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あなたの歯科医院も”他と同じ”と思われていませんか? コモディティ化を防ぐポイントを解説

そもそも歯科医院経営のビジネススタイルは
他の歯科医院と何も変わらないと思われがちです。

 

だからこそ、歯科医院の院長なら気にするべき
「コモディティ化」についてお話をしていきます。

 

コモディティ化が起こってしまえば、
今まで高価値だったあなたの診療が、
その価値の大部分を失くしてしまいます。

 

結果、「値下げ」圧力が高まり、それに屈して値下げをすると
「価格競争」の舞台に上がることになり、
薄利多売の苦しい歯科医院経営にまっしぐらです。

 

診療のコモディティ化とは何か?

診療のコモディティ化とは、あなたの歯科医院が提供する治療やサービスが
他の歯科医院と差別化されず、患者から「どこで受けても同じ」と
見なされる状態を指します。

 

この状態になると、患者の選択基準は
「どの歯科医院が安いか」「近いか」「都合が良いか」といった要素になり、
あなたの歯科医院・医療機関としての価値も、あなたの価値も下がります。

 

たとえば、カリエス治療や歯周病治療は、多くの歯科医院で提供されています。
どちらも保険診療の適応範囲ですし、同じような診療内容・サービスと認識されれば、
患者は「どこでもいい」と考え、「医療の質」は選択の軸から外れることになります。

 

自由診療の分野でも同じことが起こり得ます。
インプラントやホワイトニングといった治療が一般的になったことで、
「どの歯科医院でも受けられる治療」と思われやすくなっています。

 

その結果、技術やこだわりが十分に伝わらず、
「価格の安さ」が選択の軸となってしまうのです。

 

診療のコモディティ化の具体例

診療のコモディティ化は、理論だけでなく実際の歯科医院でも起こっています。
ここでは、典型的な2つの事例を紹介します。

 

1. 低価格メンテナンスの台頭と予防歯科のコモディティ化

以前は、予防歯科を掲げる医院は限られており、
「定期的に歯科医院でメンテナンスを受けること」の価値が伝わりやすい状況でした。

 

しかし、近年では大規模歯科医院などが
「低価格の定期メンテナンス」を提供し始めたことで、
予防歯科の価値が下がりつつあります。

 

問題点
  • 「予防=安く済ませるもの」という認識が広まり、価格競争が起こっている。
  • どの医院でも同じようなメンテナンスを受けられると患者が思い込むようになった。
  • 高品質な予防歯科を提供している医院でも、その価値が伝わりにくくなった。

 

2. 格安インプラントの増加とコモディティ化

インプラント治療は高額な自由診療の代表格でしたが、
近年では低価格のインプラント治療を提供する医院が増えています。

 

特に、海外製の安価なインプラントを使用した
「格安インプラント治療」が登場したことで、
「インプラント=価格が比較されるもの」という意識が広がり、
治療のコモディティ化が進んでいます。

 

問題点
  • 患者は価格を最優先にし始め、価格競争になりつつある。
  • 「どの医院でも同じインプラント治療が受けられる」と思い込んでいる。
  • 高品質インプラント治療でも「高額だから選ばれにくい」状況になっている。
  • 安価なインプラント治療のリスクを患者が正しく理解していない。

 

しかし、診療のコモディティ化は避けることができます。
あなたの歯科医院独自の価値を打ち出し、
他の歯科医院と明確に差別化することで、価格競争から抜け出し、
「この歯科医院だから通いたい」と思ってもらえることが可能になります。

 

なぜ歯科医院でもコモディティ化が起こるのか?

歯科医院の数は全国に約7万件あります。
競争が激しい市場ではコモディティ化が起こりやすのですが、
なぜ歯科医院でもコモディティ化が進んでしまうのでしょうか?

