯という不安に対して、
△△な結果を出す可能性が十分にあります」というような
具体的な表現が、患者からの信頼につながるのです。
つまり、情報発信の目的は“知識を伝える”ことではなく、
“不安を解消する”ことなのです。
専門性は、それが患者の生活や感情に
どう関わるかまで落とし込まれて初めて意味を持ちます。
価格で勝負しない医院づくり
価値の「伝え方」を磨いてください。
価格競争に巻き込まれないためには、
「高いから選ばれない」という考え方自体を再検討してください。
実際には「価値が伝わっていない」から選ばれないという
可能性をまず疑ってみるべきです。
同じ治療内容でも、患者にとって
「自分に合った理由」が伝われば、
価格は判断基準の一部に過ぎなくなります。
例えば、「矯正相談が無料」とだけ書かれた案内と、
「初回相談で3つの治療方針と予算プランを提示」
と書かれた案内とでは、受け取られ方が大きく異なります。
後者の方が“得られる未来”を具体的にイメージでき、価値が明確になります。
さらに、ホームページや院内掲示、説明資料など、
あらゆる接点で「なぜそれがあなた(患者)にとって必要なのか」を
丁寧に伝えることで、価格ではなく“納得感”で選ばれる医院になります。
情報は「出すこと」よりも「伝わること」に重点を置くことが、
今の時代の信頼構築につながります。
伝えることにもっと磨きをかけることを考えましょう。
まとめ:ニッチ戦略は「特別な技術」ではない
ニッチ戦略が「特別な視点」から生まれるだけです。
ここまでご紹介したように、
ニッチ戦略とは決して“奇抜な取り組み”ではなく、
「特定の患者にとっての最適解」を深く掘り下げることです。
求められているのは、
“誰に向けて、なぜその価値を届けるのか”という明確な視点です。
技術や設備がどれほど優れていても、
それが「患者の困りごと」とつながっていなければ意味を持ちません。
逆に、患者の生活や感情に丁寧に寄り添い、
その中にある“声にならないニーズ”を掘り起こすことができれば、
それは強力な差別化となります。
今、あなたの医院が選ばれている理由は明確ですか?
もしその答えが曖昧なら、今日から“誰のための医院か”を
問い直すことから始めましょう。
答えは、きっと患者の心の中にあります。