患者の気持ち

本当の「患者の気持ち」はもう実感できない

 

インターネットで調べ物などをしていると時折、

『患者の気持ち』
『こんな場面でこう思った』
『医療従事者の感じたこと』
『医師の倫理観』
『患者と医師との意思の疎通の仕方』

みたいな記事に出くわします。

 

大抵は丸ごと記録しておいて休憩時間などに読むのですが、
たまに本来の調べ物のことを忘れて読みふけることもあります。

 

予定していたタスクが溜まってしまうわけですが、
常に関心を持っている話題なので
反省半分、諦め半分というところです。

 

この手の記事に接していつも思うことは
『当事者(患者)と専門家(医療従事者)との温度差が大きいなぁ…』
ということです。

こんなに違う一般人と専門家

気になるポイントも、動揺の大きさも、不安の感じ方も、
テンパリ具合も、パニックになるのを抑える大変さも、
当事者(患者)にはレバレッジがかかっているのです。

 

確かに両者では情報量が圧倒的に違います。
患者と我々歯科医師とでは、卒後1年目だろうが
知識が雲泥の差です。

 

患者に対して『なんでわからないの』と
本気で思ったことはあなたにも経験があるでしょう。

 

歯科に関しては原因も、症状も、その後の推移も、
処置も、治療費用の概算も、必要な通院回数も、
大体は思い浮かべることができますよね。

 

しかも我々の方は、経験を積むほど似た症例、
同じような症例に何度も出会うことになります。

 

ポピュラーな病状であればなおさらです。
珍しくもなんともなく、気持ちも特に動きません。
よほどのことがなければ冷静に対処ができます。

 

そういう歯科医師の私でも
歯科以外の科で、身体的に大きな問題や症状を抱えた時には
その科の専門医ほど冷静ではいられません。

 

私にとっては、私の身体はたった1つの身体、
たった1つの人生なのに不明な点や不安でいっぱいになるからです。

 

患者にとっても同様に、患者自身の身体は1つしかないもので
その病状もそう何度も経験してはいないものです。

 

歯科診療の臨床の現場では、
我々にとっては毎度おなじみの病状、たくさんの身体、
たくさんの人生の内の1つの状況でしかありませんが、
患者にとっては未知の出来事、初遭遇のトラブル、
たった1つの自分の命を脅かすものかもしれないのです。

 

そりゃあ、温度差があって当然と言えば当然だよねってことです。
「患者の立場になって考えろ、患者の気持ちになれ!」と言われますが、
我々が歯科の専門家として膨大な知識を忘れ去ることができない以上、
もともと無理な話なのです。

そのまま甘んじますか?

だからと言って
この温度差はそのまま放置するしかないものなのでしょうか…
特に気にしなくてよいものでしょうか…
私はそうは思いません。

 

完全に温度差をなくすことは無理でしょうが、
温度差を小さくする努力と工夫を怠るべきではありません。

 

これこそがホスピタリティであり、患者さんの身になるということだ!

なんてキレイゴトを言う気は毛頭ありません。
そんなことよりも現実的になるべきです。

 

もし私が、他の要素を全く考えずに自らの通う病院を選ぶなら、
温度差をそのままこちらに出してくるような
そんな病院を選ぶことはありません。

 

知らないことをバカにするような態度をとったり、
心配してする色々な質問にいやいや答えるたりする
医師やスタッフがいる病院に通う気は消え失せます。

 

ここに重大な事実があることに気づいたでしょうか?
それは、通院を辞める原因となっているのが
「本来の診療やサービスに対する不満ではない」ことです。

 

実際のところ、患者には歯科の知識がほとんどありません。
治療内容に関することを不満に感じて、その結果
通院しなくなるということはめったにないのです。

 

舌や粘膜を大きく傷つけたとか、
治療する以前より格段に具合が悪くなったとか
あからさまでわかりやすいこと以外は気づくこともできません。

 

ですから、当事者で一般人である患者は、
”本来メインで提供している治療そのものやその結果”に
不満を感じて通院を止めることはあまり無く、
むしろ”治療に関係ないこと”を理由に通院を止めるのです。

なんて理不尽な…

歯科医師であるあなたは、そう感じるのではないでしょうか。
私もこの事実に向き合った当初は、理不尽に思ったものです。

 

しかし、アメリカの伝説的なマーケティングコンサルタントである
ダン ケネディもこう述べています。

不満を抱いた顧客の98%は、
購入した商品やサービスのクオリティには不満を持っていない

 

つまり、我々歯科医療従事者側からすれば、
「そんなの本筋の診療とは無関係!やることやってるじゃん!!」
と思うようなことで、患者はあなたの歯科医院から離れていくのです。

このことから導き出される残酷な真実は…

【復刻限定】この記事の公開は2025年4月30日まで

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