経営者の心構えとは

”すべて自分でやる”は最大の経営ミス?”見えない損失”、”本当の利益”とは

「すべて自分でやれば経費削減になる」は本当に正しいのか?

先日、あるコンビニエンスストアの店主と話す機会がありました。
彼は「従業員を雇わず、家族だけで24時間営業をまわしている」と
誇らしげに語っていました。

 

確かに人件費は最小限に抑えられているでしょう。
しかし彼の顔には疲労の色が濃く、家族の笑顔も乏しく見えました。

 

「収益は上がっているのですか?」と尋ねると、
「まあ、なんとか…」と歯切れの悪い返事。

 

この光景は、実は多くの歯科医院の現状と
重なるものがあるのではないでしょうか。

 

「スタッフの給料は経費だから、
できるだけ自分でやればコストカットになる」

 

この考え方、先生も一度は持ったことが
あるのではないでしょうか。

 

技工物の発注調整、予約管理、SNS投稿、
機器のメンテナンス…

 

院長である先生が、診療の合間に
これらをすべて自分でこなしている話をよく聞かされます。

 

確かに、短期的に見れば経費は抑えられます。
人を雇わなければ、その分の給与は支払わなくて済みますから。

 

しかし、ここには大きな落とし穴があります。
その時間で本来できたはずの、より価値の高い活動を
結果的に放棄してしまっているのです。

 

これは経営学でいう「機会コスト」の問題です。

 

歯科医院経営において、
院長である先生の時間は最も高価な資源です。

 

その貴重な時間をどう配分するかが、
実は医院の成長と衰退を分ける
重要な分岐点になっているのです。

失われる機会コストという落とし穴

経営学には「機会コスト」という重要な概念があります。
これは「ある選択をしたことで、諦めざるを得なかった
別の選択肢の価値」のことです。

 

たとえば、新幹線と在来線を比較してみましょう。
新幹線は在来線より3倍の運賃がかかります。
しかし移動時間は3分の1です。

 

「節約のために在来線を選ぶ」という選択は、
表面的には経済的に見えます。

 

でも、その時間差で何ができたかを考えると
どうでしょう?

 

その2時間で患者3人を診られたとしたら?
講演や勉強会に参加できたとしたら?
家族との時間が持てたとしたら?

 

先生の歯科医院でも同じことが起きているはずです。

 

診療用ユニットを自分で清掃する30分。
その間に自費診療の症例検討ができたら?

 

予約調整を自分で行う20分。
その間に難症例の治療計画を練れたら?

 

SNSの投稿を自分で作る1時間。
その間に新しい治療技術を学べたら?

 

診療台あたりの売上が1時間3万円の歯科医院なら、
30分は1万5千円の価値があります。

 

つまり、1万5千円以下の作業を院長自らが行うことは、
経営的に見ると損失なのです。

 

さらに重要なのは、お金に換算できない価値の損失です。

 

スタッフ教育をする時間、最新の医療情報を
学ぶ時間、患者との信頼関係を深める時間…

 

これらは短期的な収益には表れなくとも、
医院の将来の成長を左右する本質的な活動です。

 

「安く済ませる」という発想は、
実は「高くつく選択」になっている可能性が高いのです。

歯科医院経営における4つの時間領域

歯科医院での時間の使い方を見直すために、
非常に役立つフレームワークがあります。

経営学者スティーブン・R・コヴィー博士が提唱した
「時間管理マトリックス」です。

 

これは「重要度」と「緊急性」という
2つの軸で全ての活動を分類するものです。

 

このマトリックスを歯科医院経営に
当てはめてみましょう。

 

【第Ⅰ領域:重要かつ緊急】

・急患対応
・機器の突然の故障対応
・キャンセル枠の調整
・スタッフの急な欠勤対応

 

この領域の活動は避けられないものですが、
多すぎると院長先生は消火活動に追われて疲弊します。

 

【第Ⅱ領域:重要だが緊急ではない】

・治療計画の立案と見直し
・スタッフ教育と育成
・新技術の習得や研修参加
・医院の経営戦略の検討
・患者との関係構築

 

この領域は、成長と予防のための活動です。
ここに時間を投資すると、後々の第Ⅰ領域の火事は減ります。

 

