Last Updated on 2020.6.11 by 近 義武
「診療時短日・完全定時終業日」があるというだけでも
『スタッフ求人』に有利だという話は
私のクライアントからよく聞かされることです。
今回の新型コロナウィルスの影響によって
半強制的に診療時間を短縮せざるを得なくなった歯科医院も
決して少なくありません。
歯科医院経営がピンチだ!という相談も
私の元にたくさん寄せられてきます。
しかし、見方によっては飛躍のチャンスです。
なかなか進められなかった院内の業務改善が
一気に進んで花開く可能性はあなたの歯科医院にもあります。
この記事で少し頭の中を整理しましょう。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
前回は「診療時間短縮・残業禁止日」のメリットを中心の話でした。
メリットがあれば当然デメリットもあります。
今回はそちらにもスポットを当てましょう。
<前回の記事はコチラ>
診療時間短縮・残業禁止日のデメリット1
〜院長・管理職の負担増〜
院長であるあなたはもちろんですが、
管理職になると通常、残業代は発生しません。
経営陣の一翼扱いで残業という概念が適応されなくなります。
経営者のあなたが行っている診療も、医院経営・運営に関することも
その全てには賃金という概念がありません。
これは管理職となった幹部社員も同じです。
仮に「診療時間短縮・残業禁止日」当日に、
後片付けなどなんらかの仕事が残ったとしても
幹部職員以外のスタッフは定時に上がるルールです。
必然的に幹部職員とあなたがその仕事を引き受けることになります。
あなたはともかく、幹部社員にも残業代がありませんから
純粋に負担だけが増大してしまうことになりかねません。
『仕事が残る』ことが発生しにくい工夫や業務改善が必要になります。
診療時間短縮・残業禁止日のデメリット2
〜急患への対応〜
「診療時間短縮・残業禁止日」を導入することで、
終了間際の急患への対応がやや難しくなります。
ルールを定めて、それをスムーズに実行するには
患者に対応する際のトークスクリプトなど、
定めておくべきあれこれが出てくるということです。
ほぼアポイントどおりに診療が進行する歯科医院ならば、
「診療時間短縮・残業禁止日」はスタッフにも、
経営者であるあなたにも様々なメリットを多くもたらします。
しかし、飛び込みの患者がよく入ってくる歯科医院には、
その急患を受けるにしても、受けないにしても
問題が発生しやすくなります。
受けるとなれば、「診療時間短縮・残業禁止日」を
自ら破棄することになります。
受けなければ患者を断ることになるわけですから
患者も、スタッフも、あなた自身をも納得させる理由が必要です。
特に患者と相対する受付スタッフにとっては
「断る」ということは気持ちがいい仕事とは言えません。
あなたは患者の病状、緊急性、患者の感情、関係性、
診療機会の損失=収入の損失のこと、近隣住民からの評価など
様々なことを考慮してルールと対応を決めねばならないのです。
「診療時間短縮・残業禁止日」を取り入れる最大のデメリットは
この辺りの落とし所の調整が難しいことです。
診療時間短縮・残業禁止日のデメリット3
〜仕事に遅れが出る〜
個々のスタッフの仕事に及ぶしわ寄せです。
事務などのデスクワークを診療終了後に一定時間、
ほとんどのスタッフに課しているような歯科医院に
起こりやすいパターンです。
つまり、診療時間短縮・残業禁止日があると
その翌日に、やり残した仕事のしわ寄せが出やすくなるのです。
1日で発生した事務系の仕事を診療終了後に
まとめて行うようになっているとさらに出やすいでしょう。
例えば、ドクターならカルテの整備、指示書の内容整備、
歯科衛生士なら添付書類の整備、受付なら会計業務のまとめ、
歯科助手なら業務日誌の整備などになります。
当日に出来ないとなれば、
翌日に早朝出勤してその遅れを取り戻したり、
いつもよりさらに長時間の残業を
しなければならなくなるわけです。
また、場合によっては診療時間短縮・残業禁止日には
家に仕事を持ち帰るケースも発生するかもしれません。
精神的な負担が大きくなることもあります。
診療時間短縮・残業禁止日のデメリット4
〜診療患者数ならびに売上の減少〜
診療時間短縮・残業禁止のいずれもが、アポイントの「枠」を
縮小する方向に働きますから、診療時間短縮・残業禁止をして
他に全く手を打たなければ、1日の診療患者数が減り
それがそのまま売上の減少に直結します。
それでは困る、という院長はこの減少分をリカバーしましょう。
『歯科医院の売上方程式』という言葉に聞き覚えはあるでしょうか。
歯科医院の売上=実患者数×診療1回当たりの平均単価×平均来院頻度
これがその方程式です。
1ヶ月間の保険診療の売上を考えるとわかりやすいでしょう。
保険診療報酬は、レセプト枚数(実患者数)に
診療1回当たりに行う治療の平均点数(単価) と
患者一人の1ヶ月間の平均来院回数(来院頻度)とを掛けて
10倍(1点=10円換算)したものですよね。
診療時間短縮・残業禁止日の導入によって、
この「売上方程式」の実患者数、もしくは来院頻度が
減少することが売上を減少させることにつながるわけです。
そこで、リカバーの対策です。
診療時間短縮・残業禁止日の導入のデメリットとして
この「診療患者数ならびに売上の減少」が最も大きな
問題となっているのではないでしょうか。
そのリカバーについてはポイントとして4つ、ありますので
その4つのリカバーについてはまた次回に
お話ししていきます。
<前回の話をもう一度という方はこちらから>
<このシリーズの最終話はこちら>
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
「こんなことまで考えなくてはならないのか…」
と、院長の嘆きが聞こえてきそうです。
気持ちはわかりますが
近年はこうせざるを得ないような状況が続いています。
一昔前はなんでも横並びにしておけば
スタッフ人事も歯科医院経営も
まずまずうまく行ったものですが、
現在はそれではジリ貧の結果しか得られません。
人事の面でいうと大きな変化が2つありました。
1つは労働市場における『売り手市場の固定化』です。
通常であれば、景気動向などによって
売り手市場と買い手市場は循環します。
しかし、生産人口(15〜65歳の人口)の減少や
「歯科」のイメージ失墜・人気低下により
歯科業界では『売り手市場』の状態が
これからもしばらくは変わらないはずです。
景気が良くなればなおさらです。
これに加えてさらにもう1つ、
歯科医院での人事面で大きな変化があります。
それはどんなことでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
↓
↓
↓
↓
↓
↓
(ここは考える時間です)
↓
↓
↓
↓
↓
↓
それでは答えです。