 

1. 画一化された診療と標準化の影響

保険診療は国の制度に基づいているため、
どの歯科医院でも基本的な治療内容や価格がほぼ同じです。

 

カリエス治療や歯周病治療、定期検診などは、
ほとんどの医院で同じような流れで行われるため、
患者にとっては「どこで受けても大差ない」と感じやすくなります。

 

2. 患者の情報リテラシーの向上

インターネットの普及により、患者はそれぞれの歯科医院の
治療のやり方や口コミなどを簡単に調べられるようになりました。

 

その結果、治療内容の違いよりも
「価格が安いか」「近くて便利か」「口コミの評価が高いか」
などの基準で歯科医院を選ぶ傾向が強くなっています。
価格競争に巻き込まれやすくなるのも、この影響の一つです。

 

3. 診療技術やサービスの差が伝わりにくい

どれだけ高度な技術を持っていても、
患者にその価値が伝わらなければ意味がありません。

 

歯科医師・歯科医院側が「うちは精密な治療をしている」
「高いレベルの診療を提供している」と思っていても、
患者がその違いを理解しなければ、もしくは理解できなければ
それは「他の歯科医院と変わらない」治療として扱われてしまいます。

 

周知と理解のための適切なマーケティングやブランディングを行わないと、
歯科医院の強みが埋もれてしまい、コモディティ化が進んでしまうのです。

 

こうした理由から、多くの歯科医院が競争の波に飲み込まれ、
患者にとって「どこで治療を受けても同じ」と思われてしまいがちなのです。
しかし、適切な戦略をとることで、この流れを断ち切ることは十分に可能です。

 

診療のコモディティ化を引き起こす6つの要因

歯科医院がコモディティ化すると、患者は「どこでも同じ診療が受けられる」と考え、
価格や立地の利便性、時間の都合などで医院を選ぶようになります。
その結果、当該歯科医院のブランド力が低下し、経営が厳しくなります。
では、なぜ診療のコモディティ化が起こるのか? 代表的な6つの要因を解説します。

1. 平均的な診療・料金(無難な診療・料金)を選びがち

多くの歯科医院は、失敗を避けるために「平均的な診療・料金」を目指します。
しかし、無難な診療を無難な料金続けていると、医院の強みが埋もれ、
患者から見て「どこも同じ」と感じられる原因になります。

 

2. 多くの患者層を狙いすぎる(市場主義)

「どんな患者でも受け入れたい」という考えから、ターゲットを広げすぎると、
結果的に医院の特徴がなくなります。

 

たとえば、小児歯科・審美歯科・インプラント・訪問診療など、
すべてに対応しようとすると、専門性のある歯科医院と比べて印象が薄くなり、
比較対象と横並びになってしまい、競争に巻き込まれやすくなります。

 

3. 供給過多(歯科医院の飽和状態)

歯科医院の数が多すぎるため、患者数に対して競争が激しくなっています。
都市部では1つの駅周辺に何件も歯科医院が存在し、
地方でも新規開業が続いている状況です。

 

供給が増えすぎると、価格競争が激化し、
コモディティ化が加速します。

 

4. 低価格な診療の台頭(価格破壊)

大きな歯科医療法人や、低価格を売りにした歯科医院の増加により、
「安くてもある程度の治療が受けられる」という考えが広まっています。

 

自由診療の分野でも、格安インプラントやホワイトニングの登場で、
価格だけで比較される傾向が強まっています。

 

5. 診療のパターン化(モジュール化)

どの歯科医院でも同じような流れで診療が進むため、
患者には違いが伝わりにくくなります。例えば、
「初診カウンセリング → 検査 → 治療 → メンテナンス」という
流れ自体は一般的です。

 

しかし、そこに医院独自の付加価値がなければ、患者からすれば
どの歯科医院も同じように感じられてしまいます。

 

6. 患者の情報収集のしやすさ(情報のコモディティ化)

インターネットやSNSの普及により、
患者は簡単に情報を手に入れられるようになりました。

 

昔なら「知り合いの紹介」や「近所だから」という理由で選ばれていた医院も、
今ではネット検索や口コミで比較されます。

 

情報が均質化すると、どの歯科医院も同じように見えてしまい、
独自性が薄れる要因になります。

 

これらの要因が重なることで、診療のコモディティ化が進み、
医院の差別化が難しくなります。
しかし、これを防ぐ方法もあります。

 

