なぜあなたの広告は患者を惹きつけないのか
私には時折、”広告のチェック”の仕事が舞い込んできます。
ホームページはもとより、ウェブ広告、チラシ、
医院外装のデザインもチェックしたことがあります。
仕事としてではなくても、外出した先々の駅や街角には
歯科医院の看板が数多く設置されていますから
意識的でなくても、大量の歯科医院の広告に目が入ってしまいます。
コンサルタントの習い性として、つい分析的に眺めてますから
歯科医院の広告には、ある共通点があるのも知っています。
「最新のCT完備」「痛くない麻酔」「精密インプラント治療」
「セラミック修復」「レーザー治療」…
多くの歯科医院の広告は、歯科医師として誇れる
最新設備や治療技術を前面に押し出したものばかりです。
あなたの歯科医院のホームページやチラシ、院内ポスターも
このような内容ではありませんか?
先生方が、ご自身の習得した高度な技術や最新の設備を
患者にアピールしたくなる気持ちはよく理解できます。
しかし残念ながら、
そのような「設備や治療法中心」のメッセージは、
患者を惹きつける力には乏しいのが現実です。
実際、データを分析をしても、
治療法や設備を前面に押し出した広告、その他は
新患獲得のコスとパフォーマンスが良いとは
言い難い結果になっている場合が圧倒的に多数です。
ここではなぜ、あなたが持っている素晴らしくて
高度な治療技術や最新設備のアピールが
患者の心に響かないのか、その理由と、
患者を惹きつける効果的なメッセージの作り方について
お伝えしていきます。
患者が求めているのは治療法にあらず
「当院では最新の拡大鏡を用いた精密治療を行っています」
この説明を聞いて、一般の患者は
どのように感じると思いますか?
実は、彼らの多くは「それって美味しいの?」と
自分に関与があるかどうかすら疑問なだけなのです。
歯科医師である院長先生にとっては、
最新の治療技術や精密治療が可能な機器は
誇りであり、重要な価値でしょう。
しかし、患者にとっては違います。
彼らは「一般的な治療」と「精密治療」の
両者の違いを理解することはできません。
さらに言えば、
理解しようという関心すら持たないのです。
患者が本当に知りたいのは
「この治療が私の悩みを解決してくれるのか?」
という一点に尽きます。
例えば、ある患者は前歯の見た目が
気になって笑顔を見せることができず、
人前で口を閉じるクセがついています。
そんな患者に補綴の方法や材質の違いを
説明しても、混乱を招くだけです。
彼らが知りたいのは
「また自信を持って笑えるようになるか」
ということだけ。
また、別の患者は、痛みで夜も眠れないという
深刻な問題を抱えているかもしれません。
そんな患者が求めているのは
「なる早で痛みから解放される」という結果です。
つまり、患者にとって治療法はあくまで「手段」であり、
その治療法自体に関心があるわけではないのです。
彼らが真に求めているのは
「悩みの解消」「問題の解決」という「結果」なのです。
このことを理解せずに、
いくら優れた治療技術をアピールしても、
患者の心には届かないのです。
問題解決をアピールする
では、実際にどのように広告メッセージを
作れば良いのでしょうか?
ここからは具体的な手順をご紹介します。
ステップ1:患者の悩みを洗い出す
まずは、あなたの歯科医院に来る患者が
どんな悩みを抱えているのか、
できるだけ具体的に洗い出しましょう。
例えば、以下のような悩みが考えられます。
・「友人と外食を楽しめない」
・「恥ずかしくて、写真撮影で笑えない」
・「人と近距離で話せない」
・「第一印象に自信がない」
・「冷たい飲み物が飲めない」
これらの悩みは、単なる「歯や口の問題」ではなく、
患者の日常生活や社会生活に大きな影響を与えています。
その悩みについては、
患者は「困りごと」として理解しています。
しかしその原因や治療法は理解していません。
せいぜい「口の問題だから歯医者に行けばいいかな?」
というレベルであることを肝に銘じなくてはなりません。
ステップ2:悩みの解決策を示す
次に、それぞれの悩みに対して、
あなたの歯科医院がどのように
解決できるかを明確に伝えましょう。
例えば、「外食を楽しめない」という悩みに対しては:
×「当院では精密なインプラントを提供しています」
○「当院のインプラント治療で、
友人との食事を心から楽しめるようになります」
このように、治療法そのものではなく、
治療によって得られる結果(ベネフィット)を
具体的に伝えることが重要です。
また、
「食事を楽しむための特別な治療法を複数用意しています。
あなたにピッタリの治療法を一緒に見つけて
友人との食事を大いに楽しみましょう」
というように、『その悩みの専門家』だから、
結果(ベネフィット)を得られると伝えるのもアリです。
いずれにせよ、結果(ベネフィット)を中心にして
どう表現すればベネフィットが患者に伝わるかを
考える必要があります。
ステップ3:感情に訴える表現を入れる
人間の意思決定は、論理よりも感情に大きく左右されます。
「笑顔を取り戻す」「自信を持って話せる」
「気兼ねなく食事を楽しめる」といった
感情的価値を伝える言葉を積極的に取り入れましょう。
あなたが普段、カウンセリングで患者から
聞く言葉がヒントになります。
「この治療をして良かった」と
患者が感じるのはどんな瞬間なのかを
イメージしてみてください。
このような表現に変更しただけで、
来院した多くの初診患者から
「ここなら私の悩みをわかってくれると思った」
というコメントが寄せられた実例は珍しくありません。
明日から実践できる患者視点の広告戦略
ここまで見てきたように、患者を惹きつける
広告メッセージの本質は、「治療法」ではなく
「悩みの解決」にあります。
この考え方に基づき、明日からすぐに
実践できるアクションプランをご紹介します。
プラン1. 全ての広告媒体をチェック
ホームページ、チラシ、院内掲示など、全ての媒体で
「治療法中心」の表現がないかをチェックしましょう。
プラン2. 患者の声を集める
実際の患者に
「どんな悩みが解決して嬉しかったか」
をヒアリングしましょう。
これが最高の広告メッセージのヒントになります。
プラン3. まず1つだけ変更する
すべての媒体を一度に変えるのは大変です。
まずは新しいチラシ一枚から
患者視点の表現に変えてみましょう。
患者の悩みに寄り添った広告メッセージは、
単に新患を増やすだけでなく、
あなたの歯科医院の存在意義を
明確に伝える力を持っています。
ぜひ明日から、「患者の悩みを解決する」
という視点で広告メッセージを見直しましょう。









