患者が増えないのはあなたのせいではない
今、多くの歯科医院が患者数の伸び悩みや
自由診療の低迷に頭を抱えています。
あなたの歯科医院も、毎日の来院患者は20名ほどで
新患がなかなか増えず、悩んでいませんか?
患者が集まらない…」 「自由診療を受けて欲しいのに、
なぜか保険診療ばかりになる…」
こんなフラストレーションを感じている
院長先生は少なくありません。
でも、安心してください。
これはあなたの歯科医師としての
能力や人間性の問題ではないのです。
臨床技術は十分にあり、
患者のために最善を尽くしているのに、
なぜ理想の結果が得られないのでしょうか?
患者数が増えない本当の理由は、
あなたのせいではなく、
歯科業界を取り巻く構造的な問題と、
患者心理にあるのです。
私は歯科医院開業→倒産危機→V字回復→
高収益安定経営を経験し、経営コンサルタントとしても
200以上の歯科医院の増患・増収をサポートしてきました。
それら多くの経験から言えるのは、
真面目で技術の高い歯科医師ほど、
患者数や収益に悩みやすいという皮肉な現実です。
なぜなら、歯科大学では「患者の心をつかむ方法」や
「選ばれる歯科医院になるための戦略」については
一切教えてくれないからです。
そして、歯科医院経営を取り巻く環境が
凄まじい速さで激変してしまったからです。
偶然うまく経営が軌道に乗った方はおいでですが、
計画的・意図的に狙った着地点にしっかりと
到達できている方、それを指導できる方は滅多におりません。
あなたは悪くない。
AIも歯科医院経営の本質まで踏み込んだ回答はできません。
むしろ、あなたは精一杯正しいことをしていると言えます。
ただ、現代の歯科医院経営において必要な
”経営の普遍的な本質”と”激変していくテクニカル部”との
すり合わせがちょっと甘いだけなのです。
では、なぜ患者数が増えないのか、
歯科医院経営がうまくいきにくくなっているのか、
その本当の理由を見ていきましょう。
経営が難しくなった3つの外部要因
1. 歯科医院の過剰供給と競争環境
まず認識すべきは、日本の歯科医院数は
明らかに過剰だということです。
人口当たりの歯科医師数は先進国の中でも上位クラス、
特に都市部では半径1km以内に10件以上の歯科医院が
乱立している地域も珍しくありません。
「歯医者さんが多くて、どこにいけば良いのか…」
こんな患者の声をよく耳にしませんか?
この供給過剰が、患者の獲得競争を
異常なまでに激化させているのです。
しかも、日本人の人口減少は確定事項です。
奇跡でも起きない限り、人口増による需要増加は
全く見込めない状況です。
これはあなた一人の力では
どうすることもできない社会構造の問題です。
2. 保険診療の制約と低収益性
次に、日本の歯科医療保険制度における
構造的な問題があります。
保険点数は年々厳しくなり、
質の高い治療を提供すればするほど、
実質的な収益率は下がるという矛盾が生じています。
例えば、保険制度内で、丁寧なカウンセリングや
高度な根管治療に時間をかけても、
その労力に見合った報酬は得られません。
収益が成り立たない」
このジレンマを感じている院長先生は
多いのではないでしょうか?
3. 患者の意識と情報格差・非対称性
3つ目の要因は、
患者側の意識と情報格差、情報の非対称性の問題です。
インターネットの普及により、
患者は大量の情報にアクセスできるようになりました。
しかし、その情報の多くは断片的で、
専門知識を網羅的に持たない患者が
正しく理解するには限界があります。
これが
『情報格差・情報の非対称性』です。
半信半疑の目で診療を受ける患者が増えた」
こんな変化を感じていませんか?
また、歯の健康に対する価値観も
患者によって大きく異なります。
「絶対に保険でやってください」と言う患者と、
「最良の治療を受けたい」と考える患者の間には
大きな意識の差があるのです。
これらの外部要因があるからこそ、
かつての歯科医院経営の常識が
通用しなくなっているのです。
しかし、これで諦める必要はありません。
次に、これらの外部要因の中でも見落としがちな
「真の問題点」について掘り下げていきましょう。
見落としがちな真の問題点とは
先ほど挙げた外部要因は確かに存在します。
しかし、同じ環境下でも成功している
歯科医院があるのも事実です。
同じ地域で、同じ競合に囲まれながらも
患者で賑わう歯科医院と、そうでない医院…
この違いは一体どこから生まれるのでしょうか?