歯科医院がコモディティ化しないための3つの戦略

診療のコモディティ化が進むと、
価格競争に巻き込まれ、医院の利益が圧迫されてしまいます。

 

しかし、適切な戦略をとることで
「この医院でなければならない」と思わせることが可能です。
歯科医院がコモディティ化を防ぐために有効な3つの戦略を紹介します。

 

1. 差別化戦略を取り入れる

価格競争を避けるためには、他の歯科医院と明確に差別化を図ることが重要です。

 

治療技術・資格・設備で差別化


院長先生が最初に行おうとする差別化がこれです。
「患者に理解ができて、かつ他の歯科医院とは違う」ことが必要です。
例えば、「同じインプラント治療での他の歯科医院との違い」を示すのは
なかなか難しいと容易に想像できます。

 

また、「マイクロスコープを使用した精密根管治療」というのも
他の歯科医院が最新のマイクロスコープを導入した時点で違いが消滅します。

 

資格は、「あなたが持つ資格がどれほど価値と希少性があるのか」を
過不足なく理解させる工夫が必要です。

 

このように永続性の高い差別化は難しいので常に刷新が必要ですが、
それを承知で行うなら、他の歯科医院と差別化できます。(強くはお勧めしません)

 

患者体験で差別化


治療の技術だけでなく、「まるごと貸切治療」「徹底したプライバシー保護」
「高級感のある院内環境」など、患者が感じる価値を高めることも有効です。

 

ターゲット層で差別化


「予防歯科特化型」「シニア向け」「ビジネスパーソン向け短時間診療」など、
特定のターゲットに絞ることで、競争の少ない市場を作ることができます。

 

2. 患者の主観的価値を高める

患者は、必ずしも「技術が高いから」「設備が最新だから」
という理由だけで医院を選ぶわけではありません。
主観的な価値を感じてもらうことでも、コモディティ化を防ぐことができます。

 

患者との関係性を強化する


患者は、院長やスタッフとの信頼関係ができていると、
「この歯科医院で診てもらいたい」と思うようになります。

 

例えば、担当医が一貫して診療する「担当制」、
患者一人ひとりにパーソナライズされた説明と治療、
高品質な接遇などを行うことで、他の歯科医院との差別化が可能です。

 

口コミや紹介を増やす


口コミや紹介の患者は最初からある程度「信頼の高い」状態で来院します。
普段と変わらない診療を行っても「あの歯科医院は先生が親身になってくれる」
「治療がとても丁寧」といった感想を持ちやすく、次の口コミや紹介にも
繋がりやすい、良い循環が構築されます。

 

3. ブランドを確立する

ブランド力のある歯科医院は、他の歯科医院と比較されにくくなり、
患者が価格ではなく「医院の価値」で選ぶようになります。

 

コンセプトを明確にする


「家族で通える予防歯科」「忙しいビジネスパーソンのための短期集中診療」など、
あなたの歯科医院のコンセプトを明確にし、それを一貫して発信することが重要です。

 

ブランドのストーリーを作る


「なぜこの診療スタイルを貫いているのか」「どんな患者に来てほしいのか」
といったストーリーを持つことで、患者の共感を得やすくなります。

 

例えば、「抜歯は歯科医師の敗北と感じているから、予防歯科に力を入れている。
そう感じるようになったきっかけは…」などといった背景を伝えると、
あなたやあなたの歯科医院の価値がより明確になります。

 

ビジュアルやデザインにもこだわる


ブランドは、ロゴやウェブサイト、院内のデザインにも反映されます。
統一感のあるデザインを採用し、医院の世界観を作ることで、
患者に「この歯科医院はどこか他とは違う」と感じてもらいやすくなります。

 

コモディティ化を防ぐためには、ただ「治療の質を高める」だけでなく、
医院の特徴を明確にし、患者にとっての価値を高めることが重要です。

 

コモディティ化対策と同時に考えるべきこと

コモディティ化を防ぐための差別化戦略を実行することは非常に重要ですが、
「医院の診療価値を向上させ、価格競争に巻き込まれない仕組みを作る」 ことも欠かせません。

 

