Last Updated on 2020.12.1 by 近 義武
歯科医院経営において、漠然と「売上を増やしたい…」と
思うだけではその実現は難しいものです…
まずは歯科医業の『売上』がどのように構成されているかを理解して
構成要素の1つ1つを改善していくことが早道となります。
歯科医業の『売上』は「売上方程式」というもので表すことができます。
『売上』を保険診療分と自費診療分に大別してそれぞれを
「売上方程式」で表すと以下のようになります。
保険診療報酬分の『売上』
= レセプト1枚の平均点数 × レセプト枚数
= 診療1回の平均点数 × 平均来院日数 × 実患者数
= 診療1回の平均点数 × のべ患者数
= 診療1回の平均点数 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
自費診療報酬分の『売上』
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × 平均来院日数 × 実患者数
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × のべ患者数
= 診療1回の平均自由診療報酬額 × 1日の平均来院患者数 × 診療日数
『売上』を増やすには、これらの方程式のそれぞれの項目の
数値を増加させることができれば達成できるわけです。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
前回は保険診療の『診療1回の平均点数』の増加について話したので、
今回は自費診療の『診療1回の平均自由診療報酬額』について話していきます。
患者単価
あなたはこのような記述を目にしたことはないでしょうか。
ふた昔くらい前の歯科経営コンサルがよく使っていたものです。
歯科医院の売上 = 患者単価 × 患者数
ここから保険診療→自由診療への転換を
声高に説いていたものです。
この方程式自体は誤りではありません。
主訴の治療が終了したら患者を放流している歯科医院や
1日における売上を考える際には今でも当てはまります。
古典的な「売上向上」の手法でも「患者単価」アップは
王道中の王道であったということができます。
しかし、現在の歯科医院経営においては
患者に診療を中断させずに最後まで来院をさせることや
メンテナンス率・再初診率の向上など
リピーターの存在なくして語ることは無意味です。
ですから、歯科医院の売上を語るにあたっては
一定期間(1ヶ月、半年、1年など)における
平均来院回数(=来院頻度)に言及する必要があるのです。
このことを踏まえた上で「患者単価」アップに取り組んでください。
ちなみに前回話した『診療1回の平均点数』アップも
今回の『診療1回の平均自由診療報酬額』アップも
「患者単価」を上げることに相当します。
患者単価を上げるために自費転換に注力する手法は
もはや当たり前のことになっていますが、「売上の増加」には
それとは別に自由診療そのものにおいても
『診療1回の平均診療報酬額』のアップも検討が必要です。
診療1回の平均自由診療報酬額
さて、前回お話しした
『保険診療1人1回の平均点数』をアップさせる手法は
『診療1人1回の平均自由診療報酬額』にも応用できます。
・必要な診療の説明と成約
・同種の治療の複数同時進行
・ハンドスピードのアップ
・高点数(報酬)になりやすい診療メニューの設定と成約
・経費を押さえた診療メニューの導入と注力
・「時間利益」への配慮
・診療体制の整備
これらに加えて「自由診療」には
報酬額をあなたが自由に設定できるという
「保険診療」とは決定的に異なる特質があります。
自費診療の値上げ
自由診療において
『診療1回の平均自由診療報酬額』アップに最も効果的なのは
間違いなく『値上げ』です。
あなたに値上げに対する心理的抵抗があることは承知しています。
それでも『値上げ』することを強くススメます。
最も大きい抵抗感は
「値上げをすると受ける患者が激減するかも…」
ということでしょう。まぁ、当然といえば当然のことです。
実際に成約率は低くなります。
しかし、症例数が減少した分だけ
必要だったはずの材料費等の諸経費は節減されます。
さらに、費やすはずだったあなたの治療時間も
別の診療や別の仕事に使えます。
それでも値上げした分は丸々利益になるわけです。
値上げのデメリットを恐れるよりも、
治療の必要性や有効性を患者に納得させることに尽力して
「いかにその治療に価値があるのか」
を伝えて成約率の下落を抑えることです。
患者はその治療がどんなに高くても
価値さえ感じられれば治療をお願いしてきます。
そうすることでクレームがなく、
結果に満足してくれる患者が増えることになります。
あなたの歯科医院で治療を受けないで
他医院で安く済まそうという患者が発生する事態には
あなたにも患者にも良くないところがあるのです。
料金の高低にしか価値を見いだせない患者、
治療の価値や他の医院との違いを伝えきれないあなた、
どっちもどっちです。
料金を周囲の競合歯科医院とほぼ同等にしておくのは
自信もなく、努力もしていないドクターのとる戦略といえます。
このように、自由診療は「値上げ戦略」をとることが可能です。
収支的にもそれほど怖がることではないですし、
知ってしまえばむしろメリットが大きいものです。
こういう解説をしても、やはりなかなか踏み出せない方が
一定の割合でおいでになります。
一歩を踏み出すのに必要なことは度胸を決めて思い切るだけです。
理屈で納得できたなら、覚悟を決めて
気合いと共に『エイッ』とやるしかありません。
アドバイスを受けて恐る恐る値上げしてみて
その効果を実感すると、その後さらに
値上げを重ねていく院長もいます。
そういう姿を私は何人も見てきているので、
思い切った「値上げ」をオススメするのです。
経営者はどんな決断にも責任を持たなければなりません。
ですから「怖い」という感覚も理解できます。
それでも「値上げ」は度胸一発、価値が大きいものなのです。
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
売上方程式は全てかけ算で成り立っています。
かけ算で成り立っているということは
どれか1つの項目でも数値が「ゼロ」だと
『売上』も「ゼロ」ということを示しています。
例えば「診療日数」がゼロなら売上もゼロ…
当たり前のことです。
通常の状況ではそのようなことはまず起きません。
「売上」は毎日の診療で積み上げていけば良いのです。
今回のコロナ禍は異例中の異例と言えるでしょう。
売上方程式のどれかの数値がゼロになる可能性については
院長ならことあるごとに考えておくべきことです。
なぜなら、歯科医院の存続に関わるある理由があるからです。
常に留意しておくべきその理由とはどんなことでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。