患者が本当に求めているのは?
先日、私の友人が興味深い体験を話してくれました。
彼は10年以上通っている内科の医院で
「なぜウチをかかりつけ医にしているのか」と
質問されたそうです。
彼はその場ではうまく答えられなかったそうですが、
帰宅してからもう一度ゆっくり考えてみたそうです。
最終的に彼が出した答えは意外なものでした。
「その医院では緊張しないから」
この一言に、歯科医院経営の本質が隠されています。
患者の継続来院率が高い歯科医院にはいくつか共通点があります。
その1つは、患者が「リラックスできる環境」を
徹底して作り上げていることです。
あなたの歯科医院の患者を思い浮かべてください。
患者はユニットに座る瞬間、どのような表情をしていますか?
多くの院長先生は「良質な治療」や「最新の設備」こそが
患者を惹きつける要素だと考えがちです。
しかし実際には、
患者が医院を選ぶ最大の理由は「安心感」です。
歯科治療に対する恐怖心や不安はあって当然。
ある調査によれば成人の約75%が歯科治療に
何らかの不安を感じているといわれます。
このハードルを下げることこそが
リピート率向上の鍵となっていると言っても過言ではありません。
ある歯科医院では、治療内容はそのままに
「緊張しない環境」だけを整えた結果、
6ヶ月で再来院率が32%上昇しました。
「緊張しない医院」は単なる患者サービスではなく、
経営を安定させる確実な戦略なのです。
ではなぜ患者は歯科医院でそれほど
緊張してしまうのでしょうか?
なぜ患者は「緊張」するのか?
その本質と経営への影響
歯科医院における患者の緊張は
他の医療機関と比較して特殊です。
まず物理的な要因があります。
自分からは見えない口腔内での処置、
ハンドピースの回転音、独特の薬品の匂い…
これらは全て患者の五感を刺激し、
不安や緊張を増幅させます。
次に心理的要因があります。
「上手く説明できないかもしれない」
「高額な治療を勧められるかもしれない」
こうした不安は患者の中で無意識に増大していきます。
重要なのは、こうした緊張が経営にどう影響するかです。
緊張した患者は次のような行動特性を
示すことが分かっています。
2. 治療の説明を十分理解できない
3. 自由診療の提案に対して防衛的になる
4. 細部まで症状を伝えられない
5. リコール案内に応じる確率が低下する
つまり患者の緊張は、単なる感情の問題ではなく
あなたの歯科医院の収益に直結する経営課題なのです。
あなたの歯科医院では、新患の初診時に
どれほどの患者が明らかな緊張を示していますか?
また、その緊張を和らげるための具体策はありますか?
私の経験では、患者の緊張に対して
意識的に取り組んでいる歯科医院は
月商が平均で20%以上高い傾向にあります。
では、具体的にどうすれば
「緊張しない歯科医院」を作れるのでしょうか?
リラックスできる歯科医院を作る具体策
では患者が「緊張しない・しにくい歯科医院」を
作るための具体策を見ていきましょう。
まず物理的環境の整備です。
これは単なるインテリアの問題ではありません。
待合室から診療室までの動線全体が患者の緊張度に影響します。
特に有効なのは以下の要素です。
• 天井にリラックス効果のあるイメージや映像を設置する
• BGMの適切な選択と音量調整
• 消毒薬の匂いを中和するアロマディフューザーの設置
次にスタッフの接遇です。
これは追加の投資コストが低い割に効果の高い取り組みです。
院長であるあなたは、スタッフに
「緊張している患者を見分ける方法」を教育していますか?
例えば、早口になる、視線が定まらない、
手指を絶えず動かすなどは明らかな緊張のサインです。
そして最も重要なのが、診療中のコミュニケーション戦略です。
ある歯科医院では次の3つの「不安解消策」を実践していました。
2. 処置中の「今何をしているか」の声かけ
3. 処置後の「次回の見通し」の共有
この歯科医院では実践前と比較して、患者からの
「怖くなかった」という”声”が倍増加しました。
さらに興味深いことに、治療自体は
全く変えていないにもかかわらず
「痛みが少なかった」という評価も増えたのです。
これは「緊張」と「痛みの感じ方」が
密接に関連していることを示しています。
こうした取り組みが一つの好循環を生み出します。
治療への協力度が高まる→良好な治療結果→
患者の満足度向上→継続来院→さらに緊張が減少
この循環が経営にどれだけの効果をもたらすでしょうか?
緊張しない歯科医院の経営メリット
「緊張しない歯科医院」作りは
単なる患者サービスではなく、
収益向上の強力な戦略です。
まずリコール率の向上です。
緊張対策を導入したある歯科医院では、
リコール応答率が42%から67%へと大幅に向上しました。
これだけでも大きな収益向上ですが、
さらに重要なのは自由診療への展開の可能性です。
緊張していない患者は、あなたの提案にきちんと耳を傾けます。
特に審美治療やインプラントなどの自由診療では、
患者の心理的ハードルが緊張がほぐれて低くなることが
成約率を大きく押し上げます。
実際に「緊張緩和プログラム」を
導入した歯科医院では、自由診療の
説明に対する成約率が17%から29%に上昇しました。
また見逃せないのが口コミ効果です。
「あの歯科医院は怖くない」という評判は、
潜在患者層の中で驚くほど早く広まります。
実際に「怖くない」という評判が広まった歯科医院では、
紹介による新患率が2.3倍になったケースもあります。
このように「緊張しない歯科医院」づくりは
投資対効果が非常に高い経営戦略なのです。
では、明日から何をすべきでしょうか?
まずは自院の「緊張ポイント」を洗い出してみてください。
患者の表情や行動を観察し、特に緊張が高まるタイミングを
スタッフと共有しましょう。
そして一つずつ改善していく。
小さな変化の積み重ねが大きな経営改善につながります。
患者が「ここなら緊張しない」と感じる
歯科医院は、必ず繁栄します。