ただ単に「他の歯科医院とは違う」と打ち出すだけでなく、
その価値に見合った適正な価格設定やサービス提供を考えることが、
長期的な経営安定につながります。
ここでは、コモディティ化対策と並行して考えるべき重要なポイントを解説します。

 

1. 診療の価値を上げ、価格競争から脱却する

多くの歯科医院は、価格を下げることで患者を集めようとします。
しかし、これはコモディティ化を加速させるだけで、
医院の利益を圧迫する原因になります。

 

価格競争を避け、適正価格で診療を提供するためには、
医院の価値を患者に伝えることが必要です。

 

「価格」ではなく「価値」で選ばれる医院を目指す


ただの「ホワイトニング」ではなく、
「美しく自然な白さを追求するホワイトニングプログラム」として提供するなど、
単なる治療ではなく、患者にとっての価値を高める表現や見せ方が重要です。

 

自由診療のブランディングを強化する


例えば、インプラント治療においても
「最先端のデジタル技術を活用し、最短期間で確実な噛み合わせを提供するインプラント」
のような独自の強みを前面に出すことで、価格ではなく
医院の信頼や技術力で選ばれるようになります。

 

2. 価格を適切に設定し、利益率を確保する

診療の価値を高めても、特に自費診療においては、
それが適切な価格設定につながらなければ、利益は上がりません。
「適正な価格設定」と「価格に納得してもらう仕組み」が不可欠です。

 

「高額な治療だから売れない」ではなく、価値に見合った価格を提示する


例えば、矯正治療を「費用が高いから売れにくい」と考えると余計に売れません。
「どれだけ生活の質が向上するか」「どのようなメリットがあるのか」を
明確に伝えることで、患者は価格ではなく価値で判断するようになります。

 

価格に見合ったカウンセリングやフォローを提供する


自由診療の場合、患者は
「この価格に見合う価値が本当にあるのか?」と不安を感じることがあります。
そのため、治療前のカウンセリングを充実させる、
治療後のアフターケアを
手厚くするなど、「価格に納得してもらう仕組み」を作ることが大切です。

 

3. 患者教育と発信を強化する

医院の強みや治療の価値を伝えるためには、
患者に適切な情報を届けることが重要です。

 

どれだけ優れた治療を提供していても、
患者がその価値を知らなければ選ばれることはありません。

 

わかりやすいコンテンツで治療の価値を伝える


院内のパンフレット、ホームページ、SNS、ブログなどを活用し、
「なぜこの治療が必要なのか」「他院とはどう違うのか」を
患者に伝えることで、医院のブランド価値が向上します。

 

患者に選ばれる理由を明確にする


例えば、「当院では痛みを最小限に抑えた治療を提供しています」
「歯周病専門医が在籍し、再発を防ぐ治療を行います」など
メッセージを積極的に発信し、あなたの歯科医院の強みを伝えることが大切です。

 

診療のコモディティ化を防ぐためには、単に「差別化する」だけでなく、
医院の診療価値を向上させ、適正な価格設定を行い、
患者にその価値を伝えることが不可欠なのです。

 

まとめ

診療のコモディティ化が進むと、患者は「どの医院で治療を受けても同じ」と考え、
価格や利便性だけで医院を選ぶようになります。
その結果、医院のブランド価値が下がり、経営の安定性が失われる可能性があります。

 

歯科医院が持続的に成長するためには、単に「集客」を考えるのではなく、
「医院の価値を高め、価格競争から脱却すること」 が不可欠です。

 

今後さらに競争が激しくなる中、他院との差別化を図り、
「価格ではなく、価値で選ばれる医院」を目指すことで、
経営の安定と患者の信頼を確保できます。

 

診療のコモディティ化を防ぎ、自院ならではの価値を確立して、
患者に選ばれ続ける歯科医院を築いていきましょう。

 

 


 

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歯科医師
歯科医院の集患・経営、
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株式会社120パーセント
代表取締役  近  義武

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