手持ちがない

自己資金のことを理解すると「資金調達」がうまくなる

Last Updated on 2020.6.2 by 近 義武

今回のお話は資金調達に関してのことです。
ただし、テクニック的なことではありませんので
今すぐお金を用意する方法をお求めの方は
別の記事を読んでいただくことをお伝えしておきます。

 

では何の話をするか、というと、
資金調達に対するマインドセット、考え方です。

 

例えば、今回の新型コロナウィルスによる感染症の拡大で
導入したい機器もあるし、運転資金も確保したい…
なんらかのテコ入れも必要になるかも…

 

そうでなくても、キャッシュフローが厳しかったり、
ユニットの買い替え、CTなど新しい設備をしたり
大規模リニューアルなどでも資金調達は必要になります。

 

そんな時に経営者であるあなたが考えるべきことについて
お話ししていこうと思います。

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近  義武 です。

 

資金調達は、設備や機器など「モノ」であれば
リースが利用できますが、従業員の賞与や税金など
「モノ」以外の支払いに使えるのは
基本的には「純然たる自己資金」か「借入金」となります。

 

今回お伝えしたいのは、「自己資金」についてです。
『自分の資金をどう使おうが、問題ないのでは?』と
あなたは考えるかもしれません。

 

確かにそうなのですが、
その使い方によってあなたの歯科医院経営は
苦しくもなれば、楽にもなります。

 

わざわざ苦しくなる道を知っていて選ぶ方はいないでしょう。
これからの話は「知っているだけで得をする」
そういう話になります。

どの資金調達がお得?

 

どの資金調達方法が有利か、という質問は
私も院長先生に、事あるごとに聞かれるものです。
定番中の定番の質問ですね。

 

その場面で特によく聞かれるのは
「買取とリース、どちらがいいか?」
「借入とリース、どちらがいいか?」
という質問です。

 

リース絡みということは、
何か「モノ」を導入したいということです。
この場合、はっきり言ってケースバイケースです。

 

リースは最終的に税金の多寡によって判断が変化するので
シミュレーションに基づく検討が必要となります。

 

税務を外注しているなら、資料を渡してやらせて下さい。
こんな時のための存在ですから、遠慮なく使いましょう。

 

彼らにとってはそれほど負荷が大きくない仕事です。
専門家としては基礎的な仕事ですので、
特別料金など無しの、無償でやらせて下さいね。

 

いうまでもありませんが、今回のコロナウィルス対策として、
行政が様々な支援策を打ち出しています。

 

平常時でもそれぞれの地域の各行政によって
雇用支援、経営支援などが行われている場合があります。
シミュレーションついでに、あなたの使える支援策を
調べてもらうというのもお勧めの「手」です。

 

ただし、担当者の能力によっては
制度があるのに気づかなかったり、
期限に間に合わせられなかったりすることもあるので
それなりの留意はして、過信することはやめましょう。

 

何しろ、全てを院長1人でやるには
時間的にも、能力的にも無理があります。
あなたはあなただけにしかできない仕事に注力すべきです。

 

話が逸れましたが、リースの基本的な考え方は
「借入の起こせない方が使う、条件の悪い物品担保融資」です。
その条件の悪いことをメリットとして使えるような
特殊な環境が揃っている方だけが使うに値するものとも言えます。

 

まぁ、その特殊な環境にあるかどうかを確かめるのが
担当税理士に行わせるシミュレーションなわけです。

 

ですから、大抵のケースでは、借入か自己資金使用の方が
リースよりも経営上のメリットがたくさんあるという結果が出ます。

 

ただし、これはあくまで原則ですから、
リース利用を否定するものではありません。

考慮されない「純然たる自己資金」の有用性

 

借入については、「自己資金の特殊な形態」と考えてください。
返済がスムーズに進むなら税務上の扱いもほぼ同じですし、
利益を確保し続けることを強制されるくらいのものです。

 

返済スケジュール以上に利益を積み上げられたなら
(行うかどうかは別にして)繰上げ返済も可能なのですから、
条件的にはリースよりも有利なことが多いのです。

 

そしてここからは「純然たる自己資金」の話になります。
まず、自己資金があれば、選択肢が増えます
資金調達に自己資金は使わないことにして
借入金を起こしたり、リースを組んだりもできますからね。

 

自己資金は、「あるからそれを使う」という発想ではなく、
選択肢の1つとして、他の選択肢と比較検討するべきです。
その結果、自己資金の温存が最も有利にもなり得るわけです。

 

自己資金を手元に残しておく最大のメリット…
それは安心感と、それに伴うあなたのストレス減少です。

 

想定外の何かあった時にすぐに動かせる現金。
歯科医院経営においても、プライベートにおいても、
これほど心強いものはありません。

 

借入でも即日実行可能なのは、条件の悪い融資くらいのものです。
スピードという点においては自己資金にかなうものはありません。

 

今回のコロナの一件に限らず、経営の危機はほとんどの場合
「急場を凌ぐ現金」の不足、キャッシュフローの危機です。

 