【第Ⅲ領域:緊急だが重要ではない】

・一部の電話対応
・些細な調整作業
・必要以上の資料作成
・不急の会議や打ち合わせ

 

この領域は「緊急」という見せかけに騙されやすく、
多くの院長先生の時間を奪っています。

 

【第Ⅳ領域:緊急でも重要でもない】

・意味のないネットサーフィン
・必要以上の機材のリサーチ
・過剰な掃除や整理

 

例えて言うなら、第Ⅰ領域は「燃え盛る家」、
第Ⅱ領域は「家の耐震補強」のようなものです。

 

家が燃えていれば消さなければなりませんが、
常に火事と向き合うのではなく、
火事が起きにくい家にする方が賢明です。

 

多くの院長先生は第Ⅰ領域(重要かつ緊急=燃える家)と
第Ⅲ領域(実は重要ではない割り込み)に時間を奪われています。

 

その結果、本当に重要な第Ⅱ領域の活動が
後回しになり、将来の火事の種を増やしてしまうのです。

持続的な成長をもたらす「第II領域」

なぜコヴィー博士は第II領域を最も重視したのでしょうか?
それは、ここに時間を投資することが
長期的な成功と充実をもたらすからです。

 

例えるなら、第II領域は「種まき」の時間です。
すぐには実を結びませんが、
やがて豊かな実りをもたらします。

 

歯科医院経営において、
第II領域の具体的な活動とは何でしょうか。

 

まず「スタッフ教育」です。
初めは時間がかかりますが、
やがて院長の負担を大きく軽減します。

 

次に「治療技術の向上」です。
特に治療の質を担保しつつ時短を実現する技術の習得は、
後の診療効率と質を高めます。

 

「経営戦略の立案」も重要です。
目標を明確にし、実現への道筋を描くことで、
日々の判断がブレることなく素早く行えます。

 

「患者との信頼関係構築」も第II領域です。
急ぎではないけれど、この積み重ねが
やがて医院の評判を高め、自由診療の成約率を高めます。

 

「自分自身の健康管理」も忘れてはなりません。
院長が倒れれば、医院も立ち行きません。

 

これらの活動は
日々の「重要かつ緊急な案件への対応=火消し」と比べると
「緊急」ではありません。

 

しかし、これら第II領域の活動を怠ると、
やがて取り返しのつかない事態を招きます。

 院長の時間を最適化する

「すべて自分でやれば経費削減になる」
この考えが一面的であることを
ご理解いただけたでしょうか。

 

院長である先生の時間には、
他のどのスタッフよりも高い価値があります。

 

その貴重な時間を「何に使うか」が、
歯科医院の未来を決めるのです。

 

ではどうすれば、より第II領域の活動に
時間を使えるようになるでしょうか。

 

まずは、今日の業務を「4つの領域」に
分類してみてください。

 

1日のうち、どれくらいの時間が
第I領域と第III領域(どちらも高緊急性)に費やされていますか。

 

次に「これは本当に院長の私がやるべきか」と
すべての業務を問い直してみてください。

 

時給換算で考えると、院長先生の時間は
最低でも1万円以上の価値があります。
1万円以下の価値の業務は、できる限り委譲すべきなのです。

 

「でも、教えるのが面倒だし、任せると品質が下がる」
多くの院長先生がそう考えます。

 

しかし、短期的な手間を惜しむことで、
長期的な自由を手放していないでしょうか。

 

ある院長先生は、最初こう言いました。
「私にしかできない仕事が多くて…」

 

しかし実際には
「私が手放せない仕事が多くて…」が真実でした。

 

半年かけて少しずつ業務を委譲した結果、
診療に専念する時間が増え、自費率は10%から30%に上昇。

 

さらに第II領域の活動に時間を使えるようになり、
新たな自由診療メニューも開発できました。

 

明日からの第一歩として、次の3つの行動をお勧めします。

1. 今日1日の活動を4つの領域に分類する
2. 第III領域の活動を減らす方法を考える
3. 第II領域に週に最低2時間確保する

 

「時間は平等に与えられた資源である」とよく言われます。
しかし、その使い方は平等ではありません。

 

先生の貴重な時間が、
歯科医院の成長と先生自身の充実のために
最適に使われることを心から願っています。

 


 

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歯科医師
歯科医院の集患・経営、
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株式会社120パーセント
代表取締役  近  義武

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