「院長が休めない」本当の理由｜優秀な院長ほど陥る罠

「院長が休めない」本当の理由

あなたは、丸一日医院を休んでも
何の不安もなく過ごせるでしょうか？

そう感じているなら、
あなたの医院は確実に「院長依存型」です。

技術力は高い。患者からの信頼もある。
それなのに、休めない。任せられない。
いつまでも現場を離れられない。

月商300万円前後で、自由診療比率が1割程度の
歯科医院によくあるのが、この
「院長がすべてを支えている構造」です。

一見、問題なく回っているように見えますが、
実はこれこそが、
医院の成長を止めている最大の要因なのです。

なぜなら、院長が病気になったら医院が止まる。
継承しようとしても売上が落ちる。

第三者に譲ろうにも、
組織が機能していないため引き継ぎができない。

つまり、院長が頑張れば頑張るほど、
医院の未来が狭まっていくのです。

私はこれまで数多くの歯科医院を見てきましたが、
「院長依存から抜け出せるかどうか」が
医院の10年後を決めると言えます。

今日は、その構造を紐解き、どうすれば
「院長がいなくても回る組織」を作れるか？
をお伝えします。

優秀な院長ほど「任せられない」

では、なぜ院長依存の構造が生まれるのか。
それは、「院長が一番できるから」です。

診断も、説明も、治療も。
クレーム対応も、経営判断も。
すべて院長が一番うまくこなせる。

だから、つい自分でやってしまう。
スタッフに任せるより早いし、
まさにエースで４番ですから確実なのです。

しかし、そうやって院長がすべてを抱え続けると
次の3つの問題が必ず起こります。

①独自資源が院長に集中

患者は「院長に診てほしい」と思うようになり、
スタッフは「院長に聞けばいい」と考えるようになる。

結果、院長が突然の風邪で休んだだけで
予約はキャンセルになり、判断は止まり、
その月の売上は目に見えて落ちます。

たとえば月商300万円の医院で、
院長が1週間不在になれば
100万円以上の売上減も珍しくありません。

②継承候補に任せられない

後継者となる勤務医やスタッフに任せても、
「院長先生がいい」という患者の声が上り、
売上が2割、3割と落ちていく。

それを見た院長は
「やっぱり自分がやるしかない」と考え、
現場に復帰せざるを得なくなります。

結果、70代になっても診療から離れられず、
リタイアの時期を逃してしまうのです。

③スタッフが育たない

院長がすべて判断してしまうため、
スタッフは「指示待ち」になります。

自分で考える力、判断する力、
患者に寄り添う姿勢が育ちません。

組織としての文化も理念も根づかず、
ただ「院長の指示をこなすだけの集団」に
なってしまうのです。

これでは第三者継承も上手くいきません。
引き継いだ院長が何をしても、
組織が機能しないからです。

つまり、優秀であればあるほど、
院長は「任せられない構造」に
自らハマっていきやすいのです。

「段階的に任せる」仕組みつくり

では、どうすればこの構造から抜け出せるのか。
答えは、「段階的に任せる仕組み」をつくること。

いきなり丸投げするのではなく、
小さな権限から少しずつ渡していく。
そのプロセスこそが、組織を育てます。
以下、具体的なステップをお伝えします。

ステップ①：任せる業務を明確化

まず、院長が担っている業務を…

この記事の公開は2026年5月31日まで