新患獲得よりも効果的！既存患者のLTVを高める歯科医院経営

先日、ある60代の男性患者がメンテナンスに来院されました。
彼が初めて私の患者となったのは今から7年前のことです。

初診時は左下第一大臼歯のカリエス処置のために
来院されただけでした。
保険診療で窓口負担はたったの3,000円ほど。

普通に考えれば、この患者との関わりは
その1回の処置で終わりだったはずです。
しかし実際はどうだったかというと…

カリエス処置後、私は彼に
思い切った全額的な治療計画を提案しました。

その結果、彼は自由診療の歯周病治療、
前歯部の審美セラミクス治療、
金属床のノンクラスプデンチャーによる欠損補綴治療を
受けることに同意してくれたのです。

治療終了後も彼は3ヶ月ごとのメンテナンスに
喜んで通ってくださっています。

7年間で彼が歯科医院にもたらした診療報酬は
100万円を超えています。

たった一本のカリエス治療から始まった関係が
歯科医院にとって大きな価値を生み出したのです。

これこそが今日お話しする「LTV（患者生涯価値）」
”Life Time Value”という概念の本質です。

1回の診療収入だけ、1初診内の診療シリーズではなく、
患者が生涯を通じてあなたの歯科医院に
もたらす価値を考えることの重要性。

そして、その考え方を取り入れるだけで
歯科医院の経営は大きく変わるのです。

あなたにとっての患者生涯価値とは

LTV（Life Time Value）とは、一人の患者が
あなたの歯科医院に、その生涯全てでもたらす総収益のことです。

多くの歯科医師は目の前の治療収入だけを見がちですが、
それは大きな機会損失を招いている可能性が高いと言えます。

例えば、あなたの歯科医院に新規で来院した
30歳の患者を考えてみましょう。

この患者が80歳まで通院できると仮定すると、
あなたの歯科医院と50年の関わりを持つ可能性があるのです。

年に2回のメンテナンスだけでも、
1回5,000円として50年間で50万円。

さらに10年に一度程度の大きな治療が必要になれば、
1回20万円として50年間で100万円。

つまり、たった一人の患者が
生涯で150万円もの価値をもたらす可能性があるのです。

それなのに、「今日の患者数は何人だったか」
「今月の売上はいくらか」といった
短期的な視点だけで経営判断をしていませんか？

LTVという考え方を導入することで、
患者との関係性の構築に投資する意義が明確になります。

上記の数値はあくまでも”考え方”を理解するための数値ですから
報酬額については”最重要”ではありません。

それよりも、教育の機会やメンテナンスの意義の理解の
一助となることの方が重要ですし、報酬はあくまでその結果です。

ただし、LTVの考え方を取り入れることで
既存患者の流出防止の重要度がアップするのは間違いありません。

実は「新患を増やすこと」よりも
「既存患者を大切にすること」の方が歯科医院経営において
より効率的なことも腹落ちしやすくなります。

なぜなら、新規患者獲得には情報発信の手間や
広告宣伝費、初診対応などのコストがかかりますが、
既存患者の満足度向上は比較的低コストで実現できるからです。

業界データによれば、新規患者獲得には
既存患者維持の5〜10倍のコストがかかると言われています。

つまり、あなたの歯科医院の経営安定には
「患者のLTVを最大化する」という視点が必要不可欠なのです。

LTVの高い患者の特徴と見分け方

あなたの歯科医院には、
すでにLTVの高い患者が通院しているはずです。

では、そのような患者にはどのような
特徴があるのでしょうか？

まず、第一に…

この記事の公開は2025年12月31日まで