実は、患者数が増えない真の問題点は
「患者の心理と期待値」を正確に
捉えきれていない点にあります。
技術力や設備の良さは、残念ながら
患者を引きつける決定的な理由にはなりません。
なぜなら、患者はあなたの技術力を
正確に評価できないからです。
ここにも”情報格差・情報の非対称性”が影響します。
彼らにとって、歯科医院を選ぶ基準は
あなたが想像している基準とは
大きく異なっているのです。
例えば、ある調査によると患者が
歯科医院を選ぶ際に重視するのは、
「利便性・通いやすさ」「丁寧な説明」
「清潔感」などが上位を占めています。
つまり、患者は「治療の質」よりも
「体験の質」で歯科医院を選んでいるのです。
もう一つの真の問題点は、
「価値の伝え方」にあります。
どれほど素晴らしい自由診療を用意していても、
その価値を患者に理解してもらえなければ
成約することもなく、意味がありません。
「この治療を受けることで患者の生活がどう変わるのか」
「どんな気持ちで毎日を過ごせるようになるのか」
こうした点を、患者の感情に訴えかける形で
伝えることができているでしょうか?
さらに見落としがちなのが、
歯科医院としての「ブランディング」の問題です。
あなたの歯科医院には、
他院と明確に差別化できる「ウリ」がありますか?
「〇〇歯科は親切丁寧です」
「質の高い治療を提供します」
「なんでも相談してください」
こんなフレーズは、ほとんどすべての
歯科医院が掲げているものです。
患者の記憶に残るような、具体的で
独自性のある価値提案ができていないことが、
選ばれない真の理由な可能性が高いと言えます。
これらの問題は、臨床技術とは別の
「情報発信・伝達の技術」「コミュニケーション」に
関するものです。
つまり、改善可能な問題なのです。
では、どうすれば患者の心をつかむ
コミュニケーションができるようになるのでしょうか?
次のセクションで具体的なアプローチを見ていきます。
コミュニケーションを変える
ここまでの話を整理すると、患者数や自由診療が
伸びない原因は「外部環境」と「コミュニケーション」
の問題だということが分かりました。
外部環境は変えられませんが、
コミュニケーションは今日から変えられます。
では具体的にどうすれば良いのでしょうか?
核心は「共通の敵」の設定と
「真の問題」の伝え方にあります。
例えば、歯周病の患者に対して
「あなたが歯磨きを怠ったから」と
責めるのではなく、こう伝えてみてください。
「現代の食生活や、忙しい生活スタイルが
歯の健康を脅かしているんですよね。
これは多くの方が直面している問題です」
このように、患者と歯科医師が共に立ち向かう
「共通の敵」を設定することで、患者との関係性は一変します。
そして、治療の必要性を説明する際も
「このままだと歯を失います」という脅しではなく、
「この治療によって得られる生活の質の向上」
を具体的に伝えることが重要となります。
「この治療を受けることで、
お好きな食べ物をこれからも楽しめますよ」
こうした伝え方が、
患者の治療への前向きな姿勢を生み出すのです。
実践!患者の心を掴む3つの方法
では最後に、明日から即実践できる
具体的な方法を3つご紹介します。
1. 患者の悩みを引き出す質問法
「どんなことに不安を感じていますか?」
この質問から会話を始め、患者の回答に
「そうですよね、多くの方が同じ悩みを持っています。
実は現代の食生活が原因で…」と共通の敵を設定します。
2. 選択肢の提示方法
「A(保険診療)とB(自費診療)があります」
と並列に説明するのは辞めてしまいましょう。
「私があなたにぴったりで、理想的だと
あなたの診査結果とお話から判断した治療はこちらです。
ただし、予算を抑えたい場合や、見た目を重視する場合は
それぞれ別の選択肢もこちらにご用意しています」
というように、価値の序列を明確にします。
”私が”と断言することであなたの責任感を示し、
患者の価値観も蔑ろにしないことを示すために
他の選択肢を用意しましょう。
3. 感情に訴える言葉の使い方
「この治療で虫歯を治します」ではなく、
「食事の時の痛みから解放されますよ」と、
得られるベネフィットを具体的に伝えましょう。
大切なのは、
患者を責めず、共に問題に立ち向かう姿勢です。
「治療をする」「治療を受ける」と考えると
あなたと患者と”対立関係”になりやすくなります。
(利害関係的にもそうなりやすくなります)
問題解決に向かって、共に進んでいく「仲間」、
もしくは「マラソン走者と伴走者」と捉えると
患者もあなたを”自分の味方”と認識しやすいです。
まずは明日の初診患者に、
これらのアプローチを試してみてください。
患者の反応が、これまでとは
明らかに変わることを実感されるはずです。