政府系金融機関や銀行等の融資が間に合わず、
「つなぎ融資でなんとか」と思った高利で短期の借入が膨らんで
借入金で返済を繰り返す自転車操業を続けるうちに
あてにしていた融資や目論んでいた自由診療がダメになって倒産…

 

実際によく聞く話だったりします。
これほど極端でなくても、あなたが何らかの理由で
しばらく診療に従事できなくなったとしても
自己資金があればとりあえずなんとかなります。

 

潤沢な自己資金があれば、
目の前の診療報酬を追いかけることなく
長期的なビジョンを持って経営計画・人生設計もできます。

 

歯科材料、機器、消耗品などはキャンペーン等を活用して
タイミングよく安価に仕入れることもできます。

 

マイナスの補填・補強、プラスの増長・拡大…
何にでも自由に使えてスピーディー、制約なし!
使い勝手の良いのが自己資金です。

 

このように、あれば何かと安心・安全な自己資金を
例えば医療機器・設備の導入に使うとなると
その機器・設備に自己資金の用途を限定して、
自己資金額が回復するまで固定することを意味します。

 

自己資金が少なくなった状況への不安感は
あなたの置かれた状況によって大きく異なります。

 

あなたにまとまったボリュームの自己資金があれば
自己資金が多少減ることに対するデメリットは
ほとんど生じないし、感じもしないでしょう。

 

また、コンスタントに自己資金が増加を続けている状況なら
こちらも自己資金が減少することを気にやむ必要はありません。

 

このように有効性の高い自己資金を、
意識して計画的にプールすることは
歯科医院にとっては超有効な戦略の1つなのです。

経営危機に際して

 

ある意味、自己資金がないからこそ経営危機に陥るわけです。
自己資金がなく、経営危機に陥ったならすることはただ1つ。
自己資金位準ずる扱いの「借入」を極力早く起こすしかありません。

 

どのくらい早期にか、というなら、まだまだ余裕はあるが
このままだといずれはまずいかも…くらいの早期です。
融資の申し込みから決定までの時間を考えるなら
早すぎるくらいがちょうどいいのです。

 

コロナ禍関連のことに限っていうなら、行政は
この「借入」に関しても相当便宜を図ってくれています。

 

保証人を不要にしたり、利息に補助をつけたり、
通常より融資額を増やしたり、保証料を免除したり、
据え置き期間を延長したり、いろいろあります。

 

コロナの影響を少しでも感じていて、
自己資金が潤沢ではないなら、
あなたが借入可能な限度額いっぱいまで
融資を申し込んでみることをお勧めします。

 

自己資金の潤沢さの目安としては、
半年間は収入が全くなくとも、診療にも、生活にも、
特に支障はない程度の額です。

 

それ以下しか自己資金がないなら、
設備などの資金調達は、いつでも借入で行うべきです。

 

融資がおりないなら、それは自分の実力不足と
認識してその設備導入は延期しましょう。

 

自己資金を確保した上での発展を目指してください。
むやみにリスクを取ってしまうと
お金のための診療をせざるを得ないような
あなたの行いたくないことを行う羽目になりまねません。

 

経営者であるあなたの最終的な仕事は『決断』だということを
この際はっきりと自覚して下さい。

 

自己資金の活用も、プールも『あなたの意志』の表れです。
あなたが実現したい歯科診療に近づくためのピースとして
覚えておいて損のないことです。

 

このコロナの件を機会に、
あなたの歯科医院の経営体質の改善を目指して、
自己資金に関する認識も一変させることをお勧めします。

考えてみましょう

さて、それでは恒例のシンキングタイムです。

 

世の中には判断することだけを仕事にして
平均の何十倍もの収入をえている方がたくさんいます。
また社会もそれができる人材を求めています。

 

歯科医院の院長は医療人と経営者を
一人二役でこなさなければならない職種ともいえます。
(さらに現場マネージャーと金主・オーナーも兼務ですから
実態は、最低「1人4役」をこなしている方が大多数です)

 

それ故に究極的には2種類のタイプの院長先生が存在します。
どちらも医療に対しては真摯に向き合っているのですが、
それでもタイプは分かれます。

 

A 思い描く医療を志すことやその過程を重んじるタイプ

B 思い描く医療を現実化することに重んじるタイプ

 

いわば職人的医療人と経営者的医療人です。
理想の追求そのものを医療とするか、
理想は現実にしてこそ意味があるとするか、
そんな違いと言っても良いでしょう。

 

これはどちらが良い・悪いではありません。
だれしもが両方の素地を持っていて
どちらかが優位に働いているだけです。

 

ではここで質問です。
あなた自身を自己評価して下さい。
あなたは職人的医療人タイプ?経営者的医療人タイプ?
どちらの色合いが強いでしょう?

 

 

 

せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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     ↓
     ↓
それでは答えです。

 

 


 

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歯科医師
歯科医院の集患・経営、
ブランド構築コンサルタント

株式会社120パーセント
代表取締役  近  義武

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